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第13話
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「ムウくん、何してんの?」
アキが画廊へ行ってくると言って朝から出かけてから少しして、ナオがやってきた。
ナオと諒ちゃんはこの家の合鍵を持っていて、2人ともこの家に勝手に出入りしていた。
俺は1人ではやることが無くて、ベランダでぼんやりと空を眺めていた。
「―――空、見てた。今日曇ってるね」
「うん、今日はこれから雪が降るかもしれないて言ってたからすごい寒いよね。中入ろうよ。そんな薄着じゃ風邪ひくよ?」
「大丈夫だよ、俺は―――。でもナオが風邪ひいちゃうね」
俺は寒さなんか感じないから大丈夫だけど。
そういえばアキも、すごい重ね着してだるまみたいになって出て行ったっけ。
思い出して、思わずくすりと笑う。
「明来さん、いないんだ?」
「うん、画廊に行くって」
「ふーん。ムウくん留守番?めずらしいね」
そう言ってナオがにやりと笑う。
アキの家に住みはじめて3週間。
俺はアキの行くところにはどこにでも一緒に出かけていた。
近くのスーパーから、ちょっと遠くの銀行まで、とにかくいつも一緒。
アキから離れたくなかった。
どうしてそうなったのか―――
はじめは、とにかくリロイを檻から出してあげるために、アキに振り向いてもらおうって思ってた。
アキはすごく優しくて、あったかくて、傍にいると安心できた。
だから、最初はアキを騙しているような罪悪感を感じていたけれど―――
最近は、とにかくアキと一緒にいたくて仕方がなかった。
理由は―――もしかしたら、アキの『ぬくもり』かもしれないと思った。
アキの傍にいるだけで、不思議なぬくもりを感じていた。
リロイと抱き合っていた時には、感じられなかった温もり。
リロイは、俺を愛してくれて、いつも抱きしめてくれたけど―――。
2人の素肌が触れ合う感覚に心地よさは感じていたけれど、温もりは感じたことがなかった。
それは、俺たちが天使だからだろうか。
天使は、温度を感じることはないから。
でも、アキの傍にいると、それだけで『あたたかい』と感じることができた。
俺がそれに気付いたのは、諒ちゃんと野球を見に行った日だった。
諒ちゃんは優しくて面白かった。
一緒にいると楽しくて、時間を忘れるほどだったけど―――
何かが、ちがったんだ。
帰りに居酒屋へ寄って、お酒を飲んで―――
気付いたら諒ちゃんが俺を抱えるようにしてタクシーに乗せてくれていた。
タクシーの中でもずっと俺を支えてくれていた諒ちゃん。
でも―――
諒ちゃんから温もりを感じることはなかった。
どうしてだろうって、ぼーっと考えてた。
だけど帰って、アキに部屋まで抱えられる様にして連れて行ってもらったとき、気付いたんだ。
アキだから、あったかいんだって。
アキにしか、その温もりは感じないんだって。
俺にとって、アキは特別なんだって・・・・・。
でも、アキにとっては・・・・
「今日は、連れていけないって言われたんだ」
「へえ、そうなの?」
俺の言葉に、ナオがちょっと驚いた顔をした。
「うん。画廊の人に、俺との関係を聞かれたら説明できないからって」
―――絶対、今日はダメ!ついてくんなよ!
そう言って、1人で出かけて行ったアキ。
なんだか、差し出した手を払われたみたいで、悲しい気持ちになった。
もしかして、アキはずっと俺のこと邪魔だと思ってたのかなって。
優しいから言えなかっただけで、本当はどこにでもついてくる俺をうざいって思ってたのかなって・・・・・。
もともと、俺が無理やり押しかけてきたんだもんな・・・・・
モデルとして、置いてくれてるだけで本当は・・・・・
「まあ、基本明来さんて1人が好きな人だからね」
「そう・・・・なの?」
「うん。ああいう、ちょっとゆるい感じの人だから結構人には好かれるっていうか、意外と学校とかでは人気者だったんだけどさ、絵を描くときとかは邪魔されるのすごく嫌がるし、あんまり干渉されるのも好きじゃないんだよ」
「そっか・・・・」
じゃあ、やっぱり・・・・俺がここにいると、迷惑なのかな・・・・・
「だけど、ムウくんは他の人とはちょっと違うと思ってたけど」
「え・・・・・?」
「なんか、ムウくんのことは気になって仕方ないっていうか、放っとけないっていうか―――」
「それは、俺が面倒ばっかりかけるから・・・・」
ゴキブリのこともそうだけど、天上界とこっちの世界との違いに戸惑って、俺はよくアキを慌てさせてる気がする。
困らせるつもりはないんだけど・・・・・。
「それもあるかもしれないけどさ、でもなんか、気になってしょうがないって感じに見えるんだよ」
そう言ってナオは、楽しそうにくすくすと笑った。
俺にはナオの言いたいことがよくわからなかったけど・・・・。
「・・・・嫌われてるわけじゃないってこと?」
「もちろん!いくら明来さんがお人よしだって、嫌いな人と一緒に暮らせないでしょ」
説得力のあるナオの言葉に、俺はホッと胸をなでおろした・・・・・
「―――では、作品が出来上がるのを楽しみにしていますよ、先生」
画廊のオーナーが笑顔を浮かべる。
恰幅のいい40代半ばのオーナーは気さくでとてもいい人だった。
俺の絵にもとても興味を持ってくれ、個展などの相談にも親身になって乗ってくれていた。
今日も、スランプでなかなか新しい作品を描けないでいる俺に、1年後の個展の話を提案してくれたのだ。
「いつもすいません。また連絡しますので―――」
そう言って頭を下げる俺に、オーナーが笑って手を振った。
「ははは、構いませんよ。先生の絵の才能に惚れてるんですから。では―――あ!井上くん!待ってたんだよ!よく来てくれたね―――」
俺と入れ違いに、大学生くらいの若い男が入って来て、オーナーはいそいそとその男の方へ行った。
背のすらりと高い、ちょっと細身で色白のその若い男にニコニコと笑いかけながらその腰にさりげなく手を添えるオーナーを横目で見ながら、俺は画廊を後にした。
外は風が強くなっていて、温まっていた体が一気に冷えて行くのを感じた。
マフラーを首に巻き、駅への道を急いで歩きながら、俺は息を吐き出した。
―――やっぱり、ムウを連れて来ないで正解だった。
あのオーナーはいい人なのだけれど―――俺の知る限り、男にしか興味のない、完全な同性愛者だった。
知り合って間もないころは、やたらとボディータッチの多い人だなくらいにしか思わなかったけれど―――
彼のことを知るにつれ、それは疑いようのないものとなっていった。
最初は驚き、ちょっと警戒した方がいいのかとも思ったけれど、彼が俺のことをそういう目では見ていないことに気付き、そのまま仕事の付き合いを続けている。
彼の好みははっきりしていて―――
細みで姿勢がよく、色が白く眼鼻立ちのはっきりしている若い男が好きなようだった。
そう、ちょうどムウのような・・・・
最近、ムウは俺の行くところにはどこにでもついて来ていた。
それ自体はいやじゃなかった。
いつも隣でにこにこして、好奇心旺盛な瞳をキラキラさせているムウは可愛くて、買い物や銀行に行った帰りにまっすぐに帰らず、公園に寄り道したりするのもムウが一緒だと楽しかった。
だから、今日も最初はついて行きたいと言っていたけれど―――
あのオーナーの好みのタイプにどストライクなムウを連れて行くのは、抵抗があった。
もし、オーナーがムウに目をつけたら―――
もし、オーナーがムウに手を出したら―――
いくら世話になっている人でも、俺はオーナーを許すことができないだろうと思ったから・・・・・。
「ただいまぁ」
家に帰り、玄関の戸を開けると、すぐに奈央の靴が目に入った。
「―――奈央、来てたの?」
「あ、明来さんおかえ―――」
「アキ!お帰り!!」
リビングに入った途端、床に座って奈央とゲームをしていたムウが立ち上がり、俺に飛びついてきた。
「わっ、ムウ、倒れるだろ!」
俺より、体でかいくせに―――
思わずよろけそうになり、足を踏ん張る。
「だって、寂しかったんだもん!アキ、遅いよ!」
ムウが口を尖らせて拗ねたように俺を見る。
そんな表情もかわいくて、思わず頬が緩む。
「ごめんごめん。ちょっと、話が長くなっちゃって・・・・。ムウ、ごはんは?ずっとゲームしてたの?」
「うん、アキが帰ってきたら作ろうと思って、下準備はしてあるよ。すぐ作るね」
そう言って、ムウはキッチンへと入っていった。
床に胡坐をかいてゲームをしていた奈央が、呆れたように俺を見た。
「まったく・・・・新婚さんですか、あんたたちは」
「うっさいな」
「あんたの顔見てたら、ムウくんの悩みなんてあほくさくて聞いてられなくなるね」
「え・・・ムウの悩み?」
「そ。自分がずっとくっついてるから、あなたが鬱陶しくなってるのかも、なんて―――」
奈央が、じろりと俺を睨む。
「鬱陶しいどころか、デレデレじゃん。その顔、諒さんにも見せてやりたいよ」
奈央の言葉に俺は咳払いをして、熱くなった顔をごまかすようにあさっての方向を向いたのだった・・・・・。
アキが画廊へ行ってくると言って朝から出かけてから少しして、ナオがやってきた。
ナオと諒ちゃんはこの家の合鍵を持っていて、2人ともこの家に勝手に出入りしていた。
俺は1人ではやることが無くて、ベランダでぼんやりと空を眺めていた。
「―――空、見てた。今日曇ってるね」
「うん、今日はこれから雪が降るかもしれないて言ってたからすごい寒いよね。中入ろうよ。そんな薄着じゃ風邪ひくよ?」
「大丈夫だよ、俺は―――。でもナオが風邪ひいちゃうね」
俺は寒さなんか感じないから大丈夫だけど。
そういえばアキも、すごい重ね着してだるまみたいになって出て行ったっけ。
思い出して、思わずくすりと笑う。
「明来さん、いないんだ?」
「うん、画廊に行くって」
「ふーん。ムウくん留守番?めずらしいね」
そう言ってナオがにやりと笑う。
アキの家に住みはじめて3週間。
俺はアキの行くところにはどこにでも一緒に出かけていた。
近くのスーパーから、ちょっと遠くの銀行まで、とにかくいつも一緒。
アキから離れたくなかった。
どうしてそうなったのか―――
はじめは、とにかくリロイを檻から出してあげるために、アキに振り向いてもらおうって思ってた。
アキはすごく優しくて、あったかくて、傍にいると安心できた。
だから、最初はアキを騙しているような罪悪感を感じていたけれど―――
最近は、とにかくアキと一緒にいたくて仕方がなかった。
理由は―――もしかしたら、アキの『ぬくもり』かもしれないと思った。
アキの傍にいるだけで、不思議なぬくもりを感じていた。
リロイと抱き合っていた時には、感じられなかった温もり。
リロイは、俺を愛してくれて、いつも抱きしめてくれたけど―――。
2人の素肌が触れ合う感覚に心地よさは感じていたけれど、温もりは感じたことがなかった。
それは、俺たちが天使だからだろうか。
天使は、温度を感じることはないから。
でも、アキの傍にいると、それだけで『あたたかい』と感じることができた。
俺がそれに気付いたのは、諒ちゃんと野球を見に行った日だった。
諒ちゃんは優しくて面白かった。
一緒にいると楽しくて、時間を忘れるほどだったけど―――
何かが、ちがったんだ。
帰りに居酒屋へ寄って、お酒を飲んで―――
気付いたら諒ちゃんが俺を抱えるようにしてタクシーに乗せてくれていた。
タクシーの中でもずっと俺を支えてくれていた諒ちゃん。
でも―――
諒ちゃんから温もりを感じることはなかった。
どうしてだろうって、ぼーっと考えてた。
だけど帰って、アキに部屋まで抱えられる様にして連れて行ってもらったとき、気付いたんだ。
アキだから、あったかいんだって。
アキにしか、その温もりは感じないんだって。
俺にとって、アキは特別なんだって・・・・・。
でも、アキにとっては・・・・
「今日は、連れていけないって言われたんだ」
「へえ、そうなの?」
俺の言葉に、ナオがちょっと驚いた顔をした。
「うん。画廊の人に、俺との関係を聞かれたら説明できないからって」
―――絶対、今日はダメ!ついてくんなよ!
そう言って、1人で出かけて行ったアキ。
なんだか、差し出した手を払われたみたいで、悲しい気持ちになった。
もしかして、アキはずっと俺のこと邪魔だと思ってたのかなって。
優しいから言えなかっただけで、本当はどこにでもついてくる俺をうざいって思ってたのかなって・・・・・。
もともと、俺が無理やり押しかけてきたんだもんな・・・・・
モデルとして、置いてくれてるだけで本当は・・・・・
「まあ、基本明来さんて1人が好きな人だからね」
「そう・・・・なの?」
「うん。ああいう、ちょっとゆるい感じの人だから結構人には好かれるっていうか、意外と学校とかでは人気者だったんだけどさ、絵を描くときとかは邪魔されるのすごく嫌がるし、あんまり干渉されるのも好きじゃないんだよ」
「そっか・・・・」
じゃあ、やっぱり・・・・俺がここにいると、迷惑なのかな・・・・・
「だけど、ムウくんは他の人とはちょっと違うと思ってたけど」
「え・・・・・?」
「なんか、ムウくんのことは気になって仕方ないっていうか、放っとけないっていうか―――」
「それは、俺が面倒ばっかりかけるから・・・・」
ゴキブリのこともそうだけど、天上界とこっちの世界との違いに戸惑って、俺はよくアキを慌てさせてる気がする。
困らせるつもりはないんだけど・・・・・。
「それもあるかもしれないけどさ、でもなんか、気になってしょうがないって感じに見えるんだよ」
そう言ってナオは、楽しそうにくすくすと笑った。
俺にはナオの言いたいことがよくわからなかったけど・・・・。
「・・・・嫌われてるわけじゃないってこと?」
「もちろん!いくら明来さんがお人よしだって、嫌いな人と一緒に暮らせないでしょ」
説得力のあるナオの言葉に、俺はホッと胸をなでおろした・・・・・
「―――では、作品が出来上がるのを楽しみにしていますよ、先生」
画廊のオーナーが笑顔を浮かべる。
恰幅のいい40代半ばのオーナーは気さくでとてもいい人だった。
俺の絵にもとても興味を持ってくれ、個展などの相談にも親身になって乗ってくれていた。
今日も、スランプでなかなか新しい作品を描けないでいる俺に、1年後の個展の話を提案してくれたのだ。
「いつもすいません。また連絡しますので―――」
そう言って頭を下げる俺に、オーナーが笑って手を振った。
「ははは、構いませんよ。先生の絵の才能に惚れてるんですから。では―――あ!井上くん!待ってたんだよ!よく来てくれたね―――」
俺と入れ違いに、大学生くらいの若い男が入って来て、オーナーはいそいそとその男の方へ行った。
背のすらりと高い、ちょっと細身で色白のその若い男にニコニコと笑いかけながらその腰にさりげなく手を添えるオーナーを横目で見ながら、俺は画廊を後にした。
外は風が強くなっていて、温まっていた体が一気に冷えて行くのを感じた。
マフラーを首に巻き、駅への道を急いで歩きながら、俺は息を吐き出した。
―――やっぱり、ムウを連れて来ないで正解だった。
あのオーナーはいい人なのだけれど―――俺の知る限り、男にしか興味のない、完全な同性愛者だった。
知り合って間もないころは、やたらとボディータッチの多い人だなくらいにしか思わなかったけれど―――
彼のことを知るにつれ、それは疑いようのないものとなっていった。
最初は驚き、ちょっと警戒した方がいいのかとも思ったけれど、彼が俺のことをそういう目では見ていないことに気付き、そのまま仕事の付き合いを続けている。
彼の好みははっきりしていて―――
細みで姿勢がよく、色が白く眼鼻立ちのはっきりしている若い男が好きなようだった。
そう、ちょうどムウのような・・・・
最近、ムウは俺の行くところにはどこにでもついて来ていた。
それ自体はいやじゃなかった。
いつも隣でにこにこして、好奇心旺盛な瞳をキラキラさせているムウは可愛くて、買い物や銀行に行った帰りにまっすぐに帰らず、公園に寄り道したりするのもムウが一緒だと楽しかった。
だから、今日も最初はついて行きたいと言っていたけれど―――
あのオーナーの好みのタイプにどストライクなムウを連れて行くのは、抵抗があった。
もし、オーナーがムウに目をつけたら―――
もし、オーナーがムウに手を出したら―――
いくら世話になっている人でも、俺はオーナーを許すことができないだろうと思ったから・・・・・。
「ただいまぁ」
家に帰り、玄関の戸を開けると、すぐに奈央の靴が目に入った。
「―――奈央、来てたの?」
「あ、明来さんおかえ―――」
「アキ!お帰り!!」
リビングに入った途端、床に座って奈央とゲームをしていたムウが立ち上がり、俺に飛びついてきた。
「わっ、ムウ、倒れるだろ!」
俺より、体でかいくせに―――
思わずよろけそうになり、足を踏ん張る。
「だって、寂しかったんだもん!アキ、遅いよ!」
ムウが口を尖らせて拗ねたように俺を見る。
そんな表情もかわいくて、思わず頬が緩む。
「ごめんごめん。ちょっと、話が長くなっちゃって・・・・。ムウ、ごはんは?ずっとゲームしてたの?」
「うん、アキが帰ってきたら作ろうと思って、下準備はしてあるよ。すぐ作るね」
そう言って、ムウはキッチンへと入っていった。
床に胡坐をかいてゲームをしていた奈央が、呆れたように俺を見た。
「まったく・・・・新婚さんですか、あんたたちは」
「うっさいな」
「あんたの顔見てたら、ムウくんの悩みなんてあほくさくて聞いてられなくなるね」
「え・・・ムウの悩み?」
「そ。自分がずっとくっついてるから、あなたが鬱陶しくなってるのかも、なんて―――」
奈央が、じろりと俺を睨む。
「鬱陶しいどころか、デレデレじゃん。その顔、諒さんにも見せてやりたいよ」
奈央の言葉に俺は咳払いをして、熱くなった顔をごまかすようにあさっての方向を向いたのだった・・・・・。
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