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第二十七話「突然の別れ 後編」
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グレンが国境へと兵を引き連れ旅立ったのがついさっきの話。
しかし、もう彼のことが気になって仕方がない。
暮れる夕日を窓辺で見つめ、ため息をつく。
食事も思うように喉を通らず、侍女やメイド達を心配させてしまった。
駄目ね。グレンの事が好きだと分かってしまったら、いつも通りに振る舞えないわ。
想いに気が付かなかったとしても、戦争に着いていくとは言ったと思うけど、でもここまで心配することもなかったかもしれない。
「薄情ね」
ポツリと呟く。
返事をする者は誰もいない。
部屋がとても広く感じてしまうのは仕方のないことだろうか。
侍女を呼ぶために鈴を鳴らせば、ヒルダが秒で部屋に入ってくる。
「便箋を用意して」
「かしこまりました」
ナーシャに今日の茶会に参加してもらったお礼と、見送れなかった非礼を詫びる手紙を書かなければ。
受け取った便箋に筆を走らせる。
グレンが好きだと気付けたのはナーシャのおかげだ。またお話をしましょうと当たり障りのない言葉を綴る。
そして最後に日本語でこの戦争について何か知っているのか? 知っているのなら教えて欲しいと付け足しておいた。
もし誰かに見られ、謀反の嫌疑がかけられてしまわないように。
便箋を封筒へ入れ、王家の紋章の入った封蝋を押す。
「これをタタン公爵家に」
「御意」
手紙を書き終わり、ついにやることが無くなってしまった。
やることが無くなってしまえば頭を支配するのは戦争への恐怖だ。
本当に戦争が起こるの? ……甘い考えはいけない。覚悟を決めなければ。
誤情報のはずがないわ。もし誤情報で国を混乱に陥れたとなると、国境を守る辺境伯の首が飛ぶことになるもの。
グレンは帰ってくると約束してくれたのだから、信じよう。
椅子からソファに移り、手近にあった可愛らしいクッションを抱きしめる。
思えば、学園でグレンは一切手を出してこなかった。むしろどうあがいてもシナリオに逆らえず痴態を晒す私をさり気なく助けてくれていた気がする。
その頃から、愛されていたのだろうか。
元婚約者はヤリチン王子などとまことしやかに囁かれていたほど女癖が悪かったというのに、この差はなんだろう。
大切だから傷つけないよう大事にされていた……とか?
ボボボッと顔が赤くなったのが自分でも分かった。
い、いったい、いつから私の事を好きになってくれていたの?
初めて会ったのは体育倉庫のはずで、次が獣人から逃げてロッカーに立て籠もった時……。
えぇ、全然わからない。
グレンが私を好きになるきっかけが分からなさ過ぎる。
「帰ってきたら聞こう。うん、そうしよう」
グレンの事を考えていたら途端に思い出してしまう。
「……寂しいなぁ」
抱きしめたクッションに顔を埋める。
口に出したらもう誤魔化すことはできない。
「ユキノ様。こちらを」
ヒルダが差し出したのは例のイヤリング。
グレンと私、それぞれの瞳の色を埋め込んだ一品だ。
「ありがとう。ヒルダ」
「肌見離さずお持ち下さい。旦那様がお帰りになられるまで」
「そうね」
イヤリングに口づけ、グレンの無事を祈る。
帰ってきたら好きだと言うから、無事に帰ってきて。
前世のことも、全部、全部話すから。
治癒魔法の使えるグレンは後方支援だと信じたい。
しかし、王子が先陣を切る事の大切さも理解しているつもりだ。戦を早く終わらせる方法が敵将の首を取る事だという事も。
駄目だ、どうしても嫌な想像ばかりしてしまう。
悲痛な顔をしていたのだろう。ヒルダが跪き、私の両手を自身の両手で包み込んだ。
「お気持ちは痛いほどわかります。旦那様は必ず帰ってきますよ」
「……そうね」
ヒルダがグレンなら大丈夫だと言うほど、目に見えて落ち込んでいたようだ。
「紅茶を淹れて参ります。リラックスできるよう、ハーブティーにしましょう」
「……お願い」
ヒルダが紅茶を淹れるために一度部屋を出た。
その時間を利用してリラックス出来るようにと控えていた他の侍女達に部屋着へと着替えさせられる。
その気遣いが純粋に嬉しい。
着替えが終わると同時にヒルダがワゴンを持って帰ってきた。
流石のコンビネーションだ。
ヒルダの淹れた紅茶を口にし、ほぅと息を吐く。
自分で思っていた以上に疲れているみたいだ。
紅茶を飲み干し、侍女達に下がるよう伝える。
「少し疲れたから、今日はもう休むわ」
「かしこまりました」
最後に礼をして下がったヒルダを確認し、私は寝台へと潜り込んだ。
キングサイズの寝台は一人で寝るには大きすぎて、寂しさを増幅させるには十分だった。
「約束、したんだもん。絶対、グレンは大丈夫」
そう口に出してみるものの、不安が拭えるはずもない。
戦争など、平和な日本で生きてきた私には無関係のものだったのだから。
グレン。私の、愛しい人。早く、早く逢いたい。
別れたのはついさっきだというのにもう恋しくなっている。これが好きだということ。
グレンから貰ったイヤリングを抱きしめながら、そうして私の意識は常闇へと沈んでいった。
◇◆◇
体が思うように動かない。
背中の痛みに呻きながら起き上がり、霞む視界で辺りを見渡す。
「うっ、ここは……?」
目が覚めてまず目に付いたのは、自身のいる場所。床ではなく硬い寝台に寝かされている事に驚いた。
そして薄暗くすごく埃っぽい。普段使われない部屋なのだと伺える。
出入り口である扉は目の前に1つ。十中八九、見張りがいるだろう。
子供一人分もない小さな小窓しかなく、部屋というには物が無さ過ぎる場所。
両手両足を金属製の拘束具で縛られ、満足に動くことすら叶わない。
「こんなもの、簡単に壊せるんだから! ……えっ?」
魔力を込めて魔法を発動させたはずが、不発だった。
たらりと嫌な汗が背中を伝う。
これは、魔封具?
魔封具を施され魔法が使えなければ、私はただの無力な人間へと成り下がってしまう。
どうしよう、どうしたら、どうすれば。
ぐるぐると脱出の算段を思い浮かべてみるが、やはり魔封具が外れなければ何も出来ない。
待つと約束したのに、どうしてこうなるの? やっとグレンと向き合う覚悟が決まったのに……。
薄暗い場所にいると気分も暗く落ち込んでくる。
「だめだめ。落ち込んでる暇があるならもっと策を練るのよ、ユキノ。誰かが入ってきたら逃げればいいの」
強がりでもいい。
今は前を向いて、自分を信じよう。
なんたって私は、世界最強の主人公なんだから!
そう決意を新たにした瞬間、軋んだ音を立てて扉が開いた。
眩しさに目がくらむ。が、それもすぐに慣れるだろう。
目が慣れたらすぐにでも飛びかかれるように足裏に力を込める。
扉を開けた人物は逆光で見えなかったが問題ない。
誰であろうと、突破するだけだ。
「目が覚めましたか?」
そう思っていた。
しかし聞き覚えのある声に、飛び出す勇気さえ削られていく。
「もう少し寝ていてくだされば良かったのに」
「っ、なんでって、ありきたりな事聞いていい? どうして貴女が……!?」
明るさに慣れた目に飛び込んできたのは、私の侍女であるはずのヒルダだった。
しかし、もう彼のことが気になって仕方がない。
暮れる夕日を窓辺で見つめ、ため息をつく。
食事も思うように喉を通らず、侍女やメイド達を心配させてしまった。
駄目ね。グレンの事が好きだと分かってしまったら、いつも通りに振る舞えないわ。
想いに気が付かなかったとしても、戦争に着いていくとは言ったと思うけど、でもここまで心配することもなかったかもしれない。
「薄情ね」
ポツリと呟く。
返事をする者は誰もいない。
部屋がとても広く感じてしまうのは仕方のないことだろうか。
侍女を呼ぶために鈴を鳴らせば、ヒルダが秒で部屋に入ってくる。
「便箋を用意して」
「かしこまりました」
ナーシャに今日の茶会に参加してもらったお礼と、見送れなかった非礼を詫びる手紙を書かなければ。
受け取った便箋に筆を走らせる。
グレンが好きだと気付けたのはナーシャのおかげだ。またお話をしましょうと当たり障りのない言葉を綴る。
そして最後に日本語でこの戦争について何か知っているのか? 知っているのなら教えて欲しいと付け足しておいた。
もし誰かに見られ、謀反の嫌疑がかけられてしまわないように。
便箋を封筒へ入れ、王家の紋章の入った封蝋を押す。
「これをタタン公爵家に」
「御意」
手紙を書き終わり、ついにやることが無くなってしまった。
やることが無くなってしまえば頭を支配するのは戦争への恐怖だ。
本当に戦争が起こるの? ……甘い考えはいけない。覚悟を決めなければ。
誤情報のはずがないわ。もし誤情報で国を混乱に陥れたとなると、国境を守る辺境伯の首が飛ぶことになるもの。
グレンは帰ってくると約束してくれたのだから、信じよう。
椅子からソファに移り、手近にあった可愛らしいクッションを抱きしめる。
思えば、学園でグレンは一切手を出してこなかった。むしろどうあがいてもシナリオに逆らえず痴態を晒す私をさり気なく助けてくれていた気がする。
その頃から、愛されていたのだろうか。
元婚約者はヤリチン王子などとまことしやかに囁かれていたほど女癖が悪かったというのに、この差はなんだろう。
大切だから傷つけないよう大事にされていた……とか?
ボボボッと顔が赤くなったのが自分でも分かった。
い、いったい、いつから私の事を好きになってくれていたの?
初めて会ったのは体育倉庫のはずで、次が獣人から逃げてロッカーに立て籠もった時……。
えぇ、全然わからない。
グレンが私を好きになるきっかけが分からなさ過ぎる。
「帰ってきたら聞こう。うん、そうしよう」
グレンの事を考えていたら途端に思い出してしまう。
「……寂しいなぁ」
抱きしめたクッションに顔を埋める。
口に出したらもう誤魔化すことはできない。
「ユキノ様。こちらを」
ヒルダが差し出したのは例のイヤリング。
グレンと私、それぞれの瞳の色を埋め込んだ一品だ。
「ありがとう。ヒルダ」
「肌見離さずお持ち下さい。旦那様がお帰りになられるまで」
「そうね」
イヤリングに口づけ、グレンの無事を祈る。
帰ってきたら好きだと言うから、無事に帰ってきて。
前世のことも、全部、全部話すから。
治癒魔法の使えるグレンは後方支援だと信じたい。
しかし、王子が先陣を切る事の大切さも理解しているつもりだ。戦を早く終わらせる方法が敵将の首を取る事だという事も。
駄目だ、どうしても嫌な想像ばかりしてしまう。
悲痛な顔をしていたのだろう。ヒルダが跪き、私の両手を自身の両手で包み込んだ。
「お気持ちは痛いほどわかります。旦那様は必ず帰ってきますよ」
「……そうね」
ヒルダがグレンなら大丈夫だと言うほど、目に見えて落ち込んでいたようだ。
「紅茶を淹れて参ります。リラックスできるよう、ハーブティーにしましょう」
「……お願い」
ヒルダが紅茶を淹れるために一度部屋を出た。
その時間を利用してリラックス出来るようにと控えていた他の侍女達に部屋着へと着替えさせられる。
その気遣いが純粋に嬉しい。
着替えが終わると同時にヒルダがワゴンを持って帰ってきた。
流石のコンビネーションだ。
ヒルダの淹れた紅茶を口にし、ほぅと息を吐く。
自分で思っていた以上に疲れているみたいだ。
紅茶を飲み干し、侍女達に下がるよう伝える。
「少し疲れたから、今日はもう休むわ」
「かしこまりました」
最後に礼をして下がったヒルダを確認し、私は寝台へと潜り込んだ。
キングサイズの寝台は一人で寝るには大きすぎて、寂しさを増幅させるには十分だった。
「約束、したんだもん。絶対、グレンは大丈夫」
そう口に出してみるものの、不安が拭えるはずもない。
戦争など、平和な日本で生きてきた私には無関係のものだったのだから。
グレン。私の、愛しい人。早く、早く逢いたい。
別れたのはついさっきだというのにもう恋しくなっている。これが好きだということ。
グレンから貰ったイヤリングを抱きしめながら、そうして私の意識は常闇へと沈んでいった。
◇◆◇
体が思うように動かない。
背中の痛みに呻きながら起き上がり、霞む視界で辺りを見渡す。
「うっ、ここは……?」
目が覚めてまず目に付いたのは、自身のいる場所。床ではなく硬い寝台に寝かされている事に驚いた。
そして薄暗くすごく埃っぽい。普段使われない部屋なのだと伺える。
出入り口である扉は目の前に1つ。十中八九、見張りがいるだろう。
子供一人分もない小さな小窓しかなく、部屋というには物が無さ過ぎる場所。
両手両足を金属製の拘束具で縛られ、満足に動くことすら叶わない。
「こんなもの、簡単に壊せるんだから! ……えっ?」
魔力を込めて魔法を発動させたはずが、不発だった。
たらりと嫌な汗が背中を伝う。
これは、魔封具?
魔封具を施され魔法が使えなければ、私はただの無力な人間へと成り下がってしまう。
どうしよう、どうしたら、どうすれば。
ぐるぐると脱出の算段を思い浮かべてみるが、やはり魔封具が外れなければ何も出来ない。
待つと約束したのに、どうしてこうなるの? やっとグレンと向き合う覚悟が決まったのに……。
薄暗い場所にいると気分も暗く落ち込んでくる。
「だめだめ。落ち込んでる暇があるならもっと策を練るのよ、ユキノ。誰かが入ってきたら逃げればいいの」
強がりでもいい。
今は前を向いて、自分を信じよう。
なんたって私は、世界最強の主人公なんだから!
そう決意を新たにした瞬間、軋んだ音を立てて扉が開いた。
眩しさに目がくらむ。が、それもすぐに慣れるだろう。
目が慣れたらすぐにでも飛びかかれるように足裏に力を込める。
扉を開けた人物は逆光で見えなかったが問題ない。
誰であろうと、突破するだけだ。
「目が覚めましたか?」
そう思っていた。
しかし聞き覚えのある声に、飛び出す勇気さえ削られていく。
「もう少し寝ていてくだされば良かったのに」
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