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第49話 閑話 カノンの初恋
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私はモスキート伯爵家の長女として産まれた。
長男、次男の後に産まれた私は大層可愛いがられた。
兄様の厳しい教育を見た後では私の教育は甘やかされていたと言えるだろう。
何不自由なくすくすくと育ち気付けば10歳となり、貴族の子供のお披露目会が行われる歳となった。
その頃には7大美人の一人として私の名が上げられ、お披露目会後にはお見合い相手が殺到するだろうと言われていた。
そんな私にも小さな夢がある。
本当に小さな小さな夢のはずなのに貴族と言う名のせいで大きな夢になり兼ねない。
私はこの歳まで恋をしたことがない。そのせいなのか好きな人と結婚することに憧れている。
貴族としてお茶会などに参加し交流などするが、殿方の目は何処かいやらしく感じる。
こう見えて私は10歳ながらに発育がいい方だ。たまに大人のイヤな視線も感じるが貴族として気丈に振る舞う。
今はお披露目会の真っ最中なのだが、お茶会仲間と話ながらある人物を探していた。
7大美人の中で群を抜いて綺麗と言われているアイリス嬢を…。
何度か話す機会はあったが、あまりのオーラに圧倒されるばかりだった。
そんなアイリス嬢なら、もっと嫌な視線を感じているだろうと思い探していると賑やかな場所に向かうアイリス嬢を見つけた。
アイリス嬢が通る度に殿方が振り返り虜となっているのがわかる。
こんな殿方の緩んだ姿ばかりを見せられて私は本当の恋を出来るのだろうか?と思っていた時期もある。
しかし、アイリス嬢が話しかけた男性を見た瞬間に私は恋をした。いわゆる一目惚れだ。彼は優しい瞳と気品のある立ち振る舞いが目を引き、アイリス嬢を見ても彼からは男性のいやらしさを感じなかった。
彼を一目見た時に、電気がこうビリビリと感じたのを今でも覚えている。
その後は人と話しをしていても上の空で、彼の姿ばかり目で追ってしまう。
彼がたかが料理を食べているだけなのに可愛く思い心が温かくなる。
私は何処か可笑しいのではと思うほどである。
そんな中、戦闘狂で有名な女性と彼が模擬戦を行うことになった。
私は心配で心配でハラハラしながら試合を見ていたのに、予想を反して彼のカッコイイ姿を見せられることになった。
心臓の音が五月蠅いほどに私は興奮している。
この音誰にも聞こえていないよね?そう思う程に心臓がやばい。
屋敷に帰ってからも彼のことで頭がいっぱいだ。
月日が経ち、彼を想う心は変わらない。そんな間にもお見合いの手紙が届く。
お父様からも、この殿方はどうかとススメられるが応じることはない。
思い切ってこの想いをお父様に伝えるも案の定反対された。
負けじと情報を集めては何度も懇願する日々。
そんな中、とある情報が入ってきた。
彼は多くの村や町を助け周っているらしい。
見返りも求めず、ひたすら村を復興している。
やはり私の目に狂いはなかった。あの時見た優しい目が全てを物語っている。
そんな彼の奥さんになるために私も覚悟を決めることにした。
貴族の今の暮らしは快適だ。でも、そんな暮らしを捨ててでも私は彼と一緒になりたい。
もちろん貴族の名前が無くなれば家柄的に相手にされないのは分かっている。
そう、ただの気持ちの問題だ。家もミスミス私を捨てることになるよりは多少の利益がでる方を選んでくれることを祈って私は賭けにでた。
そして私は賭けに勝った。
彼の活躍を知ったことで、お父様が由緒ある伯爵家の権力を使ってお見合いの話をもってきてくれた。
彼は未だ一度もお見合いをしたことがないらしい。
この機会を逃したらダメだと脳内で警報がなる程に全力で私は望む。
例え彼の優しさに付け込んでも最初で最後のお見合いを成功させる。
それが第2婦人や第3婦人でも構わない。彼の隣りにいられるなら何番だっていい。
もちろん彼に相手をしてもらえるように日々努力をするつもりよ。
そして、お見合い当日。
私は彼を見た瞬間に倒れそうになる程に眩しい。
こんな私が好きになってごめんなさいと思う程に圧倒される。
しかし、彼と話をする度に優しさが伝わってくる。
彼に触れたい、もっと側にいたいと心がどんどん熱くなる。
そして、彼の口から私に向かってお美しいと言う言葉が聞こえた。
例えお世辞だろうがあまりの嬉しさに喜びを隠せない。
初めてこの顔で良かったと心底思える。
それからの私は彼を口説き落とした。
彼が一度断ろうとした時は早口でまくし立てるほどに…。
伯爵家の長女にここまで言われた彼は、たぶんこちらの家のことや貴族の情勢も考えて婚約の二文字を取り繕ってくれたのだと思う。
例え卑怯と言われようと後悔はない。
それほどに彼を愛しているのだ。
もちろん彼の心がまだ私にないことはわかっている。でも今は彼の側にいれる権利を勝ち取っただけで十分だ。絶対に彼の気持ちを私に振り向かせて見せるわ。
「覚悟しといてよね、旦那様!」
長男、次男の後に産まれた私は大層可愛いがられた。
兄様の厳しい教育を見た後では私の教育は甘やかされていたと言えるだろう。
何不自由なくすくすくと育ち気付けば10歳となり、貴族の子供のお披露目会が行われる歳となった。
その頃には7大美人の一人として私の名が上げられ、お披露目会後にはお見合い相手が殺到するだろうと言われていた。
そんな私にも小さな夢がある。
本当に小さな小さな夢のはずなのに貴族と言う名のせいで大きな夢になり兼ねない。
私はこの歳まで恋をしたことがない。そのせいなのか好きな人と結婚することに憧れている。
貴族としてお茶会などに参加し交流などするが、殿方の目は何処かいやらしく感じる。
こう見えて私は10歳ながらに発育がいい方だ。たまに大人のイヤな視線も感じるが貴族として気丈に振る舞う。
今はお披露目会の真っ最中なのだが、お茶会仲間と話ながらある人物を探していた。
7大美人の中で群を抜いて綺麗と言われているアイリス嬢を…。
何度か話す機会はあったが、あまりのオーラに圧倒されるばかりだった。
そんなアイリス嬢なら、もっと嫌な視線を感じているだろうと思い探していると賑やかな場所に向かうアイリス嬢を見つけた。
アイリス嬢が通る度に殿方が振り返り虜となっているのがわかる。
こんな殿方の緩んだ姿ばかりを見せられて私は本当の恋を出来るのだろうか?と思っていた時期もある。
しかし、アイリス嬢が話しかけた男性を見た瞬間に私は恋をした。いわゆる一目惚れだ。彼は優しい瞳と気品のある立ち振る舞いが目を引き、アイリス嬢を見ても彼からは男性のいやらしさを感じなかった。
彼を一目見た時に、電気がこうビリビリと感じたのを今でも覚えている。
その後は人と話しをしていても上の空で、彼の姿ばかり目で追ってしまう。
彼がたかが料理を食べているだけなのに可愛く思い心が温かくなる。
私は何処か可笑しいのではと思うほどである。
そんな中、戦闘狂で有名な女性と彼が模擬戦を行うことになった。
私は心配で心配でハラハラしながら試合を見ていたのに、予想を反して彼のカッコイイ姿を見せられることになった。
心臓の音が五月蠅いほどに私は興奮している。
この音誰にも聞こえていないよね?そう思う程に心臓がやばい。
屋敷に帰ってからも彼のことで頭がいっぱいだ。
月日が経ち、彼を想う心は変わらない。そんな間にもお見合いの手紙が届く。
お父様からも、この殿方はどうかとススメられるが応じることはない。
思い切ってこの想いをお父様に伝えるも案の定反対された。
負けじと情報を集めては何度も懇願する日々。
そんな中、とある情報が入ってきた。
彼は多くの村や町を助け周っているらしい。
見返りも求めず、ひたすら村を復興している。
やはり私の目に狂いはなかった。あの時見た優しい目が全てを物語っている。
そんな彼の奥さんになるために私も覚悟を決めることにした。
貴族の今の暮らしは快適だ。でも、そんな暮らしを捨ててでも私は彼と一緒になりたい。
もちろん貴族の名前が無くなれば家柄的に相手にされないのは分かっている。
そう、ただの気持ちの問題だ。家もミスミス私を捨てることになるよりは多少の利益がでる方を選んでくれることを祈って私は賭けにでた。
そして私は賭けに勝った。
彼の活躍を知ったことで、お父様が由緒ある伯爵家の権力を使ってお見合いの話をもってきてくれた。
彼は未だ一度もお見合いをしたことがないらしい。
この機会を逃したらダメだと脳内で警報がなる程に全力で私は望む。
例え彼の優しさに付け込んでも最初で最後のお見合いを成功させる。
それが第2婦人や第3婦人でも構わない。彼の隣りにいられるなら何番だっていい。
もちろん彼に相手をしてもらえるように日々努力をするつもりよ。
そして、お見合い当日。
私は彼を見た瞬間に倒れそうになる程に眩しい。
こんな私が好きになってごめんなさいと思う程に圧倒される。
しかし、彼と話をする度に優しさが伝わってくる。
彼に触れたい、もっと側にいたいと心がどんどん熱くなる。
そして、彼の口から私に向かってお美しいと言う言葉が聞こえた。
例えお世辞だろうがあまりの嬉しさに喜びを隠せない。
初めてこの顔で良かったと心底思える。
それからの私は彼を口説き落とした。
彼が一度断ろうとした時は早口でまくし立てるほどに…。
伯爵家の長女にここまで言われた彼は、たぶんこちらの家のことや貴族の情勢も考えて婚約の二文字を取り繕ってくれたのだと思う。
例え卑怯と言われようと後悔はない。
それほどに彼を愛しているのだ。
もちろん彼の心がまだ私にないことはわかっている。でも今は彼の側にいれる権利を勝ち取っただけで十分だ。絶対に彼の気持ちを私に振り向かせて見せるわ。
「覚悟しといてよね、旦那様!」
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