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第五章 四角三角
第10話
しおりを挟む「すると、エルフの場合は命令では無くて、呼び掛けるみたいなことですか?」
「そう、なるのかしら?私達エルフは精霊と寄り添って存在してる、って考え方だから呼び掛けるとか話し掛けるみたいな感じなんだけど…。」
「でも、授業だと…。」
ミコはブルゼットの基礎魔法学の宿題を見ていた。真面目なブルゼットは、病気の俺の性欲処理の為という名目で来たのに、ちゃんと律儀に休みの宿題を持って来ていたのである。
2人並んでると姉妹みたいだ。ただ、教わってる方がお姉さんに見えるけど。
「…だから、あなた達人間の場合だとどうしても、精霊との繋がりを作る為に、それぞれの宗教を信仰せざるを得ない。それで、その繋がりが出来た精霊に対して何かを伝えるには、それぞれの神様の威厳を借りなきゃいけない。威厳のある神様の代わりに言うんだから、威厳のある命令である必要があるって訳。」
「エルフの場合は、友達みたいだからってことですか?」
「そうね。友達に命令なんてしないでしょ?だから、私達エルフは命令じゃなくて、呼び掛けるの。オリア達ドワーフも同じだと思うわ。」
「なるほど。それじゃこっちの、種族毎に違う筈なのに複数の…。」
「ちょっと待って?あなた全然休憩してないじゃない。少しは休まないと。」
「え?…ホントだ。なんかミコさんに教えて貰ってると楽しくて!」
「そう言って貰えるのは嬉しいけど、詰め込み過ぎも良くないわ。お茶にしましょ?」
「用意してあるよ。お菓子もあるし。」
「わぁ!タキさんありがとう!」
「あら、ありがと…それにしてもブルは本当に真面目ね。」
「俺も真面目だったでしょ?」
「真面目…真面目?」
「真面目に取り組んでました!」
「えっちに真面目だっただけでしょう?」
「真面目に取り組んでた結果が、偶々そういう風になっただけじゃん。」
「あれが偶々ですって?」
「あの、タキさんはミコさんのところで魔法を教わってたんでしょ?それがなんで、えっちに?」
「タキ君はね、魔法で私のスカートを捲ってたの。」
「あれ?タキさんは、蝋燭の火を消すんだって言ってたよね?」
おうふ。若かりし頃の小さな嘘が。
「あら?タキ君、ブルに嘘吐いてたの?」
「えぇっ!?そうなの?」
「格好付けたいお年頃でして…。」
「ふーん。」
「ふーん。タキさんのえっち。」
「履いてないのに馬乗りになってスカート持ち上げて見せてくる子はえっちではない、と?」
「あ、あれは友達が…もう早く忘れて!もう!」
忘れる訳無いでしょ。一生大切にします。
それに…。
「2番ならどうせいつか見るじゃん。」
「そ、それとこれとは関係無いから!」
そう、ブルゼットは2番目になった。
それは、昨日…。
「ぶ、ブルちゃんもまだまだねぇ?お疲れ様。初めてにしては良く頑張ったけど、うん。残念だったわね?」
「うふふっ、悔しいですけど、耐えられませんでした。タキさん、私約束したので、オリアさんにもちゅう、お願いしても良い?」
「おい4番。」
「ば、番号で呼ばないで!そ、それに、ブルちゃんは耐えられなかったでしょ?本人もそう言ってるし!」
「タキさん?してあげて?」
「…それじゃ、こっち来て。」
「わ、解れば良いのよ…こっちのほっぺたが良いかな?」
近寄って来たオイちゃんを抱き締める。
ちっちゃいのに大きい。
「わわっ、タキちゃんたらこんなサービスまで?それとも、抱き締めたくなっちゃった?なんてねうふふっ。」
「オイちゃんは先輩のお手本として、耐えられるとこを見せてあげないとね?」
「ん?何を言って…まさか!?タ、タキちゃん?駄目、駄目だからね!?」
「……。」
「み、ミコちゃん!タキちゃん止めてよ!」
「え?私は負けで良いもん。1週間だし。」
「ぐぬぬ、ミコちゃんの裏切り者!やっぱり優しくない!もう、ブルちゃんに負けてタキちゃん盗られても知らないから!」
「タキ君、オリアにお仕置き。」
「ごめんごめんごめん!ふあっ!やっぱすごっあっ!もう駄…あ、あれ?」
「さ、オイちゃんは何番目だっけ?」
「うっ…。」
「何番目?」
「…2番目です。」
「なんで負けを認められないの?」
「…だって、4番目はともかく、向こう100年お仕置き無しなんて…。」
「構わないって言ってたじゃん。」
「そうなんだけど…とりあえず続きする?」
「なんでよ?お手本見せられなかったでしょ?」
「お手本でしばらく無くなるなら、最後に最後までして貰えれば…。」
「しない約束でしょ?」
「…もういい解った。私は4番目で、100年はお仕置き無しってことでしょ?…もう解ったよ…。」
…そんなに落ち込むか?
ちょっと可哀想になってきた…いや、100年は兎も角、ここで許すとまた繰り返すことになる。まぁこれ以上俺の周りに女の子が増えることもあるまいが、俺の知らないところで俺がどんなことをしてたのか解らない以上、気を付けるに越したことはない。
「あの、タキさん?」
ブルゼットが話し掛けてきた。
「ん?どうしたの?」
「私は別に、勝って何番になりたいとか、そういうつもりじゃないんです。ただ、ミックさんとオリアさんが、2人ともタキさんのことが好きなのに仲良さそうで、私もそこに入れて欲しかっただけなんです。」
「ブルちゃん…。」
「だからオリアさんの、私が耐えられたらとか、そういうのは無かったことにして欲しいの。お願い、お願いします。」
「…ブルゼットが言うから、だからね?」
「ありがとう!」
「うわぁぁん!ブルぢゃん、ありがどうごべんね!」
「良いんです。それに私も、さっき私だけおでこにして貰いましたから!それで、私と仲良くしてくれますか?」
「ずびっ、ごっぢがらお願いじばず!」
「ブルゼットちゃん、私も仲良くしたいんだけど…。」
「ミックさんも、よろしくお願いします!うふふっ、やった!」
「ふふっ、それじゃ、私のことは今度からミコって呼んで?私も、ブルって呼ぶから。」
「はい、ミコさん。」
「ぐすっ、ちーん!ブルちゃん、その、私はドワーフで長いからさ、その、すんっ、お仕置きはちょっと困るけど、2番になるっていうのだけは受け取ってくれない?やっぱり、悪乗りした私が悪いんだもん。それくらいは、させてよ。ね?」
「…本当に良いんですか?」
「うん。でないと私、いつか本当に取り返しのつかないことしちゃうかも。だから、ね?受け取って?ミコちゃんも、良いでしょ?」
「私は別に順番なんてどうでも良いのよ。マキもそうでしょ?」
「まぁそうなんだけど、けじめみたいな?だから、ね?ブルちゃんは2番目。もう決めたから!タキちゃんも、決めたからね!」
「はいはい。」
「はい、は1回!」
「はい。」
「よろしい。それじゃ早速だけど、さっきのお仕置きの続きをタキちゃんのお部屋で…。」
「ブル?やっぱりお仕置きも無しって言ってあげなさい。」
「はい。」
「ブルちゃん!?」
「なんてね!うふふっ…。」
「もう、ブルちゃんたら、うふふっ…。」
…思い返すと、ブルゼットが天使だった。
大事なところを見たからそう思う訳じゃないぞ?違うからな?良い子だって話だからね?って俺は誰に言い訳してるのか…ミコか?
ミコは茶色が金色になるんだろうか?今度ちょっと見せて貰おう。てか、そろそろちゃんと見る筈なんだけど、どうもタイミングが悪いんだよな。
…なんか悶々としてきた。
「そ、そんなことより、タキさんの魔法なんですけど…。」
「ん?捲って良いの?」
今日はミコはスカートではないので、俺が魔法を使うとしたらブルゼットしか居ない。ブルゼットのスカートは捲ったところを見たことあるけど、パンツは見たことない。
俺は肉まんの中身だけ食べて、皮を残すような最低野郎ではない。いや、話題的に肉まん、はぎりぎりなので例えを変えると、茹で卵の黄身だけ食べて白身を残すような最悪最悪のクソ野郎ではない。
「だ、駄目!絶対駄目だから!タキ君?本当に駄目なんだから!」
「なんでミコがそんなに…。」
「駄目に決まってるでしょ?ほ、ほら!2番とはいえ、そういうのは駄目なんだから!ねぇブル?」
「…あぁっ!そうだ!駄目!」
…まさか、また履いてないのか?
「でもミコ?俺の魔法はミコにしか使ったことが無いし、ミコにしか使えないみたいけど、本当にそうなのかちゃんと検証してみる必要があるよね?それに、ブルゼットにとっても、実際に魔法を体験するっていうのは、魔法学の勉強の為にも良いと思う。」
「なんでこういう事になるとさらさら真面目っぽいことを言えるのかはさておき、それはそうなんだけど…解ったわ。ちょっと待ってて?ブルもこっちに…。」
「え?うん…。」
…ミコがブルゼットを連れて行った。これは、俺に捲られても良いように、ブルゼットにショートパンツを履かせる気だろう。
…それならこっちにも考えがある。
「…待たせたわね。」
案の定だ。ブルゼットはぱっと見変わらないように見える。
くっくっく、これなら安心とでも思ってるのだろうが、甘い!甘過ぎる!
「よし、ブルゼット。脱いで?」
素直なブルゼットならちゃんとお願いすればいける筈。最悪泣き落としも辞さない。
「えぇっ!?」
「ショートパンツ履いたでしょ?それじゃ精霊もやる気出ないんだ。だからほら、脱いで?」
「駄目に決まってるでしょうが!タキ君あなた、そんなにブルの下着が見たいの?」
「え?下着履いてるの?」
「え?」
「いや、駄目って言うからまた履いてないのかと…。」
「は、履いてます!今日はちゃんと履いてます、けど…。」
「ぶ、ブル?言わなくて良いからね?」
なんだ?純粋にパンツを見られたくないっていうのとはちょっと違う気がする。少し気になるな…。
嘘です。物凄く気になります。
「なるほど。ブルゼットは俺に見せられないくらいえっちな下着を履いている、と?」
「……。」
「……。」
適当に言ったら当たりだったらしい。
「では、正解かどうか確認を…。」
「駄目だって言ってるでしょうが!あんな、あんな…。」
「どんな?」
「どんな…って、言わないから!言ったら、想像するんでしょ!?えっち!」
「なら、履いてない想像をします。」
「だめ!早く忘れて!」
「…ブルゼット?俺はブルゼットのことを…。」
「ブル!聞いちゃ駄目!口説き落とされるわよ?」
「口説き落とされる?」
「ミコ?ミコはなんで邪魔するのさ?」
「なんでって、当たり前でしょう?そんな…。」
「俺が他の子の下着を気にするから?」
「そ、そういう話じゃ…まぁ、そういうこともあるかもしれないけど…。」
「でも俺、ミコとそろそろって思ってるのになかなかそういう風になれないから、何だか悶々としちゃってさ…。」
「そ、そうなんだ…ま、まぁ?私もその気持ちは解るというか…。」
「え?俺だけが悶々としてるんじゃないかって不安で…。」
「そんなこと無い!そんなこと無いよ?私も同じだから。私だって…。」
「ミコ…。」
「タキ君…。」
「……。」
「ん…ちゅ、ちゅ…ねぇタキ君?もうベッド行こ?」
「…ちゅ、ブルゼットも一緒で良い?」
「ええ、ブルも一緒に3人で…ブル!?」
「…あ、あの…。」
「ブル?ち、違うのよ?私、3人でなんて、2人もまだで、1人はあれで、いやちょっと私も何が何だか…。」
「あ、あのあの、よろしくお願いします!」
「そうじゃないでしょう!?」
「だだだ大丈夫です!わ、私、勉強してきましたから!」
「べ、勉強?」
「3人ですることもあるって友達が言ってました!」
「えぇっ!?最近の子は随分進んでるのねぇ、じゃなくて、私3人でなんて…。」
「それに私、元々そういうつもりでこういう下着しか持って来て無いんですから!」
そう言ってブルがすっ、とスカートを持ち上げると、その先に見えたのはとてもえっちな…。
ショートパンツじゃねぇか。
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