時は満ちた... 〜厨二病少年が英雄になるまで〜

あぷ

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1章

8話 やってしまった。

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授業も終わり、今日は悠が部活がないということなので、一緒に帰ることにした。

「なぁ、お前今日の昼休み何してたんだよ。」

昼休みにいつも教室にいるはずの柊が居なかったことが気がかりだった悠は、そんなことを聞いてきた。

「へ!?別にトイレでご飯食べてただけだけど!!」

「そんな悲しい嘘つくなよ」

人を憐れむような目で見ないでくれ...

「そういえば鈴木さんもいなかったなぁ。いつも教室で飯食ってるはずの2人が同じ日に居なくなるなんてすごい偶然だよなぁ。」

くそ!こいつ完全に俺で遊んでやがる!だが、他の人には秘密と約束した手前、俺たちの関係がバレるわけにはいかなかった。何より同士を裏切ることなんて出来ない!

「お、おい!あそこに大きなワンちゃんが居るぞ!」

「お前ってほんと話そらすの下手だよな。ていうか居たら何なんだよ。」

「いや可愛いだろ!ほら、こっちに向かって走って...逃げろぉぉおおお!!!!」

「おい!急に何言ってんだお前!ていうか速っ!!ちょっと待て!!」

俺は自分の方に向かってきた大きな犬から逃げるように、走った。

「ハァハァ・・・ここ行き止まりじゃん...」

無我夢中で走っていたら、行き止まりに来てしまったらしい。

少ししてから悠が俺の元へ到着した。

「ハァ、おま、なんでそんなに、速いんだよ、ハァハァ・・・」

「そんな事よりさっきの犬は!ついて来てないか!!」

「いくらお前でもビビりすぎだろ。遠くてよく見えなかったけど、ただの犬だろ?」

悠にはよく見えなかったらしいが、俺にはあの犬の容貌がくっきりと見えた。おそらく身体能力と同じく、五感も鋭くなってるのだろう。

「あれがただの犬に見えるか!?どうみたってあんなの...」

次の言葉が喉を通りかけたその時、俺たちの目の前に先程まで追いかけ回してきた犬が姿を見せた。いや、これをただの犬と形容していいのだろうか。

「な、なんだよこれ。。。」

俺たちの目の前には色の瞳を携えて、どす黒いオーラを放った狼のような生き物がいた。

「なんで街中にこんなのがいるんだよ。。。」

悠は怯えた表情でそう呟いた。それもそうだろう。体高が自分と同じくらいある化け物が目の前でこちらを睨みつけているのだ。いや、これは俺を睨みつけてるのか?

「大丈夫。何故だか分からないけど、あいつは僕のことを狙ってるみたいだ。僕に視線が向いてるうちに逃げて。」

俺は格好つけてそう言ったものの、今にも泣き出しそうだし、膝なんて震えが止まらない。

「お前を置いて逃げられるわけないだろ。一緒に逃げるんだよ!」

悠はそう言って俺の腕を掴んだ。
しかし、向こうからしてみたら俺たちのやり取りを待つ必要なんて一切ない。二人で言い合ってるうちに、化け物が襲いかかってきた。その光景に恐怖やら諦念やら、様々な感情が入り混じってしまい、悠がいるにも関わらず、俺はあれを使用してしまった。

「っ!! 燃えろぉぉぉおお!!!!  」

俺は今放出できる最大温度の焔を化け物に向けた。今は相手に放つような操作ができないが、今回に限ってはこれだけでいい。

「きゃうっ!!」

恐らくこの化け物は、自分よりも小さい人間如きに抵抗されると思わなかったのだろう。柊の生み出した焔に恐れた化け物は、さっきまで俺たちを追いかけてたスピードよりも、はるかに速い速度で逃げていった。

「あれ?あの首についてるやつは・・・」

俺は、あの化け物が逃げる瞬間、とても窮屈そうに首に巻きついている何かが見えた。

「ふぅ。牽制程度になればいいと思ったけど。存外に効いてくれたなぁ。ほんとよかったぁぁぁぁぁあ。」

しかし、そんな事よりも今はこの場を乗り切れたことに安堵し、俺は一気に緊張の糸が切れてしまい、その場に座り込んだ。

(ふふっ。しかし、今の俺は中々格好よかったんじゃないか。やはりこの国を救えるのはおれしかいn...)

今回の出来事を振り返っていたら、自分の肩に衝撃が走ったのを感じる。恐る恐る衝撃の発生源に目を向けると、

「詳しく教えてくれるよな?」

そこには落ちない女など居ない、そう言われても納得する程の魔性の笑みを浮かべた悠の姿があった。

同志よ。約束破っちゃった。
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