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第18話 ソフィー王女
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ソフィー王女は周りに聞こえない程度の声で喋りだした。
「私の固有スキルは相手の嘘が判りますの。さらには私は陰口が聞こえる程耳もいいので人の嫌な面ばかりを見てきましたわ」
レイやリリーナは驚愕して何も言えない。
「何が言いたいかと言うと、今まで人の嫌な部分を散々見てきたので貴族の同年代の子達と会話をする度に幻滅していったわ。そんな中貴方達の会話を聞いてすこしだけ期待したのだけれども、確かにリアム殿が言うように勝手に期待して試すようなことをした私が悪かったの…。ごめんなさい」
「ソフィー王女、あ、頭を上げて下さい。そんな環境にいたら誰もが疑心暗鬼になります。だから僕は気にしてません」
「も、もちろん私もです」
「皆、立場や事情があるのだから気にしておりませんわ」
レイ、リリーナ、アイリスの順に話をしている。
「良かったな。本音の言葉を聞けて」
「そうですわね。こんな日がくるなんて嬉しいですわね」
今まで一切笑うことがない人形姫と言われていたソフィーが微笑んだ。
周囲の貴族もだが、これに一番驚いたのは陛下であった。
「あ、あのソフィーが家族以外に微笑んだ…だと」
ソフィーの固有スキルを知っている陛下は大げさな程喜んだ。
嫁にも行けず、国の為に使われるのは目に見えて分かっていた。女としての喜びも得ず、死にゆくまで人の嫌な部分を見て生きて行くのが予想されるソフィーに同情すらしていた。
そんなソフィーに笑えるような人物が現れたとあってはお披露目会どころではない。
人目を気にせず策を考える。その為の情報が足りないなら徹底的に調べる。
こうして大人達が忙しなく動いているとも知らずに5人は友情を深めていった。
そして、お披露目会は終わりを告げ各々が次の予約をして帰っていった。
リアムもセイラとタイガと共に宿へ帰る際に大臣から明日王城に来るように伝えられた。
宿に着くとクルミとサクラを可愛がり遊んでいるとすぐに眠りについた。
神経を使った分疲れも溜まっていたのだろう。
クルミはよほど寂しかったのか、リアムが寝た後も「キュイ」と言いながら頭を擦りつけながらずっとひっついていた。
翌日リアムは目を覚ますと準備をし馬車が来るのを待った。
迎えの馬車に乗り王城に着くと応接室に案内された。
応接室と言えど飾りやソファーを見るだけで高いのだろうと一目で分かる。
そんなソファーに腰を掛け待っていると10分後ドアが開いた。
まさかいきなり陛下が入ってくるとは思わず、慌てて片膝をつき恭順を示す。
「陛下、先に行かないで下さい」
大臣の声が後ろから響いてきた。さらにその後ろからソフィー王女と執事が現れた。
執事にお茶を準備させている間、陛下は楽しそうに笑っている。
「陛下自らドアを開ける国が何処にありますか?」
「さぁな。でもこやつの驚いた顔が見れたぞ」
「当たり前です。驚かない者がいるなら見てみたいものです」
まったく~といいながらプリプリと大臣は怒っている。
これが日常の如く陛下は未だに笑っている。
リアムもソファーに促されやっと会話が始まった。
「さて、お主には褒美と頼み事があるがどちらから聞く?」
リアムは頼み事の件は聞いてないぞと思いながらもすぐに答える。
「褒美を頂いた後に頼み事を聞くと断りずらいので、先に頼み事からお願い致します」
「ほぉ~。それは余の頼み事を断ると言うのか?」
「私はまだ子供ですので、出来ることと出来ないことが多々ありますのでご了承下さい」
「冗談だ。頼み事と言うのは率直に言えばそこのソフィーと仲良くしてやってくれと言うだけだ」
「その程度でしたら、もちろん仲良くさせていただきます」
「お主はソフィーの固有スキルを知っているな?」
「昨夜聞かせていただきました」
「それを承知で躊躇いもないか…」
「別に嘘をつく必要もありませんので。世の中探せば、真面目で堅実な貴族も沢山いると思いますが…。」
「いないとは言わないが、領主になれば経営的な部分でズル賢くなる者が多くなる。その中で王族がこのスキルを持つと嫌がる貴族の方が多い」
「そんなもんですかね。私は領地経営に興味がないですからご心配なく」
ソフィーは今の会話を聞きながら嬉しそうにしている。
「なら、よい。では、本題の褒賞に移ろうか」
根掘り葉掘り聞かれずに頼み事の件が終わったことにリアムは安堵した。
「私の固有スキルは相手の嘘が判りますの。さらには私は陰口が聞こえる程耳もいいので人の嫌な面ばかりを見てきましたわ」
レイやリリーナは驚愕して何も言えない。
「何が言いたいかと言うと、今まで人の嫌な部分を散々見てきたので貴族の同年代の子達と会話をする度に幻滅していったわ。そんな中貴方達の会話を聞いてすこしだけ期待したのだけれども、確かにリアム殿が言うように勝手に期待して試すようなことをした私が悪かったの…。ごめんなさい」
「ソフィー王女、あ、頭を上げて下さい。そんな環境にいたら誰もが疑心暗鬼になります。だから僕は気にしてません」
「も、もちろん私もです」
「皆、立場や事情があるのだから気にしておりませんわ」
レイ、リリーナ、アイリスの順に話をしている。
「良かったな。本音の言葉を聞けて」
「そうですわね。こんな日がくるなんて嬉しいですわね」
今まで一切笑うことがない人形姫と言われていたソフィーが微笑んだ。
周囲の貴族もだが、これに一番驚いたのは陛下であった。
「あ、あのソフィーが家族以外に微笑んだ…だと」
ソフィーの固有スキルを知っている陛下は大げさな程喜んだ。
嫁にも行けず、国の為に使われるのは目に見えて分かっていた。女としての喜びも得ず、死にゆくまで人の嫌な部分を見て生きて行くのが予想されるソフィーに同情すらしていた。
そんなソフィーに笑えるような人物が現れたとあってはお披露目会どころではない。
人目を気にせず策を考える。その為の情報が足りないなら徹底的に調べる。
こうして大人達が忙しなく動いているとも知らずに5人は友情を深めていった。
そして、お披露目会は終わりを告げ各々が次の予約をして帰っていった。
リアムもセイラとタイガと共に宿へ帰る際に大臣から明日王城に来るように伝えられた。
宿に着くとクルミとサクラを可愛がり遊んでいるとすぐに眠りについた。
神経を使った分疲れも溜まっていたのだろう。
クルミはよほど寂しかったのか、リアムが寝た後も「キュイ」と言いながら頭を擦りつけながらずっとひっついていた。
翌日リアムは目を覚ますと準備をし馬車が来るのを待った。
迎えの馬車に乗り王城に着くと応接室に案内された。
応接室と言えど飾りやソファーを見るだけで高いのだろうと一目で分かる。
そんなソファーに腰を掛け待っていると10分後ドアが開いた。
まさかいきなり陛下が入ってくるとは思わず、慌てて片膝をつき恭順を示す。
「陛下、先に行かないで下さい」
大臣の声が後ろから響いてきた。さらにその後ろからソフィー王女と執事が現れた。
執事にお茶を準備させている間、陛下は楽しそうに笑っている。
「陛下自らドアを開ける国が何処にありますか?」
「さぁな。でもこやつの驚いた顔が見れたぞ」
「当たり前です。驚かない者がいるなら見てみたいものです」
まったく~といいながらプリプリと大臣は怒っている。
これが日常の如く陛下は未だに笑っている。
リアムもソファーに促されやっと会話が始まった。
「さて、お主には褒美と頼み事があるがどちらから聞く?」
リアムは頼み事の件は聞いてないぞと思いながらもすぐに答える。
「褒美を頂いた後に頼み事を聞くと断りずらいので、先に頼み事からお願い致します」
「ほぉ~。それは余の頼み事を断ると言うのか?」
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「冗談だ。頼み事と言うのは率直に言えばそこのソフィーと仲良くしてやってくれと言うだけだ」
「その程度でしたら、もちろん仲良くさせていただきます」
「お主はソフィーの固有スキルを知っているな?」
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