メクレロ!

ふしかのとう

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第五章 四角三角

第18話

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 「俺に良い考えがある。」

 咄嗟に嘘を吐いてしまった。

 公平で誰もが納得出来る?無理だよ!このいたずらは最早、ブルゼットのものと言っても過言ではない。今更ブルゼット以外にしたら、俺が納得出来ないだろう。


 さて、どうするか…。


 「タキ君?その考えって?」

 「いっそ、このいたずら自体を止めるというのはどうだろう?」

 「はぁ…全然駄目ね。少なくとも私は納得が出来ないわ。」

 溜め息混じりに、何故そんな簡単なことが解らないのかと馬鹿にしたような顔をして言うミコ。そんな顔も可愛いけど、せめて呆れるような顔にして欲しい。

 「でも、このままだと俺は、皆の足の舐めてまわる変態だよ?ミコは恋人が変態でも良いの?」

 「それは…でも、既にタキ君はブルの足を舐めている。これはつまり、既にタキ君は変態と言っても過言では無いわ。」

 「でも、そうなると、その変態に足を舐めて貰いたいっていうミコも変態になっちゃうけど?」

 「私はまだ舐められてない。だからまだ変態ではないの。変態はブルだけよ。」

 「なるほど、ブルゼットは変態…。」

 「ブルは変態…。」

 「そ、そっちはなんてこと話してるんですか!?」

 「いや、公平且つ誰もが納得出来る結論が出てね…。」

 「違います!私は変態じゃない!タキさんがしてくるから…。」

 「なら、嫌だったってこと?」

 「……えっと、そうだ!3人!次はタキさんの言ってた通り、ミコさんとマキさんとオリアさんの3人で寝てれば良いと思うの!私は、ほら!もう目が冴えちゃって!」

 ブルゼットは割と上手く誤魔化した。

 「ブルちゃんがそれで納得してるなら確かに公平になるけど、本当に良いの?」

 「ブル?さっきあんたから聞いた限りではあんたも…。」

 「マキさん、しぃっ!良いの!良いんです!私は目が冴えてますから!」

 「…ふぅん。それならまぁ、お言葉に甘えて3人で寝ましょうかね?タキ君もそれなら良いんでしょ?」

 「それならまぁ…。」

 ブルゼット以外にするとなると俺がいまいち納得が出来ないんだけど、そんなこと言ったら大変なことになる。どう大変なのかは分からないが、とにかく大変なことだ。

 もはや、俺は妖怪足舐めとして精一杯、一生懸命に生きていく以外の道は無い。これは仕方の無いことなのだ。

 「よし、それじゃ再戦だね!タキちゃん?さっきの投票は忘れて、ちゃんとやるんだよ?」

 「タッ君?私を選べとは言わないけど、すぐ枯れてしまう花はひとつだけよ?」

 「マキ?それはちょっとずるいんじゃない?」

 「ミコ?腰紐が解けてるわよ?」

 「えっ?ミコちゃんそこまでする?」

 「た、偶々よ?なんか解けちゃったみたい?」

 「ふぅん。それなら私も偶々脱げちゃってるかも。」

 「マキちゃんも?なら私は…。」

 この人達も十二分に変態だ。

 「とりあえず出てるからね?」

 「そ、それじゃ私も…。」


 …ぱたん。


 「ふぅ…まったく、困ったもんだ。」

 「…うふふっ。」

 ミコの部屋を出ると、くすくす笑い出したブルゼット。思い出し笑いする人はむっつりスケベだって話は本当なのかも知れない。

 「どうしたの?」

 「なんかね?すっごく楽しいなって。皆で寝る前にお喋りして朝皆でドキドキして皆でわいわいやって、変な関係な筈なのに、皆仲良くて。こんな事、友達に話しても…。」

 どうしたのか、ブルゼットが話の途中で急に黙って俯いた。

 「…ブルゼット?」

 「…もうすぐ、私は帰らなきゃいけないんですね…。」

 「長期休み中は居るでしょ?それならまだ2週間以上…。」

 「ううん、あとたったの2週間。そんなの、きっとあっという間に過ぎちゃう。こんなに楽しいんだもん。」

 「またすぐ次の休みが来るよ。」

 「でも、それもまたすぐに終わっちゃう。またお別れがあって、寂しく1人で帰って…。」

 「次はデビイも連れてきてくれるんでしょ?」

 「デビイもきっと、もう帰りたくないって言う。そしたら、タキさんやミコさんは駄目だって言える?」

 いや、それは無理だけど…。

 「言えないかも知れないけど、デビイは物分かりが良いから…あ、いや、別にブルゼットが物分かりが悪いとかじゃなくて…。」

 いかん、上手い言い方が出来ない。単純な我儘っちゃ我儘だから、駄目っちゃ駄目なんだけど、そう突き放すのも違う気もするし…これが難しい年頃ってやつか。

 「我儘言ってるのは解ってる。でも、私が帰りたくないって言っても…駄目って言うでしょ?」

 そりゃ、まぁ…。

 「そうだね。」

 「でも、帰りたくない…。」

 「しょうがないじゃん?でも、あとたったの2年だよ?そしたら…。」

 「2年も、だよ。あと2年もあるんだよ?私は…私はきっとそのうち、偶に遊びに来るだけの、ただの年下の女の子になっちゃう!」

 「なる訳ないだろ?」

 「絶対なる!だって、解るもん!やっぱりタキさんはどこかで私のこと、妹みたいだって思ってるって!」

 ……そういうこと?

 「別に良いだろ?」

 「え?」

 「何が悪い?4人の中でひとりくらい、妹みたいに可愛がったり甘やかしたりしたって良いだろ?それが、本当は妹じゃないんだぜ?最高だろ?俺はやりたい放題したって良いんだ。」

 「や、やりたい放題は困るけど…。」

 「それに、自分だけ寂しいみたいに言うけど、俺だって、ミコだってマキちゃんだってオイちゃんだって、リズィちゃんだってシンだっておかみさんだって、皆寂しいんだぞ?」

 「……ぐすっ。」

 「皆で並んでまだかな?まだかな?って指折り数えて待つんだぞ?もし来なかったら皆で捕まえに行くぞ?皆だぞ?オズの家のお客さんもだぞ?」

 「それは困る…。」

 「困るだろ?ブルゼットだって、帰りたくないとか言って困らせてるんだぞ?そんなの、帰らせたくないに決まってるだろ?」

 「すんっ、ごめんなさい…。」

 「妹を抱き締めるのは良いよな?」

 「それは…良い、デスケド…。」

 ぎゅう。

 「解った?」

 「…うん。」


 「あのぅ…。」


 「ねぇタキさん?」

 「ん?」

 「妹なら、もっと甘えても良い?」

 「勿論。」

 「本当の妹じゃなくても?」

 「ああ。」

 「えへへ…ぎゅうっ!」

 「…私もぎゅうっ!」

 「…マキちゃんは妹じゃないでしょ?」

 「私もタッ君の妹になる!」

 「マキちゃん年上だし。」

 「本当の妹じゃないから、年上でも良いでしょ?」

 「駄目です。ブルゼット1人で充分。」

 「えへへ…。」

 「ずるい!タッ君は何かとブルを優遇してる気がする!」

 「そりゃまぁ可愛い妹分だからね…ってか、あれ?マキちゃんどうしたの?」

 「どうしたの?じゃないわよ!タッ君があんまり来ないからミコもオリアも2人とも本当に寝ちゃって、私は待ち切れなくなって文句言いに来たらなんかブルが叫んでるし…。」

 そういえば完全に忘れてたわ。

 「ご、ごめんなさい。」

 「でもねブル?本当、タッ君の言う通り、私だって皆だって帰らせたくないの。でも、しょうがないじゃない?学校があるんだもの。友達だって居るでしょ?それもやっぱり、あなたにとって大事なものなの。」

 「マキさん…ぐすっ。」

 「2年って長いような気がするけど、タッ君のことを考えて、もっともっと可愛くて良い女になる努力してれば、きっとあっという間よ?それで、こっち来る度に、可愛くなったねって言わせてごらんなさい?そしたら多分、ブルは言うわよ?もう長期休みになっちゃった!って。」

 …リズィちゃんが言ってたことと同じだ。もしかして、リズィちゃんもマキちゃんに相談したりしたのかな?マキちゃんは頼りになる、皆のお姉ちゃんかもしれない。

 「…ふふっ、そうかも。」

 「それに、休みの時にブルが来てくれないとオズの家はてんてこ舞いだわ。もうブル以外雇わないから。」

 「マキさん…ぐすっ。」

 「言っておくけど卒業後もうちに来ないと、おかみさんが店休んで探しに行くって言ってたから諦めてね?お給料はそんなに出せないけど、美味しい賄いと素敵な先輩達は保証するわよ。」

 「ううぅ、ありがとう、ひっく、ござい、ますマキさん、マキさぁぁん!」

 感極まったブルゼットがマキさんに抱き付いた。

 「うおっと…うふふ、私も可愛い妹が出来たみたいね。」

 「ありがとう、ありがとうございますううぅ…。」

 「うふふ、よし、よし。」


 ブルゼットは顔をくしゃくしゃにしてマキちゃんに抱き付いて、それをマキちゃんが優しく撫でている。それはとても、とても温かい光景だ。そして…。




 今だ。

 さっき、腰紐を解くだの、下を脱ぐだの騒いでた。マキちゃんは普通に着ているが、寝ているという2人は恐らく、何かしら脱いでいる筈。もしかしたら下着姿で?

 今俺がすべきことは何か?マキちゃんとブルゼットを2人きりにさせる素振りで音を立てずに去る…これだ。俺はそっと振り向き…。

 「タッ君?どこに行くの?まさか…。」

 ばれた!作戦を切り替えろ!

 「ブルゼット?そのままマキちゃん捕まえててね?」

 「え?は、はぁ?」

 「ちょっ!ブル?タッ君はね?寝てる2人の…し、下着!下着姿を見ようとしてるのよ!」

 「えぇっ!?」

 マキちゃんの言い方…下着ではない?

 下着ですらない?

 まさか!?

 「なるほど、生まれたままですな?よし!」

 走れ!そして、素早く部屋の鍵をかけろ!部屋の外で騒がれたとて、起きたところで素っ裸!

 「あっ!だ、駄目よ!止めなきゃ!ブルも!」

 「えぇっ!?はわわた、タキさん!私!」

 「ん?」

 「私で我慢して!」

 するっ!


 ……なんだそのちっさいの。


 「ブル…あんた実は1番気合入れてたじゃないの…。」

 「えっ…ああっ!?」

 するとブルゼットは前を隠すように咄嗟に後ろを向いた。

 ああ、後ろはそうなってるんぐっ!…。




 ~~ 第五章 完 ~~
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