転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第三十三章 二年生

千三百二十一話 意外な大捕り物

「ここで正論を言っても、酔っぱらっているあなたたちには届かないでしょう。でも、これだけは言わせてもらいます。あなたたちは、まともな冒険者ではないです。冒険者だけでなく、どんな仕事をしても失敗しますよ」
「「「ふざけるな、このガキが!」」」

 やはりというか、僕が正論を言うと三人のガラの悪い冒険者は激昂して僕に詰め寄ってきます。
 元からだけど、更に頭に血が昇ってもはや会話が成立するレベルではありません。
 ということで、ここからは偉い人に話を代わってもらいましょう。

 ポンポン。

「ああ!? 誰……」

 僕に掴みかかろうとした冒険者の肩を、誰かが叩いたのです。
 メンチを切って振り返った冒険者は、思わず固まってしまったのです。
 そこには、いい表情をしているジンさんの姿がありました。

「え!? じ、ジン、さん?」
「「あぁ……」」
「よお、久しぶりだな。噂の人物が、まさかお前だったとはな」

 どうも、三人のガラの悪い冒険者はジンさんの知り合いだったみたいです。
 完全にヤバい場面を見られて、驚いた表情のまま固まっちゃったみたいですね。

「ははは、俺たちもお前らから話を聞きたかったんだよ。別に、今ここでアレクたちに詰め寄った件じゃないぞ」
「「「えっ、あっ……」」」

 ジンさんのとても良い笑顔に、三人は思わず固まってしまいました。
 とはいえ、レイナさんたちに加えてティナおばあさまも三人を取り囲んでいます。

「子爵領から、あるものを運んでいたらしいな。随分とあくどい方法で金を稼ぐとは、お前ら講師以前に人として失格だ」

 シュイン、バシッ。

「「「なっ!?」」」

 ジンさんが手を上げたタイミングで、カミラさんの拘束魔法が発動しました。
 その間に、僕の通信用魔導具に連絡が入りました。
 どうやら、この三人を調べたところ、似た容姿の人物がある子爵領から麻薬みたいなものを運び出していたみたいです。

「取り敢えず、お前らの行き先は軍の拘置所だ。既に軍も呼んでいるから、直ぐに来るだろう」
「「「とほほ……」」」

 地面に転がっている三人に、ジンさんはこの後の流れを通告していました。
 三人は、ガックリと項垂れていますね。

「お前等が素直に話すのなら、普通の尋問を受けることになる。だが、素直に話さないのなら……」
「「「話します!」」」

 ジンさんは、最終手段として破壊王のデス料理尋問を考えていたみたいです。
 知り合いが大罪を犯したので、かなり怒っているみたいですね。
 そして、駆けつけた軍により三人は連行され、冒険者カードは没収となりました。
 間違いなく、三人は永久追放になるでしょう。

「はあ、昔はまともな奴だったのに金の魔力に囚われたみたいだな。そこを犯罪組織に付け込まれて、麻薬の運び人なんてやっていたらしい」
「子爵家から、ハーデスちゃんを保護した麻薬入りクッキーの件ですね。後は、子爵領で栽培されていた違法薬物もあります」
「意外と調べることが多くてな、あの赤ん坊はまだアレクのところにいることになる。処分言い渡しも、もう少し先だ」

 ルーカスお兄様の結婚式を挟んだのもあるけど、取り調べを受けている人の数が多いのもあります。
 ハーデスちゃんはネネさんがよく面倒を見てくれているので、本当に問題ありません。
 ハーデスちゃんのいた屋敷の使用人がさっぱりいなくなったので、その件も含めて調整中です。

「あとね、アレク君とリズちゃんが冒険者ギルドで教えている際に、アカデミーの若者が見に来ることになったのよ。報告をもらったけど、とても良いことを教えているわ」
「おー、教えるのはリズにお任せだよ!」

 ティナおばあさまが教えてくれた内容に、リズとスラちゃんは元気よく返事をしていました。
 明日も午後授業はないけど、僕は仕事があります。
 と思ったら、その講師役も仕事の一部としてやってくれと宰相から通信用魔導具経由で連絡がありました。
 優秀な冒険者が増えるのは、国にとっても良いことだそうです。

「ついでだから、アレクの知り合いも呼んでいいそうだ。生徒会の面々も呼べば良いだろう」
「「「おおー」」」

 ジンさんの発言に、リズ、エレノア、イヨが盛り上がっていました。
 生徒会もやることはないし、良いタイミングなのかもしれません。
 こうして、臨時の新人冒険者向け講習は終了しました。
 明日は、また忙しくなりそうですね。
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