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最終章 旅路の涯
126 その日
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その日は突然やって来た。
冬の終わりを待たずに、極大期を迎えた翌週に山頂を覆っていた氷結界は消えた。
その日の朝は近付いて来た春を思わせる快晴で、誰もが久し振りの青空に映える霊峰セドルアの雪に覆われた山頂を仰ぎ見た。
久し振りの山頂が美しく見えていた。年末から覆っていた日毎に濃くなっていた黒い渦が、綺麗さっぱり消えている。
その第一報は、ヤズマイシュ支部の監視員より早朝火急にて、王都のギルド総本部に伝えられた。
「総員、戦闘準備完了した者から、ヤズマイシュへ転移!」
情報室にレグルスの一喝が響いて、全員が慌ただしく走り出した。
ハンクには先立って、ギルド全体の戦力の確保、光封印部隊の編成を頼んでいる。
キミアカのシナリオでは、セドルア大山から発生したスタンピードは50年前と同規模同ルートで、ヤズマイシュを壊滅させながら南下し、山脈に沿って平原を通り王都を目指す。
その間に幾つもの領で大きな被害をもたらし、多数の死者や建物被害も出る。
だが、今、この世界にはアルカと真央が居るのだ。
ランスロットと50年前の資料を元に、ルート周辺の町には全て対策部隊を配置している。
それにギルドも全職員を対策に当てる対魔障シフトを発令し、ルート各支部の転移陣も増設している。
出来ればヤズマイシュに被害を出す前に、スタンピードはそこで終わらせたい。
王都の第一防衛ラインは、大厄災の英雄たちが古代竜を討ち取った竜殺しの平原、ヒムカ平原と定めて転移陣も準備している。
もしヤズマイシュから南下された場合、王都との中間地点のその場所に戦いは移る。
周囲に人の住む場所が無く、地形的にも戦いやすいことは、前回に証明されている。
途中までの山間部の居住地域はその分、対策防衛部隊を厚くしていた。
「レグルス、俺は少し用事を済ませてから行くから、先行してて」
「何で?俺の傍から離れないでよ」
慌ただしく走り回る職員の中、睨むように見つめてくるレグルスを局長室に引っ張った。
「時間が無い。直ぐに追うから、今は聞き分けて」
「アルカ……!……ねえ、君、やっぱりおかしいよ?……他に何を隠してる?」
「何も無いよ。でも俺は、少し頼まれたことをやらなきゃいけない」
「誰に何を頼まれたんだ……!……何で君はそんな」
「局長……!」
ジョエルが走って局長室に入って来て、気まずそうな顔をしてから、振り切るように表情を引き締めた。
「セドルア大山から、魔障が発生し出したそうです!」
「……分かりました!」
「レグ、頼む、行かせて。手筈通り防衛線で落ち合おう」
「っ、……来たら魔力を使って。すぐ迎えに行くから」
「それより魔障対策が優先だよ!じゃ、後でな!」
返事も待たずにアルカは駆け出し、人目の無い場所で王宮への転移陣を開いた。
アルカたち最戦力に渡された緊急転移陣は、ヤズマイシュ防衛線、ヒムカ防衛線、王都最終防衛線の3種類が数本ずつ。
上手く使って、最短でメイヒムと戦わねばならない。出来れば王都最終防衛線は越えたくない。
王城の王族専用の転移フロアにアルカが現れると、既に報告が上がっていただろう、ランスロット、レイ、数人の魔術師を従えた第2王子セルシアスが待ち構えていた。
「アルカさん!」
「レイ、殿下、魔障が発生しましたので、直ちにヤズマイシュ防衛線へ向かいます。お覚悟よろしいですか?」
「む、無論だ……!」
「これまで殿下たちが見たこともないような、魔障に冒された魔物の群れが現れます。私も極力お守りしますが、基本的にはご自分の身を守るのはご自分です。2人とも光魔法で対応する方法は習いましたね?」
2人が頷くのを見届け、ランスロットを見る。
「閣下、これまでのご助力、誠にありがとうございました。最後に1つ、影は全て出して王子に付けて下さい」
「う、アルカ君……」
「今回ばかりは隠す意味が無く、無駄な戦力は要らぬ地獄なのです」
少し目を泳がせたランスロットは溜息を吐いてから、片手を上げて合図した。
即座に10人の影が姿を現し、レイたちが驚いている。
「もし王都が破られて私が死んだら、君に宰相を継がせるよう、遺言書を書いておくよ」
「万が一にもありませんよ。少なくともヒムカで討ちます。必ず」
「……気をつけなさい。王宮部隊の指揮権を君に託そう」
「っ、それは……、荷が勝ちますが、まあ、何かの時には使わせていただきます」
最敬礼をして、集まった面々を見渡す。
今の王宮関係者に、大規模スタンピード処理に当たった者が何人残っているだろうか。
少なくとも10年前以上から居そうな見た目は、王家の影たちくらいだ。
「では、参りましょう」
王宮にも用意させていたヤズマイシュ防衛線行きの転移陣に、ぞろぞろと順番に乗り転移していく。
「アルカ君!」
最後に転移陣乗る前に、ランスロットに声を掛けられる。
「あの子を頼むよ!君と2人無事に帰ったら、入籍を見届けさせてくれ!」
だから憎めないと言うのだ、この人は。頷いて微笑んでから、アルカは転移陣に乗った。
「封印部隊!前へ!」
「前線が押されて来てるぞ!」
ヤズマイシュ防衛線に転移した瞬間、爆音と怒号が響いた。
北区と中央区の間の平原に設置された天幕から顔を出すと、既に北区は黒い渦に覆われていた。
黒い渦にたくさんの光封印球が浮き、魔法もどんどん撃ち込まれている。
その下には無数の魔物が居る筈だ。それから、レグルス始めとする情報室員が。
一際大きな火炎が魔障を打ち消し、それを伝えている。
魔物の量は相当なようで、北区を抜けて来た個体がちらほら防衛線に走って来ていて、既に戦闘が始まっている。
中央区からは絶えず半鐘が鳴り響き、住民の避難を促している。
朝からヤズマイシュ支部や役所などへ避難を開始しているため、住民に逃げ遅れがいないと信じたい。
「あ、アルカさん!」
異様な雰囲気に、レイが泣きそうな顔で寄って来た。セルシアスは剣を持つ手が震えながらも、レイを守ろうとしていた。
無理もない。スタンピードの対処任務に初めて当たった者は、大体がこうなる。
ハンクたちのギルド改革で、魔障の大規模発生が抑えられているため、アルカとてこの規模のスタンピードは初めてだ。
なんて魔障の濃さか。セドルアを仰ぎ見て、迫り上がる本能的な怖気を感じる。
霊峰セドルアからは未だ魔障の流れが、山を幾重にも回って、上から下に降りて来ている。
あの列の1番最後に居る。軍隊の大将の如くメイヒムが居て、魔物を操っている。
「影たち!誰が魔障に冒されても、絶対に寄るな。魔障は直ぐに移る。完全に冒された者は助けられない。冒された直後なら部位によっては、切り落とせばなんとかなる。とにかく遠距離攻撃だ、いいな?」
見知った影の男が頷くと、全員が硬い顔で顎を引いた。
「殿下、レイ。あの列の最後に、貴方たちの使命があります」
魔障の列の最奥を指差す。2人は怯えた目で、山の中腹にある最後尾の一際大きな魔障の塊を見た。
「私は一旦、あの列を減らして参ります。それまでここで影の指示に従い、戦いに慣れて下さい。いいですか、貴方たちは魔障に対しては最強の光属性なのです。とにかく光封印や光結界を展開すれば、魔障に侵される心配は無い」
2人の顔を見て、しっかり目を合わせさせる。
「いつチャンスがあるか分かりませんので、魔力は常に回復させ、満タンを保って下さい。そして私が来るまで、必ずここから離れないで」
まだ飲まれたままの2人の肩をグッと掴む。
「返事!!」
「っ、は、はい!」
腹から出したアルカの声に、レイもセルシアスも飛び上がってから、漸く目の焦点が合う。
「影!覚えたな!」
「は!」
「よし!じゃあ頑張れよ!頼りにしてる!」
2人の肩を強く叩いて笑うと、それぞれの瞳に力が戻った。
それを見届けずにアルカは強化を使い、北地区目指して走り出した。
冬の終わりを待たずに、極大期を迎えた翌週に山頂を覆っていた氷結界は消えた。
その日の朝は近付いて来た春を思わせる快晴で、誰もが久し振りの青空に映える霊峰セドルアの雪に覆われた山頂を仰ぎ見た。
久し振りの山頂が美しく見えていた。年末から覆っていた日毎に濃くなっていた黒い渦が、綺麗さっぱり消えている。
その第一報は、ヤズマイシュ支部の監視員より早朝火急にて、王都のギルド総本部に伝えられた。
「総員、戦闘準備完了した者から、ヤズマイシュへ転移!」
情報室にレグルスの一喝が響いて、全員が慌ただしく走り出した。
ハンクには先立って、ギルド全体の戦力の確保、光封印部隊の編成を頼んでいる。
キミアカのシナリオでは、セドルア大山から発生したスタンピードは50年前と同規模同ルートで、ヤズマイシュを壊滅させながら南下し、山脈に沿って平原を通り王都を目指す。
その間に幾つもの領で大きな被害をもたらし、多数の死者や建物被害も出る。
だが、今、この世界にはアルカと真央が居るのだ。
ランスロットと50年前の資料を元に、ルート周辺の町には全て対策部隊を配置している。
それにギルドも全職員を対策に当てる対魔障シフトを発令し、ルート各支部の転移陣も増設している。
出来ればヤズマイシュに被害を出す前に、スタンピードはそこで終わらせたい。
王都の第一防衛ラインは、大厄災の英雄たちが古代竜を討ち取った竜殺しの平原、ヒムカ平原と定めて転移陣も準備している。
もしヤズマイシュから南下された場合、王都との中間地点のその場所に戦いは移る。
周囲に人の住む場所が無く、地形的にも戦いやすいことは、前回に証明されている。
途中までの山間部の居住地域はその分、対策防衛部隊を厚くしていた。
「レグルス、俺は少し用事を済ませてから行くから、先行してて」
「何で?俺の傍から離れないでよ」
慌ただしく走り回る職員の中、睨むように見つめてくるレグルスを局長室に引っ張った。
「時間が無い。直ぐに追うから、今は聞き分けて」
「アルカ……!……ねえ、君、やっぱりおかしいよ?……他に何を隠してる?」
「何も無いよ。でも俺は、少し頼まれたことをやらなきゃいけない」
「誰に何を頼まれたんだ……!……何で君はそんな」
「局長……!」
ジョエルが走って局長室に入って来て、気まずそうな顔をしてから、振り切るように表情を引き締めた。
「セドルア大山から、魔障が発生し出したそうです!」
「……分かりました!」
「レグ、頼む、行かせて。手筈通り防衛線で落ち合おう」
「っ、……来たら魔力を使って。すぐ迎えに行くから」
「それより魔障対策が優先だよ!じゃ、後でな!」
返事も待たずにアルカは駆け出し、人目の無い場所で王宮への転移陣を開いた。
アルカたち最戦力に渡された緊急転移陣は、ヤズマイシュ防衛線、ヒムカ防衛線、王都最終防衛線の3種類が数本ずつ。
上手く使って、最短でメイヒムと戦わねばならない。出来れば王都最終防衛線は越えたくない。
王城の王族専用の転移フロアにアルカが現れると、既に報告が上がっていただろう、ランスロット、レイ、数人の魔術師を従えた第2王子セルシアスが待ち構えていた。
「アルカさん!」
「レイ、殿下、魔障が発生しましたので、直ちにヤズマイシュ防衛線へ向かいます。お覚悟よろしいですか?」
「む、無論だ……!」
「これまで殿下たちが見たこともないような、魔障に冒された魔物の群れが現れます。私も極力お守りしますが、基本的にはご自分の身を守るのはご自分です。2人とも光魔法で対応する方法は習いましたね?」
2人が頷くのを見届け、ランスロットを見る。
「閣下、これまでのご助力、誠にありがとうございました。最後に1つ、影は全て出して王子に付けて下さい」
「う、アルカ君……」
「今回ばかりは隠す意味が無く、無駄な戦力は要らぬ地獄なのです」
少し目を泳がせたランスロットは溜息を吐いてから、片手を上げて合図した。
即座に10人の影が姿を現し、レイたちが驚いている。
「もし王都が破られて私が死んだら、君に宰相を継がせるよう、遺言書を書いておくよ」
「万が一にもありませんよ。少なくともヒムカで討ちます。必ず」
「……気をつけなさい。王宮部隊の指揮権を君に託そう」
「っ、それは……、荷が勝ちますが、まあ、何かの時には使わせていただきます」
最敬礼をして、集まった面々を見渡す。
今の王宮関係者に、大規模スタンピード処理に当たった者が何人残っているだろうか。
少なくとも10年前以上から居そうな見た目は、王家の影たちくらいだ。
「では、参りましょう」
王宮にも用意させていたヤズマイシュ防衛線行きの転移陣に、ぞろぞろと順番に乗り転移していく。
「アルカ君!」
最後に転移陣乗る前に、ランスロットに声を掛けられる。
「あの子を頼むよ!君と2人無事に帰ったら、入籍を見届けさせてくれ!」
だから憎めないと言うのだ、この人は。頷いて微笑んでから、アルカは転移陣に乗った。
「封印部隊!前へ!」
「前線が押されて来てるぞ!」
ヤズマイシュ防衛線に転移した瞬間、爆音と怒号が響いた。
北区と中央区の間の平原に設置された天幕から顔を出すと、既に北区は黒い渦に覆われていた。
黒い渦にたくさんの光封印球が浮き、魔法もどんどん撃ち込まれている。
その下には無数の魔物が居る筈だ。それから、レグルス始めとする情報室員が。
一際大きな火炎が魔障を打ち消し、それを伝えている。
魔物の量は相当なようで、北区を抜けて来た個体がちらほら防衛線に走って来ていて、既に戦闘が始まっている。
中央区からは絶えず半鐘が鳴り響き、住民の避難を促している。
朝からヤズマイシュ支部や役所などへ避難を開始しているため、住民に逃げ遅れがいないと信じたい。
「あ、アルカさん!」
異様な雰囲気に、レイが泣きそうな顔で寄って来た。セルシアスは剣を持つ手が震えながらも、レイを守ろうとしていた。
無理もない。スタンピードの対処任務に初めて当たった者は、大体がこうなる。
ハンクたちのギルド改革で、魔障の大規模発生が抑えられているため、アルカとてこの規模のスタンピードは初めてだ。
なんて魔障の濃さか。セドルアを仰ぎ見て、迫り上がる本能的な怖気を感じる。
霊峰セドルアからは未だ魔障の流れが、山を幾重にも回って、上から下に降りて来ている。
あの列の1番最後に居る。軍隊の大将の如くメイヒムが居て、魔物を操っている。
「影たち!誰が魔障に冒されても、絶対に寄るな。魔障は直ぐに移る。完全に冒された者は助けられない。冒された直後なら部位によっては、切り落とせばなんとかなる。とにかく遠距離攻撃だ、いいな?」
見知った影の男が頷くと、全員が硬い顔で顎を引いた。
「殿下、レイ。あの列の最後に、貴方たちの使命があります」
魔障の列の最奥を指差す。2人は怯えた目で、山の中腹にある最後尾の一際大きな魔障の塊を見た。
「私は一旦、あの列を減らして参ります。それまでここで影の指示に従い、戦いに慣れて下さい。いいですか、貴方たちは魔障に対しては最強の光属性なのです。とにかく光封印や光結界を展開すれば、魔障に侵される心配は無い」
2人の顔を見て、しっかり目を合わせさせる。
「いつチャンスがあるか分かりませんので、魔力は常に回復させ、満タンを保って下さい。そして私が来るまで、必ずここから離れないで」
まだ飲まれたままの2人の肩をグッと掴む。
「返事!!」
「っ、は、はい!」
腹から出したアルカの声に、レイもセルシアスも飛び上がってから、漸く目の焦点が合う。
「影!覚えたな!」
「は!」
「よし!じゃあ頑張れよ!頼りにしてる!」
2人の肩を強く叩いて笑うと、それぞれの瞳に力が戻った。
それを見届けずにアルカは強化を使い、北地区目指して走り出した。
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