39 / 51
信用できるあいつ
しおりを挟む
朝、陽向を見た。
別に不思議なことはない。
中等部と高等部は校舎が分かれているとはいえ同じ校内だ。
その日俺は学園祭の準備のため通常の登校時間より1時間早く学校へ行っていた。
そろそろ生徒たちが登校してくる時間になって、俺たち生徒会役員も解散してそれぞれの教室へ向かったのだったが・・・・
「・・・・陽向?」
生徒会室の前の廊下の窓からは中等部の渡り廊下が見える。
資料室や化学室などがある旧校舎と呼ばれる校舎と教室のある新校舎を繋ぐ渡り廊下は、この時間に人が通ることはあまりない。
陽向と雄介は、旧校舎から新校舎へ向かって歩いていた。
―――なんでこんな時間に旧校舎にいたんだ?
2人の姿に俺の胸がざわつく。
陽向の気持ちを疑うわけではないけれど、雄介に関しては全く信用していない。
ガキのくせに、陽向のことを見るあの目は間違いなく『男』の目だった。
潤を誰にも渡す気はない。
陽向は俺を好きだと言ってくれてる。
だけど・・・・
陽向のあの目に見つめられると、どんな男でも惹かれずにはいられなくなる。
俺だって最初は陽向の兄貴として一線を引くつもりだったんだ。
どんなにあいつがかわいくてもあいつは弟なんだから、と。
でも俺のそんな心をいともたやすく懐柔し、その瞳の虜にしてしまうんだから・・・・。
もともと陽向のことを好きな雄介がその誘惑に抗えるとは思えなかった。
もちろん、陽向に誘惑する気があるかどうかは置いといて。
あいつは無自覚に人の心を翻弄するんだ・・・・。
陽向のところへ行って、早く朝のことを聞きたい。
そう思っていたのに1週間後に迫った学園祭の準備に追われ、休憩時間もバタバタと走り回らなければならず中等部へ行く暇がない。
次第にイライラしてくる。
そんな俺を見て小坂が心配そうな顔をする。
「大丈夫?京ちゃん」
「大丈夫、じゃないけど・・・・全然時間がねえ!陽向のところに行きたいのに―――」
「ひなちゃんのところ?なに、なんか伝言があるなら俺行ってくるよ」
「いや、そういうことじゃ―――」
「俺にできることがあったら言ってよ。京ちゃんずっと忙しそうだし。今日も一緒に帰れないんでしょ?ひなちゃんと」
そうだ。
今日も生徒会で帰りが遅くなることは、陽向にも伝えていた。
もし―――
もしもまた陽向が雄介の家、または雄介が家に来てたりしたら―――
俺は平静でいられる自信がなかった。
―――そうだ
俺は、心配そうに俺の顔を見つめる小坂を見た。
「―――お前に、頼みがあるんだ」
「俺に?いいよ、何でも言って。京ちゃんのためなら何でもするよ」
「お前、いいやつだな・・・・」
小坂は信用できる。
陽向のことをいくらかわいいと思っていても、俺の弟と知っていて手を出すようなことは絶対しないはずだ。
「ひなちゃん!」
俺は、雄介と一緒に校門を出て歩いていたひなちゃんに声をかけた。
「龍くん、どうしたの?」
ひなちゃんの大きな目が、きゅるんと俺を見上げた。
相変わらずかわいい。
「あのさ、一緒に帰ろうよ」
俺の言葉に、雄介が思いっきりいやそうな顔をする。
「は?なんで龍太さんと?」
「京ちゃんに頼まれたの。最近日が暮れるの早いし、一人で帰すの心配だから家まで送ってやってって」
「俺が一緒に帰るから大丈夫ですよ」
「って言ったって雄介だってガキだろ」
「あんたに言われたくない」
「とにかく、京ちゃんに頼まれたんだから家まで送ってくよ」
『陽向を家まで送ってやってほしいんだ。たぶん雄介もついてくると思うけど・・・・そしたら雄介が帰るまで一緒にいてよ。飯も食ってっていいから』
そう京ちゃんに頼まれたんだ。
小坂くん、頑張ります!!
別に不思議なことはない。
中等部と高等部は校舎が分かれているとはいえ同じ校内だ。
その日俺は学園祭の準備のため通常の登校時間より1時間早く学校へ行っていた。
そろそろ生徒たちが登校してくる時間になって、俺たち生徒会役員も解散してそれぞれの教室へ向かったのだったが・・・・
「・・・・陽向?」
生徒会室の前の廊下の窓からは中等部の渡り廊下が見える。
資料室や化学室などがある旧校舎と呼ばれる校舎と教室のある新校舎を繋ぐ渡り廊下は、この時間に人が通ることはあまりない。
陽向と雄介は、旧校舎から新校舎へ向かって歩いていた。
―――なんでこんな時間に旧校舎にいたんだ?
2人の姿に俺の胸がざわつく。
陽向の気持ちを疑うわけではないけれど、雄介に関しては全く信用していない。
ガキのくせに、陽向のことを見るあの目は間違いなく『男』の目だった。
潤を誰にも渡す気はない。
陽向は俺を好きだと言ってくれてる。
だけど・・・・
陽向のあの目に見つめられると、どんな男でも惹かれずにはいられなくなる。
俺だって最初は陽向の兄貴として一線を引くつもりだったんだ。
どんなにあいつがかわいくてもあいつは弟なんだから、と。
でも俺のそんな心をいともたやすく懐柔し、その瞳の虜にしてしまうんだから・・・・。
もともと陽向のことを好きな雄介がその誘惑に抗えるとは思えなかった。
もちろん、陽向に誘惑する気があるかどうかは置いといて。
あいつは無自覚に人の心を翻弄するんだ・・・・。
陽向のところへ行って、早く朝のことを聞きたい。
そう思っていたのに1週間後に迫った学園祭の準備に追われ、休憩時間もバタバタと走り回らなければならず中等部へ行く暇がない。
次第にイライラしてくる。
そんな俺を見て小坂が心配そうな顔をする。
「大丈夫?京ちゃん」
「大丈夫、じゃないけど・・・・全然時間がねえ!陽向のところに行きたいのに―――」
「ひなちゃんのところ?なに、なんか伝言があるなら俺行ってくるよ」
「いや、そういうことじゃ―――」
「俺にできることがあったら言ってよ。京ちゃんずっと忙しそうだし。今日も一緒に帰れないんでしょ?ひなちゃんと」
そうだ。
今日も生徒会で帰りが遅くなることは、陽向にも伝えていた。
もし―――
もしもまた陽向が雄介の家、または雄介が家に来てたりしたら―――
俺は平静でいられる自信がなかった。
―――そうだ
俺は、心配そうに俺の顔を見つめる小坂を見た。
「―――お前に、頼みがあるんだ」
「俺に?いいよ、何でも言って。京ちゃんのためなら何でもするよ」
「お前、いいやつだな・・・・」
小坂は信用できる。
陽向のことをいくらかわいいと思っていても、俺の弟と知っていて手を出すようなことは絶対しないはずだ。
「ひなちゃん!」
俺は、雄介と一緒に校門を出て歩いていたひなちゃんに声をかけた。
「龍くん、どうしたの?」
ひなちゃんの大きな目が、きゅるんと俺を見上げた。
相変わらずかわいい。
「あのさ、一緒に帰ろうよ」
俺の言葉に、雄介が思いっきりいやそうな顔をする。
「は?なんで龍太さんと?」
「京ちゃんに頼まれたの。最近日が暮れるの早いし、一人で帰すの心配だから家まで送ってやってって」
「俺が一緒に帰るから大丈夫ですよ」
「って言ったって雄介だってガキだろ」
「あんたに言われたくない」
「とにかく、京ちゃんに頼まれたんだから家まで送ってくよ」
『陽向を家まで送ってやってほしいんだ。たぶん雄介もついてくると思うけど・・・・そしたら雄介が帰るまで一緒にいてよ。飯も食ってっていいから』
そう京ちゃんに頼まれたんだ。
小坂くん、頑張ります!!
1
あなたにおすすめの小説
【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる
ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。
そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。
「一緒にコラボ配信、しない?」
顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。
これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。
※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた
こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。
αからΩになった俺が幸せを掴むまで
なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。
10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。
義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。
アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。
義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が…
義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。
そんな海里が本当の幸せを掴むまで…
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる