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長男の特権
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夜中に、喉が渇いて目が覚めた。
キッチンで水を飲んでいると、扉の開く音が聞こえ、暗がりの中に梨夢の顔が覗くのが見えた。
「・・・・・護・・・・?」
「梨夢?どした?」
声をかけると、ほっとしたように息を吐き出し、梨夢がトコトコと近づいてくる。
「・・・・のど、乾いたの?」
俺の飲みかけのグラスを渡すと、梨夢は黙って受け取り、それをこくこくと飲んだ。
―――なんかちょっと、顔色が悪い?
もともと色白だけど、若干青白いような気がした。
「梨夢?眠れないの?」
「・・・・・うん」
こくりと頷く梨夢は、やっぱりどこか様子が変だ。
―――これは・・・・・
「・・・・・一緒に、寝る?」
そう声をかけると、梨夢はあからさまにホッとしようような表情になり、大きく頷いた。
「ん、おいで」
グラスを流しに起き、梨夢の手を取り部屋へ行く。
梨夢はベッドにもぐりこむと、ふとんを口元まで引き上げて目だけを覗かせ俺を見上げた。
―――んふふ、可愛い。
俺は梨夢の隣に体を滑り込ませ、ふとんをかけると腕だけ出して梨夢の頭を撫でた。
「―――何かあった?」
俺の言葉に、梨夢は恥ずかしそうに俯いた。
「言ってごらん。笑わないから」
さらに促すと、梨夢は俺を見上げ、ポツリポツリと話し始めた。
「・・・・・今日、部活があったんだけど」
「うん」
「2、3年生は練習試合で、顧問の先生と一緒に別の学校に行ってたんだ」
「うん」
じゃ、慎はいなかったんだな。
「それで、副顧問の先生が1年の練習を見てくれることになってたんだけど、急に用事が出来たとかで、急きょ練習が中止になったんだ」
「ふーん」
「それで、帰ろうとしたんだけど―――部室で着替えてたら、1人が『このまま帰ってもつまらないから、面白い話しようぜ』って言って・・・・・」
「うん」
「あの部室って窓ないから、明かり消すと真っ暗になるんだ。で、部員の1人がどっかからろうそく持って来て―――ろうそくの灯だけで、怪談話しようって・・・・」
あー・・・・なるほど。
「それで、順番に知ってる怪談話始めて・・・・・」
「何人いたの?」
「10人くらい。でも、俺と周は話ししなかった。話したのは、5人くらい。大体聞いたことがあるような話ばっかりでたいして怖くなかったけど。でも、その中の1人の話がすごく怖いやつで―――」
梨夢が、泣きそうな顔で目を伏せた。
俺は、梨夢の頭を引き寄せ、ぐりぐりと撫でた。
「大丈夫。俺が一緒にいるんだから、怖くないよ」
「―――うん」
梨夢は、ぎゅうっと俺にしがみついた。
梨夢は昔から怖がりで、夜眠れなくなったりすると必ず俺の部屋へ来ていた。
長男のくせに頼りないとよく言われるけれど、それでも梨夢からしたら3歳上の俺は甘えられる存在なのかな、と自惚れたりする。
周と一緒の部屋で寝ていても、周に怖がってるのを知られるのは嫌なのか、周にばれないように部屋を出て俺の所へ来るのだ。
やっぱり同じ年だとちょっと対抗心みたいのがあるんだろうな。
それでも、周が隣にいてくれればまだ違ったのかもしれない。
今は別々の部屋だけど、周はよく夜中に梨夢のベッドにもぐりこんでる。
だけど最近は部活の練習がハードなのか、自分のベッドで熟睡してしまうことが多いようだった。
「護・・・・」
「ん?」
「・・・・みんなには、内緒にしてね?」
「ん。もちろん。俺たち2人だけの秘密だもんな」
そう言って笑うと、ようやく梨夢も笑顔になり、頷いた。
「・・・・明日も学校だから、早く寝な」
「うん。おやすみ、護」
「おやすみ、梨夢」
口元に笑みを浮かべながら、目を瞑る梨夢。
やがて、静かな寝息を立て始めた。
俺は、しばらく梨夢の柔らかな髪を撫で続けていた。
長い睫毛が、白い肌に影をつくる。
柔らかそうな唇が艶やめいて、まるで熟したいちごのようだった。
はらりと額にかかった前髪を指で流し―――
その艶やかな額にキスをする。
梨夢が、慕ってくれるのが嬉しい。
血の繋がりなんかなくたって、俺たちは家族だから。
「―――ずっと、一緒にいような・・・・・梨夢」
「―――梨夢くん!何でここで寝てんの!?」
朝になると、周が血相変えて俺の部屋に飛び込んできた。
「おー、周、おはよ」
俺がへらりと笑うと、ぎっとすごい目で睨みつけられる。
「睨むなよ。梨夢だって、たまには俺と一緒に寝たい時があるんだよ」
そう言って梨夢の頭をなでると、梨夢が目をぱちぱちさせながら起きあがる。
「・・・・・はよ。だって、昨日周、来なかったし」
梨夢の言葉に、周の顔がますますむっとなる。
―――起きれなかったことが悔しいんだろな。
思わずにやけていると、周が俺を睨みながら、悔しそうに言った。
「―――朝飯!今日は護は目玉焼きなし!」
「え!なんでだよ!?」
「俺が食うから!」
そう言って周は部屋を飛び出して行ってしまった。
溜息をついていると、梨夢が俺のパジャマの袖を引っ張る。
「ん?」
「俺の目玉焼き、あげる」
「んふふ・・・・いいんだよ。俺、シリアルしこたま食べてくから。さ、廉に怒られる前に起きなきゃ」
「うん。―――護」
「ん?」
「ありがと」
にっこりと笑う梨夢の笑顔が可愛くて。
俺は、梨夢をぎゅっと抱きしめたのだった・・・・・。
キッチンで水を飲んでいると、扉の開く音が聞こえ、暗がりの中に梨夢の顔が覗くのが見えた。
「・・・・・護・・・・?」
「梨夢?どした?」
声をかけると、ほっとしたように息を吐き出し、梨夢がトコトコと近づいてくる。
「・・・・のど、乾いたの?」
俺の飲みかけのグラスを渡すと、梨夢は黙って受け取り、それをこくこくと飲んだ。
―――なんかちょっと、顔色が悪い?
もともと色白だけど、若干青白いような気がした。
「梨夢?眠れないの?」
「・・・・・うん」
こくりと頷く梨夢は、やっぱりどこか様子が変だ。
―――これは・・・・・
「・・・・・一緒に、寝る?」
そう声をかけると、梨夢はあからさまにホッとしようような表情になり、大きく頷いた。
「ん、おいで」
グラスを流しに起き、梨夢の手を取り部屋へ行く。
梨夢はベッドにもぐりこむと、ふとんを口元まで引き上げて目だけを覗かせ俺を見上げた。
―――んふふ、可愛い。
俺は梨夢の隣に体を滑り込ませ、ふとんをかけると腕だけ出して梨夢の頭を撫でた。
「―――何かあった?」
俺の言葉に、梨夢は恥ずかしそうに俯いた。
「言ってごらん。笑わないから」
さらに促すと、梨夢は俺を見上げ、ポツリポツリと話し始めた。
「・・・・・今日、部活があったんだけど」
「うん」
「2、3年生は練習試合で、顧問の先生と一緒に別の学校に行ってたんだ」
「うん」
じゃ、慎はいなかったんだな。
「それで、副顧問の先生が1年の練習を見てくれることになってたんだけど、急に用事が出来たとかで、急きょ練習が中止になったんだ」
「ふーん」
「それで、帰ろうとしたんだけど―――部室で着替えてたら、1人が『このまま帰ってもつまらないから、面白い話しようぜ』って言って・・・・・」
「うん」
「あの部室って窓ないから、明かり消すと真っ暗になるんだ。で、部員の1人がどっかからろうそく持って来て―――ろうそくの灯だけで、怪談話しようって・・・・」
あー・・・・なるほど。
「それで、順番に知ってる怪談話始めて・・・・・」
「何人いたの?」
「10人くらい。でも、俺と周は話ししなかった。話したのは、5人くらい。大体聞いたことがあるような話ばっかりでたいして怖くなかったけど。でも、その中の1人の話がすごく怖いやつで―――」
梨夢が、泣きそうな顔で目を伏せた。
俺は、梨夢の頭を引き寄せ、ぐりぐりと撫でた。
「大丈夫。俺が一緒にいるんだから、怖くないよ」
「―――うん」
梨夢は、ぎゅうっと俺にしがみついた。
梨夢は昔から怖がりで、夜眠れなくなったりすると必ず俺の部屋へ来ていた。
長男のくせに頼りないとよく言われるけれど、それでも梨夢からしたら3歳上の俺は甘えられる存在なのかな、と自惚れたりする。
周と一緒の部屋で寝ていても、周に怖がってるのを知られるのは嫌なのか、周にばれないように部屋を出て俺の所へ来るのだ。
やっぱり同じ年だとちょっと対抗心みたいのがあるんだろうな。
それでも、周が隣にいてくれればまだ違ったのかもしれない。
今は別々の部屋だけど、周はよく夜中に梨夢のベッドにもぐりこんでる。
だけど最近は部活の練習がハードなのか、自分のベッドで熟睡してしまうことが多いようだった。
「護・・・・」
「ん?」
「・・・・みんなには、内緒にしてね?」
「ん。もちろん。俺たち2人だけの秘密だもんな」
そう言って笑うと、ようやく梨夢も笑顔になり、頷いた。
「・・・・明日も学校だから、早く寝な」
「うん。おやすみ、護」
「おやすみ、梨夢」
口元に笑みを浮かべながら、目を瞑る梨夢。
やがて、静かな寝息を立て始めた。
俺は、しばらく梨夢の柔らかな髪を撫で続けていた。
長い睫毛が、白い肌に影をつくる。
柔らかそうな唇が艶やめいて、まるで熟したいちごのようだった。
はらりと額にかかった前髪を指で流し―――
その艶やかな額にキスをする。
梨夢が、慕ってくれるのが嬉しい。
血の繋がりなんかなくたって、俺たちは家族だから。
「―――ずっと、一緒にいような・・・・・梨夢」
「―――梨夢くん!何でここで寝てんの!?」
朝になると、周が血相変えて俺の部屋に飛び込んできた。
「おー、周、おはよ」
俺がへらりと笑うと、ぎっとすごい目で睨みつけられる。
「睨むなよ。梨夢だって、たまには俺と一緒に寝たい時があるんだよ」
そう言って梨夢の頭をなでると、梨夢が目をぱちぱちさせながら起きあがる。
「・・・・・はよ。だって、昨日周、来なかったし」
梨夢の言葉に、周の顔がますますむっとなる。
―――起きれなかったことが悔しいんだろな。
思わずにやけていると、周が俺を睨みながら、悔しそうに言った。
「―――朝飯!今日は護は目玉焼きなし!」
「え!なんでだよ!?」
「俺が食うから!」
そう言って周は部屋を飛び出して行ってしまった。
溜息をついていると、梨夢が俺のパジャマの袖を引っ張る。
「ん?」
「俺の目玉焼き、あげる」
「んふふ・・・・いいんだよ。俺、シリアルしこたま食べてくから。さ、廉に怒られる前に起きなきゃ」
「うん。―――護」
「ん?」
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