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第16話 褒美
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今俺は理事長室でため息をついている。
まず最初に行っておくと、この国は街や村とは別に5大都市制度を採用している。
王都と東西南北に主要の都市を置くことで魔物や鬼の群れから被害を抑えられるようにしているのだ。
その5大都市には、溢れんばかりの才能の者を集めた5大学園が存在する。
魔物殲滅学院もその中の一つなのだが、そんな重大な都市ともなると侯爵家以上が管轄するので、それ相応の貴族が学園長となる。
そして、そのお偉いさんに何故か今説教をされている。
説教の内容は簡単に言えば、実力があるのに何故選抜代表にならない?
何のためにこの学園に入学したのだ、君が実力は発揮できる場所を提供するのが私達教師の役目なのに私達の仕事を奪うのか…などなど。
「それでは再度聞きますね。選抜代表に入ってくれますね?」
「はい、全力でお断りします」
「そうですよね。そんな断ることなんて…、今なんと言いましたか?」
学園長のアイーダ・ロッシュラムドは鋭い目つきでアカツキを睨んだ。
「選抜代表は選ばれた生徒の意志により課外遠征に取り組むと書いてありましたよね。俺はまだ長生きしたいので遠慮致します」
「なるほど、ようやくあなたが何故Cクラスにいるかを理解しましたわ。貴方、試験で手を抜いていたのですね?」
「はい」
俺は満面の笑みで答えた。
「それだと一つだけ腑に落ちないですわね。王都の学院や騎士学院・魔法学院の方が危険な課外遠征や漆黒の点付近の討伐はなく安全なのに、何故我が校の魔物殲滅学院に来たのですか?」
「そんなのスキルのレベルを上げるためですよ。実戦で多くの魔物を倒さないとこれ以上のレベル上げは期待できないので。後は1人では限界や死のリスクが高まるからです。ついでに言えば俺の故郷から一番近かったからです」
アイーダは俺の回答を聞いて頭を抱えこんだ。
「そう言えば今回の鬼の討伐の褒賞は決めたのですか?」
「あまり欲張りすぎると味をしめてしまいそうなので、適当に現金でお願いします」
「貴方は本当に12歳ですか?」
「もうすぐ13になりますよ」
「キーー、回答がムカつき過ぎて、貴族の特権を使いたくなってきましたわ」
流石にこれ以上はマズいと考えた俺は妥協案を考えるしかなかった。
「学園内では実力主義で、貴族の権限はないと伺っていますのでご遠慮願いたいです。選抜代表はお断りしますが、違うことで協力するってことでどうでしょうか?」
学園長は考えている。
(この子は何なのよ。国のため、生徒のためにこの学園は貢献してるといるのに…。
あー、ダメよ私。ここは冷静にならないと。生徒が死ぬ確率をすこしでも減らすために交渉しないと。それに王家からも今の一年生は奇跡の世代の可能性があるため、実力を隠している生徒がいるかもしれないから慎重に探せと言われているって言うのに)
「分かりました選抜代表は諦めますが、代表支援者の方はどうでしょうか?」
「それは、どう言った内容ですか?」
「要は後ろで補佐をするってことです。後は、負傷者がでた場合に支援者の中から参加してもらうことになります」
なるほど、要は補欠ってことね。
うーん、どうしても前線に送りたいようだし困ったな。
「支援者は何名いるのですか?」
「5人よ」
1パーティ作れる人数か…。
まあ、仲間を犠牲にしたい訳でもないからここらへんで手を打つか。
「支援者と言うことなら了承致します。ただし、本来なら断る予定を学園長の顔を立てて参加することにしますので、前回の悪鬼の討伐の褒賞をこの内容でお願いしたいです」
「アカツキ君の活躍は聞いているわ。この内容くらいの報酬なら問題ないわ」
タダで参加するのも癪だったので、仲間のために報酬を使うことにした。
1週間後。
エヴァがいきなり俺に抱き着いてきた。
「アカツキ、今回は本当に有り難う」
「無事に解放できそう?」
「ああ。後はアカツキと一緒に奴隷商店に行くだけだ」
なんか嫌な予感がする。
「何故、俺が?」
「学園長と相談した結果、奴隷の契約も住む場所や働く場所も容易しますが、契約者だけはアカツキ君以外は認めないと言われたんだ」
「別にエヴァで良いのでは?」
「学園長がアカツキ君の報酬だからそこだけは譲れないと。それに私は1人の生活で一杯一杯だから、信用できるアカツキの方が一番だと思ったんだ」
こいつは学園長の言葉にまんまと乗せられて…。
「なら、村に返せば奴隷の子も喜ぶのでは?」
「それが、村には帰りたくないと言っていてな。私と学園長が今回の話を丁寧に話したらアカツキの奴隷がいいと言ってくれたので決まったんだ」
あのやろー。
エヴァと相談して奴隷を解放をして欲しいと言ったのが間違いだった。
エヴァや本人達がそれを望んでるのなら俺が契約して解放すればいいだけだしな。
俺は今回の件で言葉を選んで喋らないといけないなと深く反省した。
まあ、住む場所や働く場所も容易してくれるならまあいいか。
こうして何故か2名の奴隷と契約することとなったのである。
そんな報告と同時に悲劇の報告も舞い込んできた。
まず最初に行っておくと、この国は街や村とは別に5大都市制度を採用している。
王都と東西南北に主要の都市を置くことで魔物や鬼の群れから被害を抑えられるようにしているのだ。
その5大都市には、溢れんばかりの才能の者を集めた5大学園が存在する。
魔物殲滅学院もその中の一つなのだが、そんな重大な都市ともなると侯爵家以上が管轄するので、それ相応の貴族が学園長となる。
そして、そのお偉いさんに何故か今説教をされている。
説教の内容は簡単に言えば、実力があるのに何故選抜代表にならない?
何のためにこの学園に入学したのだ、君が実力は発揮できる場所を提供するのが私達教師の役目なのに私達の仕事を奪うのか…などなど。
「それでは再度聞きますね。選抜代表に入ってくれますね?」
「はい、全力でお断りします」
「そうですよね。そんな断ることなんて…、今なんと言いましたか?」
学園長のアイーダ・ロッシュラムドは鋭い目つきでアカツキを睨んだ。
「選抜代表は選ばれた生徒の意志により課外遠征に取り組むと書いてありましたよね。俺はまだ長生きしたいので遠慮致します」
「なるほど、ようやくあなたが何故Cクラスにいるかを理解しましたわ。貴方、試験で手を抜いていたのですね?」
「はい」
俺は満面の笑みで答えた。
「それだと一つだけ腑に落ちないですわね。王都の学院や騎士学院・魔法学院の方が危険な課外遠征や漆黒の点付近の討伐はなく安全なのに、何故我が校の魔物殲滅学院に来たのですか?」
「そんなのスキルのレベルを上げるためですよ。実戦で多くの魔物を倒さないとこれ以上のレベル上げは期待できないので。後は1人では限界や死のリスクが高まるからです。ついでに言えば俺の故郷から一番近かったからです」
アイーダは俺の回答を聞いて頭を抱えこんだ。
「そう言えば今回の鬼の討伐の褒賞は決めたのですか?」
「あまり欲張りすぎると味をしめてしまいそうなので、適当に現金でお願いします」
「貴方は本当に12歳ですか?」
「もうすぐ13になりますよ」
「キーー、回答がムカつき過ぎて、貴族の特権を使いたくなってきましたわ」
流石にこれ以上はマズいと考えた俺は妥協案を考えるしかなかった。
「学園内では実力主義で、貴族の権限はないと伺っていますのでご遠慮願いたいです。選抜代表はお断りしますが、違うことで協力するってことでどうでしょうか?」
学園長は考えている。
(この子は何なのよ。国のため、生徒のためにこの学園は貢献してるといるのに…。
あー、ダメよ私。ここは冷静にならないと。生徒が死ぬ確率をすこしでも減らすために交渉しないと。それに王家からも今の一年生は奇跡の世代の可能性があるため、実力を隠している生徒がいるかもしれないから慎重に探せと言われているって言うのに)
「分かりました選抜代表は諦めますが、代表支援者の方はどうでしょうか?」
「それは、どう言った内容ですか?」
「要は後ろで補佐をするってことです。後は、負傷者がでた場合に支援者の中から参加してもらうことになります」
なるほど、要は補欠ってことね。
うーん、どうしても前線に送りたいようだし困ったな。
「支援者は何名いるのですか?」
「5人よ」
1パーティ作れる人数か…。
まあ、仲間を犠牲にしたい訳でもないからここらへんで手を打つか。
「支援者と言うことなら了承致します。ただし、本来なら断る予定を学園長の顔を立てて参加することにしますので、前回の悪鬼の討伐の褒賞をこの内容でお願いしたいです」
「アカツキ君の活躍は聞いているわ。この内容くらいの報酬なら問題ないわ」
タダで参加するのも癪だったので、仲間のために報酬を使うことにした。
1週間後。
エヴァがいきなり俺に抱き着いてきた。
「アカツキ、今回は本当に有り難う」
「無事に解放できそう?」
「ああ。後はアカツキと一緒に奴隷商店に行くだけだ」
なんか嫌な予感がする。
「何故、俺が?」
「学園長と相談した結果、奴隷の契約も住む場所や働く場所も容易しますが、契約者だけはアカツキ君以外は認めないと言われたんだ」
「別にエヴァで良いのでは?」
「学園長がアカツキ君の報酬だからそこだけは譲れないと。それに私は1人の生活で一杯一杯だから、信用できるアカツキの方が一番だと思ったんだ」
こいつは学園長の言葉にまんまと乗せられて…。
「なら、村に返せば奴隷の子も喜ぶのでは?」
「それが、村には帰りたくないと言っていてな。私と学園長が今回の話を丁寧に話したらアカツキの奴隷がいいと言ってくれたので決まったんだ」
あのやろー。
エヴァと相談して奴隷を解放をして欲しいと言ったのが間違いだった。
エヴァや本人達がそれを望んでるのなら俺が契約して解放すればいいだけだしな。
俺は今回の件で言葉を選んで喋らないといけないなと深く反省した。
まあ、住む場所や働く場所も容易してくれるならまあいいか。
こうして何故か2名の奴隷と契約することとなったのである。
そんな報告と同時に悲劇の報告も舞い込んできた。
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