最強スキルを考え異世界を謳歌する~傲慢な世界を食いちぎれ~

ヒビキ タクト

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第15話 緊急依頼後

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悪鬼の長が倒され、後方にいた多くの鬼達は逃げ惑いながら散っていった。

冒険者や騎士団も疲れ果てていたことから、それを追って討伐する者は極少数であった。

まさかこの状況が、後に悲劇が生まれることを今は誰も知らない。

緊急依頼が終わり、冒険者も学生も帰ろうとしたら後方に緊急ギルド特設会場ができていた。

なんでも、参加しただけで依頼料がでるため緊急依頼が終わると特設会場が設置されるそうだ。途中から緊急依頼を受けずに急いで参加した冒険者達のための措置である。

さらには討伐数とは別に貢献度別に報酬が上乗せされるらしい。

なんでも戦闘判定水晶と言う魔道具が冒険者ギルドにはある。

魔法消費や戦闘ダメージ、補助魔法の効果などが水晶に触れると分かるのだとか。
どういう仕組みかは厳重に秘匿されているらしいのだが、その判定に文句を言う者はほとんどいないらしい。

昔は討伐数と参加料金に活躍した者だけが上乗せで貰えるシステムだったため、見えない部分の戦闘で追加に貰えるのであまり文句はないようだ。

まあ、文句がでた場合は参加費用だけでもこちらは構いませんと冒険者ギルドが強気で言うので大丈夫だとか。

俺達も冒険者カードを持って特設会場に向かった。

ちなみにこの冒険者カードは指輪やブレスレットやバッチなどに変形可能だ。
冒険者達が無くさないようによくできた仕組みである。
これを聞いた時には、流石は古代の技術であると感心させられた。

大分話し込んでから特設会場に向かったので、人数も少なくなってきている。

ほとんど最後の方ではと思いながら受付にて水晶の横の機械に冒険者カードを置いてから水晶に手を触れた。

水晶にAと言う文字と鬼の階級別の討伐数が記載されていた。

それを見た受付のお姉さんが固まっている。

「壊れている?いえ、今までの冒険者も納得していたので問題ないはず…」

受付のお姉さんは独り言をぶつぶつと呟いている。

そんな受付のお姉さんにAランク冒険者が助け船をだしに来た。

「この者の活躍は本物だ。俺らが無事にここに居るのもこの者のおかげだ」

「もしかして最前線に居ながら周りの状況を把握していたのですか?」

「パーティの弓使いのスキルに全体を見れるスキルがあるのでな」

「そうなんですね。連携面を含めて勉強になりました、有り難うございます」

「その歳で、君の実力は凄まじいな。今後を期待している」

そう言うとAランク冒険者は去っていった。

「失礼致しました。それではこちらが依頼料となりますので冒険者ギルドで受け取り下さい。それと今回の功績で冒険者ランクも上がると思いますので、ギルドの受付に顔をだして下さい」

「有り難うございます。わかりました」

依頼書の備考欄に載ってある金額を見て驚愕した。

備考欄には金貨22枚・銀貨58枚と書かれていた。

この世界のお金はこんな感じだ。
鉄貨1枚→10円
銀貨1枚→1000円
金貨1枚→10万円
白金貨1枚→1000万円

ちなみに日本よりも物価が安いため、金貨1枚あれば一ヶ月の費用が賄えると言われている。

ようするに2年分以上の金額をこの緊急依頼で稼いだのだ。

エヴァは金貨1枚と銀貨20枚も貰えるとはしゃいでいる姿を見て唖然とした。

確かにエヴァは鬼一体しか倒していないが、死ぬ可能性の中で戦って12万円なのだ。
しかも緊急依頼とあって、報酬は上乗せされているのだから冒険者は大変だ。

そのことをエヴァに伝えたら、低レベルの鬼1体しか倒してないのに金貨1枚以上貰えるなんてラッキーだと逆に言われてしまった。

命の重みが違うのか、価値観が違いすぎる。

ただ、強い者ほどお金を稼げることは理解した。


・学園のとある一室

「学園長、悪鬼の群れの討伐が無事に終わったそうです」

「そうですか。それで被害状況は?」

「負傷者はいるものの、死者はおりません」

「それは優秀ですね。今回の悪鬼の群れは大したことがなかったと言うことですか?」

「鬼の群れの長は4塊と聞いています。さらには5~6塊の鬼が100体以上の最悪のケースでした。」

ガタッと言う音と同時にイスが倒れた。
驚き飛び上がった理事長がさらに状況を確認する。

「それは生徒達が後方支援に切り替えたため死者が0だったのですか?」

「確認した話では、右側の最前線で中位の鬼達と戦い、討伐したと聞いています」

「それは凄いですね。活躍した者の名前を上げなさい」

渡された紙をマジマジと見つめる理事長。

「このアカツキと言う生徒は聞いたことがありませんね」

「この者は冒険者依頼を受けて、その場にいたCクラスの生徒です。そして、この生徒のおかげで死者がでなかったと聞いています」

「そうですか。この者に特別代表パーティの打診をして下さい。まあ、名誉ある代表の地位なら喜んで受け入れてくれるでしょう」

「畏まりました」

「あ、後、活躍した者には支援金から褒賞を用意して下さい。費用範囲であれば本人の欲しい物でも構いません」

3日後。

「理事長、前回言われた特別代表パーティの件ですが宜しいでしょうか?」

「ええ。返答は如何に?」

「それが、間髪入れずに断られました」

「な、なんですってーーーーー。
ちゃ、ちゃんと内容を説明したのですよね?」

「も、もちろんです。しかし、アカツキ君の答えは(興味ない)の一言でした」

「なんでこの学園に入学したのよ?あー、もう、私が直々に話すから呼び出して頂戴」

「承知しました」

こうしてアカツキは理事長に呼び出しをくらったのであった。
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