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猫と天使
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「おいで」
ふと聞こえてきた声に、俺は足を止めた。
体育の授業の後、じゃんけんに負けてバスケットボールを体育倉庫にしまいに来た、その帰り。
倉庫の陰から、その声は聞こえた。
「この声・・・・」
聞き覚えのある声に、俺はそっと倉庫の蔭から顔をのぞかせた。
「ほら、おいで。怖くないから・・・・・」
そこにいたのは、志筑貴良だった。
そして彼の前にいたのは小さな三毛猫。
なぜかスーパーのビニール袋を首からかけていて―――
―――あぁ、そうか。
「取れなくなっちゃったの?」
「え!?あ・・・田部くん」
たかちゃんが驚いて顔を上げる。
大きな目。
本当に綺麗な顔してるなあ。
「その猫・・・・」
子猫は、ビニールが首にかかったままの状態で目の前のたかちゃんに怯えてるようだった。
「うん・・・・。とってあげたいんだけど、俺、嫌われてるみたいで」
たかちゃんが伸ばす手に、フーッと威嚇する子猫。
とてもじゃないが、触れる状態じゃなかった。
「任せて」
そう言って俺はその場にかがみこみ、四つん這いのままゆっくりと子猫に近づいた。
仔猫が俺に気付き、警戒するそぶりを見える。
「田部くん・・・・」
「大丈夫、大丈夫。ほら・・・・・大丈夫だよ・・・・」
ゆっくり、ゆっくり。
子猫はその身を強張らせていたけれど、怒っているわけではなさそうだ。
ただ、怖がってるだけなんだ。
大丈夫。怖くない・・・・・・
「ほら、怖くない」
そっと猫の頭を撫で、そのままその小さい体を抱きあげた。
怯えてる猫の首から、そっとビニールを外してやる。
「あ・・・・とれた」
たかちゃんが安心したように息をついた。
子猫を下に下ろしその頭を再びなでると、子猫はニャッと小さく鳴き、すぐにその場から駆けだしていってしまった。
「よかった・・・・ありがとう」
「んふふ、俺、動物には好かれるの」
「いいなあ、俺、動物好きなんだけどあんまりなついてもらえないの」
そう言って肩を落とすたかちゃん。
本気で落ち込んでいるその姿が可愛くて、思わずその頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「わっ!?」
「猫、好きなんだね」
「・・・・うん。嫌われるけど」
「嫌われてるんじゃないよ」
「え?」
「たかちゃんが可愛いから、やきもちやいてるんだよ」
「なにそれ?」
ぷうっと頬をふくらませ、上目使いに俺を睨む顔もかわいい。
「動物も嫉妬するんだよ。たかちゃんにはきっとオーラがあるんだね」
「おーら・・・・?」
ふふ。なんでこの子がいうとカタカナがひらがなに聞こえるんだろ。
何にしても、可愛いんだけどね。
「・・・・でも、ありがと、田部くん」
「ん?」
「あの猫を助けてくれて」
「どーいたしまして!困ったことがあったらいつでも言ってよ!」
そう言って笑うと、たかちゃんもようやく笑顔に。
ああ、かわいい。
その笑顔は、まるで天使みたいだった・・・・・・
ふと聞こえてきた声に、俺は足を止めた。
体育の授業の後、じゃんけんに負けてバスケットボールを体育倉庫にしまいに来た、その帰り。
倉庫の陰から、その声は聞こえた。
「この声・・・・」
聞き覚えのある声に、俺はそっと倉庫の蔭から顔をのぞかせた。
「ほら、おいで。怖くないから・・・・・」
そこにいたのは、志筑貴良だった。
そして彼の前にいたのは小さな三毛猫。
なぜかスーパーのビニール袋を首からかけていて―――
―――あぁ、そうか。
「取れなくなっちゃったの?」
「え!?あ・・・田部くん」
たかちゃんが驚いて顔を上げる。
大きな目。
本当に綺麗な顔してるなあ。
「その猫・・・・」
子猫は、ビニールが首にかかったままの状態で目の前のたかちゃんに怯えてるようだった。
「うん・・・・。とってあげたいんだけど、俺、嫌われてるみたいで」
たかちゃんが伸ばす手に、フーッと威嚇する子猫。
とてもじゃないが、触れる状態じゃなかった。
「任せて」
そう言って俺はその場にかがみこみ、四つん這いのままゆっくりと子猫に近づいた。
仔猫が俺に気付き、警戒するそぶりを見える。
「田部くん・・・・」
「大丈夫、大丈夫。ほら・・・・・大丈夫だよ・・・・」
ゆっくり、ゆっくり。
子猫はその身を強張らせていたけれど、怒っているわけではなさそうだ。
ただ、怖がってるだけなんだ。
大丈夫。怖くない・・・・・・
「ほら、怖くない」
そっと猫の頭を撫で、そのままその小さい体を抱きあげた。
怯えてる猫の首から、そっとビニールを外してやる。
「あ・・・・とれた」
たかちゃんが安心したように息をついた。
子猫を下に下ろしその頭を再びなでると、子猫はニャッと小さく鳴き、すぐにその場から駆けだしていってしまった。
「よかった・・・・ありがとう」
「んふふ、俺、動物には好かれるの」
「いいなあ、俺、動物好きなんだけどあんまりなついてもらえないの」
そう言って肩を落とすたかちゃん。
本気で落ち込んでいるその姿が可愛くて、思わずその頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「わっ!?」
「猫、好きなんだね」
「・・・・うん。嫌われるけど」
「嫌われてるんじゃないよ」
「え?」
「たかちゃんが可愛いから、やきもちやいてるんだよ」
「なにそれ?」
ぷうっと頬をふくらませ、上目使いに俺を睨む顔もかわいい。
「動物も嫉妬するんだよ。たかちゃんにはきっとオーラがあるんだね」
「おーら・・・・?」
ふふ。なんでこの子がいうとカタカナがひらがなに聞こえるんだろ。
何にしても、可愛いんだけどね。
「・・・・でも、ありがと、田部くん」
「ん?」
「あの猫を助けてくれて」
「どーいたしまして!困ったことがあったらいつでも言ってよ!」
そう言って笑うと、たかちゃんもようやく笑顔に。
ああ、かわいい。
その笑顔は、まるで天使みたいだった・・・・・・
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