メクレロ!

ふしかのとう

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エピローグ

第1話

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 「ほいたら乾杯。」

 「ほいかんぱい…お前、こないだ姉貴んとこ行ったろ?」

 「行ったよ、誕生日だったし。」

 「50だぞ?」

 「全然綺麗だったし、相変わらず可愛かったぞ?」

 「ばばあが頬染めて気持ち悪かったわ。」

 「なんてこと言うんだ。」

 「それに、ついでにブルともやったろ?もう10年か?お前、2人からもう来るなって言われてたんだろ?」

 「ミコが、切りの良い誕生日くらいなんかあげたら?って言うからさ。でもプレゼント思い浮かばなかったから、頭にリボン巻いて行ったんだわ。ブルゼットは横に居たから、個人的な事情ということで。」

 「ブルは色気がおかしいもんな。リズとそんなに歳変わらないのに…あれは男がおかしくなっても責めちゃ駄目な法律作るべきだわ。そんでもって、それを個人的に占有する者を罰する法律も必要だわ。」

 「交換してみるか?ブルゼットとリズィちゃん。」

 「…いや、無理でしょ。」

 「俺はお前が悩んだ事を決して誰にも言わないよ。ミコには言うけど。」

 「はっ、するかしないかで悩んだのでは無い。ただ、どうしようか迷ったんだ。」

 「迷うことあるか?」

 「いや、ブルが嫌がったら出来んだろ。」

 「俺はリズィちゃんが多少嫌がる素振り見せても頑張るわ。嫌われてるんじゃなければ大丈夫ってことは、こないだマキちゃんが証明してくれたし。」

 「生々し過ぎるぞ。大体、姉貴はともかく嫁寝取られるとか、俺はお前に何したって言うんだ。」

 「まぁまぁ、飲め飲め。ま、ブルゼットはあの店で大分鍛えられてるだろうから、嫌がる素振りも見せずにそういうことにならないようにするだろうな。」

 「お前も飲め。そんなこと言ったらリズだって昔は出てたから慣れてる筈だし、逃げ方も上手いと思うぞ?」

 「交渉なんかせずにベッドに潜り込めば勝ったも同然よ。孫より年下の子供が出来るかもな。」

 「恐ろしい魔族だぜ…お前んとこはまだ作らないの?」

 「そうだな。ミコも別に欲しがらないし、俺も別に欲しい訳じゃないし。お前んとこの子供見て、これから孫も見て、ってそんなことやってたらそれはそれで割と楽しいもんだわ。」

 「お前、見た目の割に爺臭いこと言うのな。」

 「お前は年齢の割におでこ広いのな。」

 「こんなもんだろ。同い年の連中の中じゃマシな方だわ。凄いやつはチウンさんみたいだぞ?チウンさんは…元気?」

 「…元気っちゃ元気だけど、忙し過ぎるから値段を倍にしたのに余計忙しくなったとか愚痴ってたよ。」

 「高い方が信頼出来る気がするからか。いやはや元々世の中にどれだけの数の浮気疑惑があったのか、想像も出来んな。」

 「最近は浮気だけじゃなくて、恋人とかの過去とか知りたい人とかも多いみたいよ?結婚前の調査だって。それくらい自分で判断すれば良いと思うんだが金払いは凄く良いからやってるんだって。」

 「まぁ、結婚した相手が変なやつだと困るっちゃ困るもんな。金払ってでも知りたい気持ちはわからないでも無いよ。」

 「でも、モーちゃんの時は別にチウンさんに聞いたりしてないだろ?」

 「子供達のことは信用してるからな。あいつが選んだなら良いやって。」

 「ふぅん。娘に手を出すな!とか娘はやらん!ってのはやんなかったの?」

 「俺もリズと結婚前から色々やってたし、そういうもんだろ?親の方でがたがた言うのは、まだ娘を一人前って思ってない親だけさ。博士の時も、そうだったろ?」

 「まぁそうだな。確かに皆、喜んでくれただけだわ。お前、なんか偉いな。ちょっと尊敬するわ。」

 「孫まで出来ると人間が出来てないと困るわな。」

 「俺は魔族だから人間出来てなくても良いわ。」

 「半分人間じゃねぇか。」

 「半人前で良いってことだな。」

 「上手いな。注いでやるよ…最近博士は?メクレタ売れてるだろ?」

 「売れてるけどミコは、次は声を送れるようにするんだって、そっちに夢中だよ。」

 「声?」

 「黒デンワとかみたいに誰でも声が送れたら良いわねって。でも全然上手くいかなくてさ。」

 「ふぅん。よくわからんけど難しそうだもんな。」

 「空気で壁みたいなの作って、その中で喋って閉じ込めれば声が保存出来る筈だからそれを開けば声が鳴る筈だって言うからさ、やってみたのよ。ミコが喋って閉じ込めてさ、開けるから何て言ったから当ててみてって。」

 「わかったの?」

 「それが、開けたら、ぶぅ!っておならみたいな音がするだけでさ。喋ったのが全部纏まって音になったみたいでな。」

 「ちょっと面白いな。」

 「ミコのおならだ!って腹抱えて笑ってたら滅茶苦茶怒られたわ。」

 「そら怒られるわ。」

 「でも、何て言ったのか聞いたら、顔真っ赤にしてたからキスしたら許して貰えたわ。」

 「相変わらずちょろいな。」

 「人の嫁捕まえてちょろいとは何事だ。」

 「少なくともリズと比べたら博士は昔からちょろいと思うぞ?どっちが良いとかは無いけどさ。」

 「リズィちゃんをちょろくしてやろうか?」

 「やめて。今のままで丁度良いわ。大体、お前がちょろくしたって、お前にちょろいだけじゃねぇか…ってか元々お前にちょっと甘いし。なんか腹立ってきたわ。」

 「まぁまぁ。逆にリズィちゃんが厳しいのはお前にだけなんだから、愛されてるってことで。」

 「俺まで上手く丸め込まれてる気がするわ。」

 「お前も俺にちょろいということで。」

 「夫婦でちょろいのか。」

 「考えてみたらオズ家全員ちょろいな。」

 「姉貴もちょろいしな…てか、オズ家関係無し、種族関係無し、性別も年齢も関係無しに全員お前に甘いな。甘過ぎる。」

 「現王のお妃様はちょっと厳しいぞ。」

 「そうなの?」

 「別にあんたの薬になんか喜んでないんだからね!って言われるぞ。」

 「ツンデレって言うんだぞ。シャシンでやったろうが。」

 「薬にデレてるだけで、俺にはツンだ。まぁお国の為にはそれで良いんだけどさ。それにしても、シャシンとかよく覚えてるな。懐かしい。飲め飲め。」

 「うい、お前も飲め…こないだ整理してたら教科書出て来たんだ。ああいう時に出てくると読んじゃうの、なんなんだろうな。」

 「わかるわ。片付けしてても止まっちゃうよな。」

 「その時リズに見付かって怒られたんだけど、お前も見てみろって言ったらリズも読み始めちゃってさ。結局2人で読んでたわ。」

 「仲良しじゃないの。ベッドに潜り込むのは延期するわ。」

 「延期なのか。まぁ、今は仲は良いよ。」

 「今は、なの?」

 「モズやリラが結婚してちび達生まれるまでは、何かとずっと忙しかったから何となく、仲悪いとは言わないけど、仲良いとも言えなかったな。」

 「ずっと、こんな風には飲めなかったもんな。」

 「ああ。結婚してからの方が仲良くなくなるとは思わなかったわ。」

 「まぁ、それでも別れたりせずに、今仲良いならやっぱりリズィちゃんで良かったじゃないの。」

 「まぁそうだけど…お前のとこはそういうの無さそうだな。」

 「必ず一緒に風呂入るって決めてあるからな。お互い裸だと会話してないと持たないし、喧嘩してても仲直り出来るからな。」

 「下半身の会話も大事ってことだな。」

 「まぁ、風呂でするのは響くからやめてくれってトニーに言われてるけどな。」

 「部屋でするのだって同じじゃないの?」

 「なんか、部屋からより生々しいんだそうだ。だからお前も、今晩リズィちゃんとお風呂入る時気を付けろよ?」

 「いや入らんだろう。」

 「いや、折角の休みじゃん。2人でのんびり入るなんて中々出来なかっただろ?」

 「そうなんだけど、今更小っ恥ずかしいと言いますか。」

 「それなら俺がリズィちゃんと入るわ。」

 「延期はどうした?」

 「大丈夫だよ、何もしないから。」

 「はいはい、わかりましたよ。後でリズが入ったら突入するわ。」

 「そうしろそうしろ。でも、リラちゃんに怒られない程度にしとけよ?」

 「それは大丈夫。静かにするのは心得てるから。」

 「後学のために見学しても良い?」

 「駄目です。」

 「ミコなら?」

 「駄目です。てか何で博士なのよ?」

 「静かに出来ないのはミコだし。」

 「それはまぁそうだろうが…それなら見学しなくても女同士の話で済む事だろ?」

 「なるほど、慧眼です。」

 「慧眼ですじゃねぇ。お前んとこは横で見られてても良いかも知れんが、俺達は普通なの。」

 「うちが普通じゃないみたいに言いやがって。皆大人しく順番待ちしてたんだから可愛いもんじゃないの。」

 「普通順番待ちとかしないから。それに、俺ならせめて部屋の外に椅子並べて座らせとくわ。」

 「なるほどその手があったか。今後の参考にするからそのグラスを空けたまえ。注いじゃる。」

 「うむ…まぁ今はトニーだけか。同じ顔2人と、ってどうなの?」

 「トニーとはしてないんだよ。」

 「嘘こけ。」

 「いや、ほんトニー。」

 「下らねぇ…あんなに懐いてるのに?」

 「まぁ、昔が昔だからあんまり気乗りしないんだろうと思うから無理矢理にってのは気が引けるんだ。」

 「何故その気遣いを俺の嫁に対して持たぬのか。」

 「リズィちゃんはえっち好きだったじゃん?」

 「ぐうの音も出ないくらいにその通りだが、なんてこと言うんだ。」

 「でもミコは乗り気だし、のんびり落とそうと思う。」

 「流した…博士が乗り気?」

 「最初は、百戦錬磨の技を見てみたいって話だったんだけどさ。」

 「横に居るの前提なんだな。それで?」

 「ちょっと前から、トニーは実は処女なんじゃないかってミコが言うんだ。」

 「言い難いが、それは無いんじゃないか?」

 「俺もそう思う。乙女の勘だって言ってたし。」

 「色々間違ってるな。」

 「ああ。俺は別にそれはどうでも良いんだけど、なんかミコがそれはそれで興味持っちゃってさ。」

 「結局横で見たいだけなんじゃないの?」

 「まぁ、皆居なくなっちゃったからな。不満って訳じゃないんだろうけど、ちょっと寂しいのか、ただえっちなだけなのか。」

 「ふぅん。ま、あり得ないとは思うけどな。」

 「それじゃ、賭けるかね?」

 「2人で非処女なら賭けにならんだろ。」

 「俺はミコを信じよう。」

 「ふむ。なら良いだろう。では、何賭ける?」

 「シンが勝ったらブルゼットの下着を貰ってきてやろう。ブルのブラだ。」

 「流石です。それじゃお前が勝ったら…。」

 「お前を治すぜ。」

 「…何のことかな?」

 「倒れたんだろ?惚けても無駄だぞ?」

 「リズから聞いたのか?でもリズは…。」

 「チウンさんに教えて貰ったんだよ。」

 「口止めしたんだが。」

 「内容は言えないが口止めされたって言ってたから、お前の記録を買ったんだ。」

 「口止めになってねぇ…ちなみにいくらで?」

 「5ディミ。」

 「言う気満々じゃねぇかチウンさん。」

 「面倒だけど、そうしないとあの人も教えられないんだよ。まぁ、そんな訳だから。」

 「治して貰うつもりは無いから内緒にしたんだぞ?」

 「だから、賭けならしょうがないだろ?ってことだ。」

 「でも2回目だぞ?2回もお前の記憶を消すなんて…。」

 「俺はもう治しても大丈夫なんだぞ?」

 「でも、駄目だ。」

 「賭けに勝てば良いだけだ。乗らないなら問答無用で治すつもりだぜ?別に老衰なら諦めるけど、あとちょっとくらい、一緒に遊んでくれよ。」

 「…チウンさんに答え聞いてるんじゃないだろうな?」

 「いや、それはミコが前に聞いたんだけど高かったんだ。」

 「ちなみにいくら?」

 「1万ディミ。」

 「俺のを聞いた後だと高いような気もするけど、女の子のそういう情報としては破格だな。」

 「チウンさん的にも、言っても言わなくても良いってことだろ。ミコも、そんなお金払わなくてもいずれ判るから良いわってな。ま、とにかく答えは分からん。ということで、宜しいな?」

 「待て。なんか負けそうな流れだ。やっぱり処女の方に賭けても良いか?」

 「良いだろう。処女ならパンツ、非処女なら治すってことで。」

 「ブラだ。パンツでも良いけど。」

 「両方貰ってくるわ。では…丁度良いな。飲み物でも取りに来たのかな?」

 「…お兄ちゃん達、こんな昼間っから飲んでるわけ?まぁ良いけどさ。それより、おちびちゃん達が呼んでたわよ?お、じ、い、ちゃ、ん。」

 「マスターだって言ってるだろうが。」

 「ここはお店じゃないし、お兄ちゃんのおうち。おうちの主人はおにい。おにいの妹は私。つまり私のおうち。私のおうちに遊びに来た友達のおじいちゃんだからおじいちゃん。ね?」

 「いやいや、ちび達が友達っておかしいだろ?」

 「一緒に遊んでたんだから友達だよ?おかしい?」

 「ぐぬぬ…。」

 「その辺にしときなさいよ。それよりどうした?飲み物?」

 「ううん、お姉ちゃんとリズっちから逃げてきたの。女の子の話ってやつ?だからま、丁度良いから私もこっち混ぜてよ。お酒作ろうか?水着の女の子にただでお酒作って貰える機会なんて中々無いでしょ?」

 「そうだな。その水着似合ってて可愛いな。」

 「えへへ…。」

 「対応におじいちゃんと差があるんですけど。」

 「しょうがないよ。おでこの差だもん。」

 「ぐぬぬ…。」

 「おほほ…それで?何の話してたの?」

 「ああ、トニーが処女かどうかって話。」

 「こっちもか…って、はぁっ!?何の話してんのよ!」

 「いやだからトニーが…。」

 「わかってるわよ!…おにい?何度も言ってるけど、私は昔悪い事してたから百戦錬磨なの。処女かどうかなんて言わなくてもわかるでしょ?」

 「それを百一戦錬磨にするだけって言ってるのにいっつも断られるからもしかしてって言う話さ。」

 「おにいのことは好き。でもえっちはしない。する資格が無い。大体、マスターの前でする話じゃない。はい、この話はおしまい。」

 「トニーさんや。」

 「何かな、おにいさんや?」

 「実は俺とシンで賭けをしてまして。」

 「絶対下らない話だ。お兄ちゃんも禿げちゃえ。」

 「俺はまだ禿げてねぇ。」

 「実はもうじきシンが死ぬ。」

 「はぁ?何言ってんの?」

 「俺は治してやりたいと思ってる。だけど、シンが断るんだよ。」

 「…一応聞くけど、なんで?」

 「俺はタキの記憶を飛ばして生き延びるのは嫌なんだよ。例えまた戻るってわかってても、だ。知ってるかもしれないけど2回目だし。それに、俺はそれなりに一生懸命生きてきたつもりだからな。人間として後悔無く死ぬんだ。治して貰っても、お前等にとっちゃ残り短いんだ。そんなことの為にタキの記憶を飛ばすのは、嫌だからだ。」

 「……ふぅん。」

 「だからな?俺が賭けに勝ったら治す。シンが勝ったらブルゼットの下着を貰ってくることになっている。」

 「なんでブルちんが巻き添え食ってるのかはさておき、まさかとは思うけど…。」

 「ああ。お前が処女かどうかでもうじきシンが死ぬ。」

 「重た過ぎるんですけど…ちなみに、答えなかった場合は?」

 「賭けは流れて、シンは死ぬ。」

 「ちなみに、おにいはどっちに賭けたの?」

 「処女じゃない方だな。まぁ、お前の言う通りなのかなって。」

 「…ふぅん。リズっちは…リズは知ってるの?」

 「賭けのことは知らないけど、倒れたことは。」

 「ふぅん。ちょっと確認して来て良い?話が本当か、本当なら覚悟とか。」

 「俺は良いけど、シンは?」

 「どうぞどうぞ。」

 「ん、行ってくる……。」


 「…もう、やっぱ処女なんじゃね?」

 「やっぱ変更不可ってことで。」

 「駄目だぞ?俺が処女だ。」

 「俺は処女じゃないってことか…。」


 「……ただいまっと。」

 「おかえりっと。」

 「リズは何だって?」

 「本当だって言ってた。覚悟もしてるし、マスターの言うのも仕方ないってさ。」

 「で、答えてくれるの?」

 「うん。まぁ、答えないとマスター死んじゃうし。あ、答えても死ぬかもしれないのか。」

 「どのみちいつかは死ぬけどな。タキの味方して嘘吐いたりするなよ?」

 「そんなことしないよ。ちゃんと、ほんとのこと言うよ。約束する。ただ…。」

 「うん。」



 「答えるのは明日だよ?」




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