転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第三十三章 二年生

千二百八十八話 無事に薬草採取講習も終了です

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 そして、僕たちは防壁の門から街道を挟んで反対側にある茂みに向かいます。
 受講生は、何だか不思議そうにしていますね。

 ごそごそ。

「はい、このように意外なところにも薬草があります。門兵が直ぐ側にいて、何かあっても助けを呼ぶことができます」
「「「おおー!」」」

 ミカエルが見事に薬草を見つけると、受講生から感嘆の声が上がりました。
 まさか、こんなところに薬草があるとは思わなかったみたいですね。
 すると、手が空いた門兵も僕たちのところにやってきました。

「この辺は、意外と薬草が多いんだよ。でも、場所が場所だけにあまり採取に来ないんだ。初心者なら、ここから薬草採取を始めるといいぞ」
「「「はい!」」」

 門兵もここは良いところだと太鼓判を押してもらい、受講生はかなりヤル気になっています。
 薬草は生命力が強いから、環境が合えば生育していきます。
 では、さっそく薬草採取を始めましょう。

「えっとね、一箇所見つけるとその周りにもたくさん薬草が生えているんだよ」
「あっ、本当です。たくさん生えています」
「でも、葉っぱは全部取らないでね。半分くらいにしておくと、直ぐにまた葉が生えるんだよ」

 リズも、張り切って受講生に教えながら薬草採取をしています。
 実演付きなので、中々いい感じですね。

「あっ、こっちにもあった!」
「ここにもあるよ!」

 ルカちゃん、エドちゃんたちを始めとするちびっ子たちも、頑張って周りの人に薬草のある場所を教えています。
 ポッキーたちも加わったので、的確に薬草を探し当てていますね。
 ちびっ子たちがきっちりと薬草の取り方を教えているので、受講生もかなりびっくりしています。

「ぷちぷちぷち」

 そんな中、エリちゃんは黙々と薬草採取をしていました。
 やり方を間違ってはいないし、ネコちゃんも側にいるから安心ではあります。
 ケンちゃんたちも、お姉ちゃんたちに教わりながら張り切って薬草採取をしていますね。
 防壁の門でチェック待ちの人々も、頑張って薬草を集めているちびっ子たちに目を細めていました。
 こうして、休憩を入れながら一時間もするとたくさんの薬草が集まりました。

「では、忘れ物がないか確認をして冒険者ギルドに戻りましょう」
「「「はい!」」」

 たくさんの薬草を集められたからなのか、受講生はみんないい表情をしていますね。
 ミカエルも、キチンと指示を出しています。
 再び防壁の門で手続きをして、僕たちは冒険者ギルドに戻りました。
 最初に向かうのは、卸担当の所です。

「こちらで、採取した薬草を卸します。手続きの際に、必ず冒険者カードを提出して下さい」

 受講生が順に手続きをしているけど、みんな揃ってびっくりしていました。

「えっ、こんなにお金がもらえるんですか?」
「単価が安くでも、数を集めればそこそこの金になるぞ」

 今日は特にちびっ子たちが張り切って薬草の集め方を教えていたから、かなりの数が集まっていたんだよね。
 それに、薬草は消耗品だから常に需要があるもんね。
 エリちゃんたちも、無事に換金を終えました。

「これで薬草採取講習を終わりにします。受付で完了の手続きをして下さい」
「「「ありがとうございます」」」

 ミカエルがペコっと頭を下げて、これで薬草採取講習は無事に終了です。
 僕から見ても、しっかりと講師を務められたと思いますよ。

「何回か一緒にやれば、ミカちゃんとブリットちゃんだけでも講師はできるよ!」
「リズ様に太鼓判を押してもらえるのは、とても心強いです」

 リズもミカエルの講師はとても良かったと受付のお姉さんに報告していて、冒険者ギルドとしても優秀な講師が増えるのはありがたいことです。
 では、昼食の時間なのでみんなで王城に向かいましょう。
 僕は、王城にゲートをつなぎました。

「じゃーん、エリもぼうけんしゃー!」

 エリちゃん、いきなりみんなに冒険者カードを見せない方がいいと思うよ。
 とてもいい笑顔なんだけど、こめかみがピクピクしている人がいるよ。

「エリ、誰に許可をもらったのかな?」
「おとーさま!」

 なんと、アリア様の問いかけにエリちゃんがある人物の名前を言ったのです。
 ネコちゃんといつも一緒にいるマジカルラットに話を聞いても、確かに陛下が許可を出したと言っていました。
 これには、アリア様も思わず苦笑いです。

「エリちゃん、陛下ではなく私の許可を得なさいね」
「ごめんなさい……」

 エリちゃんは、アリア様にペコリと頭を下げました。
 うん、これでエリちゃんの件は終わりですね。

 ガチャ。

「ふう、会議は疲れ……」
「あなた、ちょっとこちらに……」

 そして、エリちゃんの冒険者登録を許可した人物を、アリア様は廊下に引きずり出しました。
 うん、暫く廊下から聞こえる説教は聞かなくていいですね。

「ミカちゃんの初めての講師だなんて、絶対に見たいに決まっているじゃない」
「そうなの。絶対に見たかったの」

 そして、結婚式の準備を手伝っていたルーシーお姉様とエレノアは、ミカエルを始めとするちびっ子たちの晴れ姿を見れずに不満そうでした。
 こればっかりはしょうがないもんね。
 因みに、暫くすると足が痺れて変な歩き方をしている陛下が食堂に入ってきました。
 間違いなく、正座でのお説教だったんですね。
 流石に自業自得なので、陛下には反省してもらわないとね。
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