僕の宝物はみんなの所有物

まつも☆きらら

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出遅れ

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「お」

「あ」

向こうから廊下を歩いてきたのは、『志筑貴良』

重そうな参考書を何冊も抱えて白い腕が赤くなっていた。

「それ、どこに運ぶんだ?」

「社会科資料室。先生に頼まれて・・・・」

「あぁ、谷口さんだろ。あの人すぐ面倒なこと生徒に押し付けるから。貸しな」

「あ、でも・・・・・えと、佐伯、さん?」

遠慮する志筑の腕から参考書を全部奪い、先に立って歩く。

「お前の腕、ほっそくて折れそうだし」

「折れないよ!・・・・ありがとう」

「ん」

隣を遠慮がちに歩く志筑の横顔を、そっと盗み見る。

大きな瞳に、長い睫毛。

そして赤い唇が、はっとするほど綺麗だった。

「・・・・佐伯さんて」

「ん?」

「俺、なんて呼べばいい?匠と田部くんは『修ちゃん』って呼んでるし二宮は『修吾さん』って呼んでるし」

「ああ・・・・別に呼び方なんてなんだっていいよ。お前の好きなように呼べよ」

「え―・・・・じゃあ・・・・・・しゅーごくん?」

「!!」

「あ、だめ?」

「ちが!ダメじゃない!いい!それで!」

「・・・・そお?」

首を傾げる志筑に、ぶんぶんと首を縦に振る。

やばいぞ。

こいつ、全然自覚ないじゃねえか。

『しゅーごくん』だって

『しゅーごくん』

可愛すぎるだろ……

不思議そうに目を瞬かせて、じっと俺を見つめる志筑。

俺、きっと今顔赤い。

本当にやばい。

こんな気持ちに、今までなったことない。

俺の中で、警笛が鳴った。

もう手遅れだ。

だって、俺の中はもう志筑でいっぱいだ。

そして、嫉妬の気持ちが生まれてる。

「・・・・早くね?」

「え?」

「いつの間に・・・・匠くんのこと、『匠』って呼んでんの」

「匠が、そう呼べって」

そういうとこ、抜かりないんだあの人は。

もうスタートですでに差をつけらてる。

でも・・・・・

「しゅーごくん、匠のこと好きなの?」

「ちげぇよバカ」

『しゅーごくん』呼びが最高に可愛いから、許してやる。
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