メクレロ!

ふしかのとう

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第三章 血

第2話

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 振り返るとマキちゃんが立っていた。

 「とても美味しいです…部屋のこと、マキちゃんだろ?」

 「部屋のこと?ああミコちゃんの予約だからてっきり旦那さんかと思ってダブルにしちゃったてへ。」

 取って付けたような、てへ。

 「白々しいわね。全く、何考えてるのよ…。」

 「ごめんなさいミコちゃんも流石にタッ君と一緒はイヤでしょでも残念ね今日はもう他の部屋が埋まっちゃっててだから仕方ないミコちゃんはそのままでタッ君は私の部屋にってもどうせタッ君嫌がるだろうからそうだ私の隣に使ってない部屋があるから今晩はそこ使って?」

 一切淀みなく、予想通りかそれ以上の事を言ってくるマキちゃんは、ある意味凄い。でも…。

 「あら、私なら別にこのままタキ君と一緒で大丈夫よ?」

 「そうでしょ、やっぱり一緒よね…はぁっ!?何言ってるのよミコちゃん!?」

 「さっきタキ君と話し合って、このまま泊まらせて貰いましょうってなったの…残念ね、わざわざ準備して貰ったみたいだけど?」

 「くっ…でもそんなことは想定済み。ミコちゃん結婚してるんでしょ?それなのに旦那さん以外の男の子とお泊まりだなんて、ねぇ?私が許してもウチのおかみさんがなんて言うか…。」

 「あぁ、言うのが遅くなってごめんなさい。私結婚してるって言ってたけど、あれ嘘なの。嘘吐いててごめんなさい。私、独身なの。だから問題無いわね。」

 「はぁっ!?嘘って、いやいや、ちょっとタッ君!?話が違うわよ!?」

 「いやいや、話って言っても…。」


 ーーマキ!あっちで注文呼んでるよ!どうもすみませんねぇ騒がしくて、おや?タキ君じゃないかい?久しぶりだねぇ、っとこちらは、ん?あなたこの店に来たこと…あーっ、あの、ほら、あの、ほれ、えっと、ほらほら、そうそう!ミコちゃんか、ごめんねぇ名前が出なくて、ほんと久しぶりじゃない!変わらないねぇ!相変わらず細くて可愛くて!羨ましいわぁ、私なんか横に広がるばっかりで、そういえば宿帳にミコーディアってあったから見覚えあるような無いような気がしてたのよ!それにしてもタキ君とミコちゃん、恋人だったんだね!あはは隠さなくて良いよ!2人の顔見ればあたしにはわかるんだから!この店に来てたお客さんが恋人になってまた来てくれるなんてあたしゃホンット嬉しいよ!ま、ゆっくりしてってね、それじゃ、ミコちゃん?頑張るんだよ…。


 「頑張るのは博士の方でしたか。」

 「ち、違います!…もう!おかみさんったら、もう!」

 応援された博士は赤い顔してジト目になってる。

 「でも覚えてらっしゃいましたね、博士のことも、俺のことも…。」

 「うん…私は嬉しいけど…。」

 「まぁ良いじゃないですか。喜んで貰えたんだし…それにしても恋人ですって。お似合いに見えるんでしょうかね?」

 「…黙秘します。」

 「もう諦めて俺と付き合ってみませんか?」

 「…お断りします。大体あなた、マキちゃんはともかくブルゼットちゃんはどうしたのよ?あの子、振られたけど諦めないって言ってたけど…ちゃんとこっちに来る話してきたんでしょうね?」

 「あー…あの子と話す事はもう無いですかね。」

 「え?それってどういう…。」

 「おーい、おふたりさんいらっしゃい!久しぶり、でもないか。やっと今日の地獄のロースト係が終わったわ。オーブンの前で俺までローストになるかと思ったわ。」

 「お疲れさん、もう仕事は良いの?」

 「うん。ばあちゃんが今日はもう良いって。タキ泊まるんだろ?部屋どこ?着替えたら行くから飲もうぜ。」

 「あ、いや、博士と一緒なもんで。」

 「え?なんで?博士ついに…。」

 「ち、違います!シン君ちょっと…。」

 「はい?」

 博士がシンに内緒話をしてる。
 約束の話かな?先を越された。まぁ良いけど。

 「…ふぅん。やったなタキ!」

 「やったな、じゃないでしょ!?」

 「やったぜ!」

 「何なのよ!?もう!」

 「まぁまぁ。博士は何飲みます?今日はここで飲みましょ。今日は俺の奢りです。」

 「酔わないやつで。なんなら水でも。」

 「酔ったら自分が何するか自信が無いと?」

 「…オススメで。」

 「了解!タキも適当で良いだろ?取ってくるわ。」

 「すまんね。」

 …さて。

 「博士?そろそろシンとの約束の話なんぞ教えてくだ…。」

 「無理。それにその前に、ブルゼットちゃんの話よ。なんかあったの?」

 「無理って…まぁ良いけど。なんかあったのって、手紙貰って、俺を諦めたって書いてありましたよ。」

 「そうなの?私聞いてないけど?」

 「まぁ博士に言う程の事でも無いかなって。」

 「それはそうだけど…手紙貰ったの、いつ?」

 「交流会の日の夜ですけど…。」

 「え?あの日?そんな筈は無いと思うけど…。」

 「おまっとさん。どうしたの?深刻な話?」

 「ううん、ちょっとね…シン君はブルゼットちゃんがタキ君を諦めたって話、知ってるの?」

 「ええ、タキと一緒にカンジから聞いたんで。まぁとりあえず乾杯しましょうや。かんぱーい。」

 「かんぱーい。」

 「かんぱーい…ふぅん。でも私と話してた時にはそんなこと言ってなかったけどなぁ。手紙に理由とか書いてあった?まぁでもやっぱり私…よね?」

 「うん、まぁそうですけど…。」

 「博士!その話はあとでゆっくりふたりきりでして下さいな。多分俺が聞いちゃダメなやつだよ。そんで、博士は聞いといた方が良いかもね。」

 「…そうね。それじゃあとで。」

 「えー、この話はもう良いでしょ。そういう時に他の女の子の話するのは駄目って聞いたことがある。」

 「おお、ついにタキもベッドのマナーが解ってきたようだな。」

 「そ、そういう時なんかありません!もう、2人してなんなの!」

 「はいはーい、私も混ぜて混ぜて!…よいしょっと、かんぱーい!くぁー仕事の後は最高ね!」

 「ほいかんぱい。マキちゃんももう仕事は良いの?リズィちゃんだけ?」

 「リズももう来るわ。おばあちゃんが偶には良いよって。まぁもう常連さんの時間だし。」

 「こんばんは。ミック博士初めまして、リズィです。」

 「リズちゃん初めまして。シン君の彼女さんでしょ?ミコで良いわよ、もう学校辞めたから博士じゃないし。」

 「えっ!?博士学校辞めたんですか!?」

 「実は俺も辞めてきた。」

 「はぁ!?何言ってるのかさっぱりなんですけど!?」

 俺達が学校辞めた話を聞いてシンが驚いてる。内緒にしてた訳じゃないけど、ちょっと面白い。

 「俺と博士は手を取り合って学校を辞めてきたんだ。」

 「手は取り合ってないけど、まぁそうね。」

 「なんで?いやちょっと頭が混乱して良くわからないんだけど…君達結婚するの?」

 「違います!なんでそうなるのよ!?」

 「いや、とりあえず博士の家族に挨拶に行こうって話になってさ。」

 「行くけど、そうじゃないでしょ!」

 「ふぅん、俺の場合は元々リズの親達に可愛がって貰ってるから楽だけど、お前の場合大変だな。初対面だし、記憶無いし。」

 「その、タキ君の記憶が消えちゃう魔法について、私のおばあちゃんに聞きに行くの。」

 「やっぱり第一印象って大事だよな。何かお土産持ってこうと思ってるんだけど何が良いかな?」

 「タキさんタキさん。それなら私、美味しいケーキ屋さん知ってます。色んな小さいケーキ入った箱なら人数解らなくても大丈夫かと。ミコさんのお母様も喜びますよ。」

 「そっちは何話してるの!?そういうんじゃないってば!」

 「でも博士?俺は教えて貰う側ですからやっぱり何か必要ですよ。ご家族はケーキ嫌いですか?」

 「いや、まぁ大好きだけど、良いから!絶対変な風になるから!」

 「まぁまぁ博士、落ち着いて。タキは博士の実家に挨拶する為に辞めた訳じゃないよな?前に休みに行くって言ってたし。なんで辞めたの?」

 「話せば長くなるんだが、博士に聞いた方が良い。」

 「なんで私が…。」

 「博士はいちばん、大人、ですからね。いちばん若いのは、リズィちゃん、ですよ。さ、どうぞ。」

 「おとな…リズちゃん…いやいやいや無理無理私無理!無理だから!」

 「…と、まぁこんな感じです。」

 「おいタキ、ちゃんと説明しろよ。」

 「シン、ちょっと来い。」

 「何だよ、ここで良いじゃんか…で?」

 少し離れた場所で、小さい声で話す。

 「驚くなよ?あの学校は30歳まで童貞の人間しか居ない。学長がそういう学校を作ったんだ。」

 「なんだそれ?魔法使いじゃないの?」

 「その、30歳まで童貞だと魔法使いって呼ばれるそうだ。学長が魔法使いを増やしたいっていう話でな。」

 「なんだそりゃ?気持ち悪い…じゃあ俺がクビなのは俺がリズと、ってことか。」

 「そうだ。それで色々あったんだけど、なんせ学長が気持ち悪いから辞めた。」

 「お前、その話を博士にさせようとしたんか…。」

 「こんな話リズィちゃんの前で出来るかよ。それに、マキちゃんもおかみさんも居るんだぞ。」

 「タキさん、流石の配慮です。リズには俺から言っておく。」

 「任せた……ほいただいまっと。」

 「タッ君?何なの?全然解らないんだけど。」

 「いや、俺は魔法使いになりたくないって話だよ。」

 「ふぅん。良く解らないけど…ん?てことは今無職なの?」

 「まぁ、そうなるね。」

 「じゃあさ、私が飼ったげる!」

 「姉ちゃん、何言ってんの?馬鹿なの?」

 「えぇ~、お願い!良いでしょ?ちゃんとお世話するから!」

 「駄目です。ちゃんと博士に返してきなさい。」

 「なんで私なのよ!?」

 「ほら!ミコちゃんはタッ君いらないって!」

 「そんなこと言ってないでしょうが!」

 「……。」

 「……。」

 「……。」

 「……。」
 
 「あ、いや、今のは違くて、その…。」

 「タキは明日からどうするの?」

 「こっちに住むつもり。明日引越しの荷物が届く筈だからとりあえずどこか置ける場所を探して、それから家探そうかと。」

 「違うの、聞いて?今のは違うのよ?」

 「そしたらタッ君、うちの使ってない部屋に荷物入れとけば?あと、私の知ってる不動産屋さん教えたげるからそこ行けば?」

 「マキちゃん…本当にありがとう。助かるよ。」

 「あの、私は別に、タキ君のこと飼いたいなんて思ってないからね?」

 「私もシン君のこと、ちょっぴり飼ってみたいなぁ…なんて。」

 「おいリズ、なんてこと言うんだ…まぁリズになら…。」

 「リズちゃん?私タキ君飼ってないからね?」

 「あーあ、私も、私のこと好き好き言って懐いてくれる可愛い年下の男の子飼いたいなぁ。」

 「そ、そんなんじゃないから!ね?マキちゃん、マキちゃんてば!」

 「…ミコちゃん?」

 「解ってくれた?」

 「ミコちゃんのおばあちゃんにタッ君の魔法のこと聞きに行くのよね?解りそうなの?」

 「私の弁解は聞いて貰えないのね…なんとなくこれかな?っていうのはあるみたいなんだけど確証は無いみたい。」

 「これかな?心当たりはあるんだ!それじゃもしかして!」

 「でも、なんかあんまり良くないことかもしれないって…。」

 「良くないこと?」

 「うん。だから私が勝手に調べたら駄目だから詳しくは言わないって。」

 「…そっか。あのさ…。」

 「うん?」

 「もし、それでタッ君の魔法のことが解ってさ。」

 「うん…。」

 「タッ君の記憶が戻せるってなってさ。」

 「…うん。」

 「それで、魔法を使う前のタッ君に戻せるってなったらさ。」

 「……。」

 「マキちゃん…。」


 マキちゃんの言いたいことはなんとなく解る。俺の記憶が戻せるなら、俺がマキちゃんと恋人になる直前まで戻すことが出来るなら、戻して欲しいってことだろう。でも…。


 「俺は戻すつもりは無いよ?マキちゃんには悪いけど、こういうのははっきり言わないと…。」

 「タッ君がそう言うのくらい解ってるわよ。でも…。」

 マキちゃんはそう言いながら博士を見る。

 「ミコちゃんはどうなのかな?って話よ。」

 「え?博士?」

 「そ。タッ君を戻せる魔法とか薬があるなら、ミコちゃんはタッ君の意思に関係無く、タッ君を戻してくれるのかな?って。」

 「で、でもタキ君は戻さないって…。」

 「ミコちゃん?タッ君は記憶が戻ったら、戻したくなかったのに!なんて言うかしら?」

 「それは…。」

 「記憶が消えちゃう前のタッ君は、記憶を消したかったのかしら?」

 「そんなこと、無いと思う…けど…。」

 「だから、もしタッ君の記憶が戻せるなら、タッ君がなんと言おうと、戻して欲しいっていう私からのお願い。自分勝手だけどね。」


 自分勝手。マキちゃんはそう言うけど、俺はそうは思わない。マキちゃんだって、俺が魔法を使って記憶を無くしちゃったせいで、辛い思いをしたんだ。それを戻せって言うマキちゃんのことを自分勝手なんて、俺は言えない。マキちゃんは素直に、正直に、自分の気持ちを本気で言ってるだけだ。そう、これは本気だ…。


 「ミコちゃん?どうかな?」

 「…私は…。」



 マキちゃんの気持ち。

 それに対する博士の気持ち。

 聞きたいような聞きたくないような。



 「悪いけど断るわ。」




 え?







 
 
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