恋人が乗り移った君に恋をした

まつも☆きらら

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第39話(最終話)

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星を掴むように伸ばされた咲也の手は、夏美に届くことはなかった・・・・・。


ゆっくりとその手を下ろし、下を向く咲也。

涙を堪えるように震える拳を握りしめる咲也が、堪らなく愛しくって、俺は後ろから咲也の体を抱きしめた。

「咲也・・・・」

「・・・・行っちゃった・・・・・」

「ん・・・・笑ってたね、夏美」

最後に、幸せそうに笑っていた夏美。

俺は、本当に夏美を好きになってよかったと思った。

「・・・・柊真・・・俺で、いい・・・・?」

「え?」

下から覗きこむように咲也を見ると、目に涙を溜めた瞳が、じっと俺を見つめていた。

「柊真の傍にいるのが俺で・・・・・本当に、いい?」

「咲也・・・・こっち向いて」

咲也の体の向きを変え、正面から咲也の目を見つめる。

咲也の目から、堪え切れなくなった涙がポロリと零れ落ちた。

俺は咲也の顔を両手でそっと包み込むように触れ―――

そっと、唇を重ねた。

柔らかいその感触を確かめるように、優しく口付けて、ゆっくりと離す。

至近距離で咲也を見つめ、その頬を撫でる。

「―――咲也・・・・好きだよ」

咲也の瞳が大きく見開かれ、俺を映した。

「好き、すげえ好き、大好き」

目をそらさずに言い募る俺に、咲也の顔がみるみる赤く染まる。

「それ・・・・言い過ぎじゃね?」

「だって、ずっと言いたかったから。言いたかったのに言えなくて、それは俺も納得したことなんだけど、でもすげえ言いたかった。タクに、先越されてすげえ悔しかった。他のやつに取られたらどうしようって、すげえ心配だった」

「・・・・・急にたくさんしゃべるね」

「言いたいこと、いっぱいあったから。今、言わなかったらもう言わない気がするし」

「言わないの?言ってくれないの?」

「・・・・・咲也が、言って欲しいなら考えるけど・・・・・」

「うん、言って欲しい。俺、柊真の声、好き」

「―――声だけ?」

「え?」

「俺のこと好きなのは・・・・声だけ?」

じっと、目をそらさずにそう聞く俺に、咲也は恥ずかしそうに目を瞬かせる。

「・・・・・好き、だよ・・・・・柊真が」

「ほんと?」

「ん・・・・大好き。俺も、ずっと言いたかった」

恥ずかしそうに頬を染める咲也が可愛くて、俺は咲也の体を思い切り抱きしめた。

「・・・・咲也に、渡したいものがあるんだ」

「渡したいもの?」

「うん・・・・」

俺は、ジーパンのポケットに入れていたそれを取り出すと、掌に乗せて潤に見せた。

咲也の目が、驚きに見開かれる。

「――――これ・・・・」

それは、銀の指輪。

1週間かけて俺がデザインし、削って作ったものだった。

あまり時間がなかったので、そんなに凝ったものは作れなかったけれど―――

大きく羽ばたいているような羽のデザインは、咲也のために考えた。

恥ずかしくって絶対言えないけど、咲也は、俺にとって天使のような存在だから。

そのきれいな細い指に、天使の羽を―――

「これ・・・・柊真が作ったの?」

「うん」

「じゃ・・・・そのために、ずっと忙しかったの?個展の準備じゃなくて・・・・」

「うん。ごめん、嘘ついて・・・・・」

「そんな、こと・・・・・」

「・・・・はめても、いい?」

俺の言葉に、咲也が頷いた。

左手を取り、その薬指に指輪をはめる。

俺たちは男同士だから、結婚はできないけど―――

でも、気持ちはずっと変わらない。

俺にとって、咲也はずっと大切な存在。

その想いを込めて―――

「やべ・・・・・超嬉しい・・・・・」

咲也の瞳から、涙がぽろぽろと零れていた。

それは月明かりに反射して、宝石のように輝いていた。

「・・・・愛してるよ、ずっと―――」

「俺も・・・・愛してる。ずっと、柊真だけ・・・・」




ようやく通じた、俺たちの気持ち。

離れたくない。

離したくない。

離れられない―――

俺たちは自然と抱き合い、唇を重ねた・・・・・





「ぁ・・・・・っ、柊真・・・・っ」

「咲也・・・・好き・・・・」

咲也の白い体が、暗闇の中で輝いていた。

「んッ、ぁ、ぁ・・・・・っ」

艶めいた声が部屋に響き、俺の脳を刺激する。

ようやく心の通じ合った俺たちは、そのままの勢いで咲也の部屋へ行き、お互いを求めあった。

男を抱くのは初めてで、もちろん咲也も抱かれるのは初めてで―――

最初は戸惑いがあったものの、咲也の素肌に触れた瞬間、そんなものは吹き飛んでしまった。

滑らかな肌に手を這わせ、その白い肌にキスを落とし、咲也の口から甘い声が漏れてくると、さらに俺の中は熱くなっていった。


「咲也・・・・いい・・・・・?」

すでに限界が間近だった俺の切羽詰まった声に、咲也がこくりと頷く。

咲也の手を、ぎゅっと握る。

そして、さっきまで指で慣らしていたその場所に、俺はゆっくりと腰を押し進めた―――。

「んぁっ・・・・・・ふ・・・・・・っ」

苦しそうな咲也の声。

その目には涙が溜まっていたけれど―――

「咲也・・・・愛してる・・・・・」

手を握りしめ、そのままゆっくり腰を動かす。

「は、ぁ・・・・・っ、しゅ・・・う・・・・」

「ぁ・・・・きつ・・・・咲也・・・・っ」

きつく締めつけられる感覚に、俺の頭は真っ白になっていく。

まるで、頭の中がスパークしたみたいになって―――

「んッ、ぁっ、柊真・・・っ、もう・・・・・っ」

「ん・・・・一緒に、いこう・・・・っ」

「ふ・・・・・あぁっ、ぁ・・・・・っ」

「あっ・・・・・」





窓の外は、すでに明るくなってきていた。

でもまだ、こうしていたい。

咲也の左の薬指には、しっかり銀の指輪がはめられていて。

安心したように俺の肩に額をすり寄せ、静かな寝息を立てている咲也。

そんな咲也が可愛くて。

こうして2人でいられることが嬉しくて。

俺は、咲也を抱きしめ、何度目かのキスを落とした・・・・・




「そういえば、あの指輪」

翌朝、まだベッドの上で2人まどろんでいる時。

咲也が俺が渡した指輪を眺めながら、ふと思い出したように口を開いた。

「指輪?」

「あの、ダイヤのーーー」

「ああ、代々受け継がれてるって言う?」

「うん。あれ、サイズ直さないと」

「え?なん・・・・」

「柊真に、してもらわないと」

「え・・・いやいや、あんな高価なの着けられないし!」

「でも、俺の結婚相手にあげるものでしょ?だったら」

「いやでも、あれは無理だよ!咲也が持っててよ」

「えー・・・・あ、いいこと考えた」

急に瞳を輝かせる咲也に、なんとなく嫌な予感がする。

「・・・何?」

「いつか、俺たちの子供にあげよう」

「は?子供って・・・」

「いつか・・・子供、育てたい。だめ?」

咲也が、俺を見つめる。

俺たちが子供を産むことはできないけれど。

それでも

いつか俺たちで子供を持つことができたら・・・・

「ううん。だめじゃないよ。いつか、ね」

俺の言葉に咲也が嬉しそうに笑う。

「うん。ーーー愛してるよ、柊真」

「俺も、愛してる」

そう言って、咲也に口付ける。

何度も確かめるように

絶対に離さないと心に決めながら・・・・

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