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第31話 無双
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偽善の旅は終わり、あっという間に約一年が経った。
ちなみにココロはセイラに任せて従者の勉強をさせていた。
元々ココロは貴族の子供の従者として雇われていたため基本的なことは知っていたのだが、リアムがご主人様とあって臨機応変に対応できるように育ててくれたみたいだ。
そして、現在は馬車の中でダンジョン都市に向かっているところだ。
もちろんタイガ、ユミル、ココロを連れてである。
馬車は乗り合い馬車で移動しているのだが、何故か皆に顔が知れ渡っていた。
数日間クルミを膝の上に乗せ可愛がっていると外が騒がしくなっていた。
緊迫した声で御者が冒険者に伝えている。
「前方で貴族と思われる馬車が魔物の群れに襲われています」
「止まれ、様子をみるぞ。貴族の馬車なら護衛がそれなりに居るはずだ」
「遠くなので具体的な状況はわかりませんが多くの魔物に囲まれている模様」
「チッ。俺ら4人が行ったところで戦況が変わるとも思えねぇ~。悪いが引くぞ」
「分かりました」
御者と冒険者の会話を聞きながらリアムは考えている。
「この窮地を救えば偽善が…。」
ココロはリアムの様子を見ながら問いかける。
「リアム様、どうしますか?」
主人としてかっこつけますかね。
「お尻が痛いからおりようか」
「えっ、そんな理由」
「まあまあ。スイマセン、ここで4人おりますので気にしないで下さい」
「いやいや、この状況なので気にするでしょう」
「ほら、急がないと他のお客さんを危険にさせますよ。それでは、よっと」
リアムは馬車を降りると振り返ることなく走りだした。
ココロも一緒に走るが、リアムの背中が徐々に遠ざかっていく。
それを見たユミルがココロの側に残るのだが、ココロはリアムの実力を知らないので焦りながら叫ぶ。
「ユミルさんもご主人様の元へ駆けつけて下さい」
ユミルは微笑んだ。
「大丈夫よ、まあ、見てなさい」
そんな中リアムの声が聞こえる。
「ユミルと待ってて。もし危険がありそうなら、バリアのスキルで身を守っておいて」
そう、ココロには優秀なスキルが二つある。一つは自信の身を守る三角錐のバリアの様なスキルがあるのだ。一年間従者の勉強と同時にバリアの強度を上げる練習をリアムより言われていたのである。
まあ、ユミルがいるので心配していないのだが、こうして心置きなく戦場に向かったリアムだが、前方はすでに酷い状況にまでなっていた。
護衛の者は血を流し倒れ、最後の一人が馬車の扉の前で必死に抵抗している状況だ。
倒れている者は辛うじて生きているように見えるがそれも時間の問題かもしれない。
リアムは急ぎ最後まで懸命に抗っている護衛の元へタイガと向かう。
途中にいる魔物を剣で軽くなぎ倒しながら駆け寄る。
「レッサーウルフの群れですか、よかったら手伝いましょうか?」
突然のことでビックリしている護衛だが、すかさず返事をする。
「かたじけない。お願いする…が、流石に二人ではどうしようもないだろう。逃げれるなら逃げてくれ」
この状況で他人のことを思いやれるとは欲しい人材だな。
「さてさて、それではショーの始まりと行きますか、タイガいくぞ」
「御意」
「舞え桜吹雪」
辺り一面、桜の花びらが舞い散り魔物の動きが止まる。
その隙にリアムは次の魔法を放つ。
「戦慄を奏でろ、カルテットランス」
上空に様々な属性の槍が現れ、180度前方の魔物に向かって次々に放たれる。
辺り一面を囲んでいた魔物に突き刺さり倒れていく。
それと同時にタイガは走り出し、命ある魔物に止めを刺してゆく。
護衛は何が起きているのか解らずに、驚愕し口をあっけにとられている。
ちなみにココロはセイラに任せて従者の勉強をさせていた。
元々ココロは貴族の子供の従者として雇われていたため基本的なことは知っていたのだが、リアムがご主人様とあって臨機応変に対応できるように育ててくれたみたいだ。
そして、現在は馬車の中でダンジョン都市に向かっているところだ。
もちろんタイガ、ユミル、ココロを連れてである。
馬車は乗り合い馬車で移動しているのだが、何故か皆に顔が知れ渡っていた。
数日間クルミを膝の上に乗せ可愛がっていると外が騒がしくなっていた。
緊迫した声で御者が冒険者に伝えている。
「前方で貴族と思われる馬車が魔物の群れに襲われています」
「止まれ、様子をみるぞ。貴族の馬車なら護衛がそれなりに居るはずだ」
「遠くなので具体的な状況はわかりませんが多くの魔物に囲まれている模様」
「チッ。俺ら4人が行ったところで戦況が変わるとも思えねぇ~。悪いが引くぞ」
「分かりました」
御者と冒険者の会話を聞きながらリアムは考えている。
「この窮地を救えば偽善が…。」
ココロはリアムの様子を見ながら問いかける。
「リアム様、どうしますか?」
主人としてかっこつけますかね。
「お尻が痛いからおりようか」
「えっ、そんな理由」
「まあまあ。スイマセン、ここで4人おりますので気にしないで下さい」
「いやいや、この状況なので気にするでしょう」
「ほら、急がないと他のお客さんを危険にさせますよ。それでは、よっと」
リアムは馬車を降りると振り返ることなく走りだした。
ココロも一緒に走るが、リアムの背中が徐々に遠ざかっていく。
それを見たユミルがココロの側に残るのだが、ココロはリアムの実力を知らないので焦りながら叫ぶ。
「ユミルさんもご主人様の元へ駆けつけて下さい」
ユミルは微笑んだ。
「大丈夫よ、まあ、見てなさい」
そんな中リアムの声が聞こえる。
「ユミルと待ってて。もし危険がありそうなら、バリアのスキルで身を守っておいて」
そう、ココロには優秀なスキルが二つある。一つは自信の身を守る三角錐のバリアの様なスキルがあるのだ。一年間従者の勉強と同時にバリアの強度を上げる練習をリアムより言われていたのである。
まあ、ユミルがいるので心配していないのだが、こうして心置きなく戦場に向かったリアムだが、前方はすでに酷い状況にまでなっていた。
護衛の者は血を流し倒れ、最後の一人が馬車の扉の前で必死に抵抗している状況だ。
倒れている者は辛うじて生きているように見えるがそれも時間の問題かもしれない。
リアムは急ぎ最後まで懸命に抗っている護衛の元へタイガと向かう。
途中にいる魔物を剣で軽くなぎ倒しながら駆け寄る。
「レッサーウルフの群れですか、よかったら手伝いましょうか?」
突然のことでビックリしている護衛だが、すかさず返事をする。
「かたじけない。お願いする…が、流石に二人ではどうしようもないだろう。逃げれるなら逃げてくれ」
この状況で他人のことを思いやれるとは欲しい人材だな。
「さてさて、それではショーの始まりと行きますか、タイガいくぞ」
「御意」
「舞え桜吹雪」
辺り一面、桜の花びらが舞い散り魔物の動きが止まる。
その隙にリアムは次の魔法を放つ。
「戦慄を奏でろ、カルテットランス」
上空に様々な属性の槍が現れ、180度前方の魔物に向かって次々に放たれる。
辺り一面を囲んでいた魔物に突き刺さり倒れていく。
それと同時にタイガは走り出し、命ある魔物に止めを刺してゆく。
護衛は何が起きているのか解らずに、驚愕し口をあっけにとられている。
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