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第33話
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「すげえ。瑞希が全部作ったのか?」
目の前に並べられた豪華な料理の数々に俺は目を瞬かせた。
「うん。今日は頑張っちゃった。明日は2人が観に来てくれるっていうし。たぶん―――そのあとすぐにアメリカに立つことになるから」
「え――――」
俺は椅子に座ろうとして、その動きを止めた。
―――そんなに早く?
「だって、パスポート母親に取られたんじゃ・・・・」
「うん、それがさ、昨日ばばあが急にあの劇場に来てパスポートを置いてったんだ」
「え、そうなの?なんで?」
「俺が受ける予定のアメリカのオーディションについて、いろいろ調べたらしい。で、割とでかいエージェンシーでそのドラマのことも結構話題になってるとかで、それに出れば拍がついていいってさ」
「許してくれたってこと?」
「ある意味ね。明日は舞台を観に来るような時間はないから今日会いに来たってさ。あの人が興味があるのは金で、俺の芝居には1ミリも興味ないんだよ」
そう言って瑞希は軽く息を吐くように笑い、席に座ると俺たちに料理を取り分け始めた。
「瑞希―――」
「そんなことより、早く食べよ、おなか空いちゃった!」
「やっと?俺もう腹ペコだよ!」
ずっと黙っていた海斗もそう言って笑った。
「・・・・だな」
せっかくのごちそうだもんな。
作ってくれた瑞希のためにも食事は楽しくしたいよな。
「―――あ、そういえば、瑞希」
そろそろ腹もいっぱいになってきたころ、海斗が何か思い出したように瑞希を見た。
「ん?」
「お前、腕にケガして帰ってきたことあっただろ?あれって何があったんだ?」
「あー・・・・あれね。海斗くんたちには言ってもいいかな。あれは、ストーカーにやられたの」
瑞希の言葉に、俺はぎょっとして食べる手を止めた。
「は!?お前、ストーカーがいるの?」
「俺じゃないよ。瞳子ちゃん」
そう言って瑞希は肩をすくめた。
「しつこいストーカーがいて、いつもはマネージャーがついてるんだけど、たまたま彼女のマネージャーが他のタレントについてなきゃいけない時があって、その日は俺と同じレッスン受けてたからついでに送って行ったんだよ。ほら、前に優斗くんと会ったことあったじゃん。あの日もレッスン帰りに送って行ったの」
「ああ、そういえば」
「その日はそのストーカーが彼女のマンションの前で待ち伏せしてて。んで、持ってたカッターで襲われた」
「襲われたって・・・・事件じゃん!警察には?」
「んー・・・・そこ、微妙なとこでさ」
「微妙って―――」
「瞳子ちゃんが騒ぎにしたくないって。彼女大きな映画の仕事決まったばっかりだったから。で、俺がそいつに口止めして、二度と瞳子ちゃんの前に現れないって誓約書書かせたの」
「え―――それでそいつは納得したわけ?」
「警察に捕まるよりいいでしょ?それに―――俺にはちょっとした裏技があるの」
「裏技?なにそれ」
にやりと笑う瑞希に、なんとなく嫌な予感がする。
「それより、優斗くんもう食べない?片づけちゃっていい?」
「あ・・・うん。片付け、俺やろうか?」
「いいの、1か月も俺を置いてくれたお礼なんだから」
そう言って、瑞希はにっこりと笑ったのだった。
目の前に並べられた豪華な料理の数々に俺は目を瞬かせた。
「うん。今日は頑張っちゃった。明日は2人が観に来てくれるっていうし。たぶん―――そのあとすぐにアメリカに立つことになるから」
「え――――」
俺は椅子に座ろうとして、その動きを止めた。
―――そんなに早く?
「だって、パスポート母親に取られたんじゃ・・・・」
「うん、それがさ、昨日ばばあが急にあの劇場に来てパスポートを置いてったんだ」
「え、そうなの?なんで?」
「俺が受ける予定のアメリカのオーディションについて、いろいろ調べたらしい。で、割とでかいエージェンシーでそのドラマのことも結構話題になってるとかで、それに出れば拍がついていいってさ」
「許してくれたってこと?」
「ある意味ね。明日は舞台を観に来るような時間はないから今日会いに来たってさ。あの人が興味があるのは金で、俺の芝居には1ミリも興味ないんだよ」
そう言って瑞希は軽く息を吐くように笑い、席に座ると俺たちに料理を取り分け始めた。
「瑞希―――」
「そんなことより、早く食べよ、おなか空いちゃった!」
「やっと?俺もう腹ペコだよ!」
ずっと黙っていた海斗もそう言って笑った。
「・・・・だな」
せっかくのごちそうだもんな。
作ってくれた瑞希のためにも食事は楽しくしたいよな。
「―――あ、そういえば、瑞希」
そろそろ腹もいっぱいになってきたころ、海斗が何か思い出したように瑞希を見た。
「ん?」
「お前、腕にケガして帰ってきたことあっただろ?あれって何があったんだ?」
「あー・・・・あれね。海斗くんたちには言ってもいいかな。あれは、ストーカーにやられたの」
瑞希の言葉に、俺はぎょっとして食べる手を止めた。
「は!?お前、ストーカーがいるの?」
「俺じゃないよ。瞳子ちゃん」
そう言って瑞希は肩をすくめた。
「しつこいストーカーがいて、いつもはマネージャーがついてるんだけど、たまたま彼女のマネージャーが他のタレントについてなきゃいけない時があって、その日は俺と同じレッスン受けてたからついでに送って行ったんだよ。ほら、前に優斗くんと会ったことあったじゃん。あの日もレッスン帰りに送って行ったの」
「ああ、そういえば」
「その日はそのストーカーが彼女のマンションの前で待ち伏せしてて。んで、持ってたカッターで襲われた」
「襲われたって・・・・事件じゃん!警察には?」
「んー・・・・そこ、微妙なとこでさ」
「微妙って―――」
「瞳子ちゃんが騒ぎにしたくないって。彼女大きな映画の仕事決まったばっかりだったから。で、俺がそいつに口止めして、二度と瞳子ちゃんの前に現れないって誓約書書かせたの」
「え―――それでそいつは納得したわけ?」
「警察に捕まるよりいいでしょ?それに―――俺にはちょっとした裏技があるの」
「裏技?なにそれ」
にやりと笑う瑞希に、なんとなく嫌な予感がする。
「それより、優斗くんもう食べない?片づけちゃっていい?」
「あ・・・うん。片付け、俺やろうか?」
「いいの、1か月も俺を置いてくれたお礼なんだから」
そう言って、瑞希はにっこりと笑ったのだった。
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