転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
464 / 1,192
第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々

六百六十話 バスタオルでも足りない様です

しおりを挟む
 屋敷に戻って着替えも済ませたけど、教皇国に行くのならという事でついでにこの人も同行する事になりました。

「カレちゃん!」
「ミカエルちゃん、久しぶりね」

 ちょうどお勤めが終わったタイミングでもあったので、カレン様も一緒にお店に行く事になりました。
 カレン様大好きのミカエルが、早速カレン様に抱きついていました。

「急なお誘いになり、申し訳ありませんわ」
「いえいえ、こうして皆様と、などお会いできるのもとっても嬉しいですわ」

 同じルーカスお兄様の婚約者同士のアイビー様とカレン様が、仲良く話をしています。
 僕達は仲良しなので、婚約者同士でもいざこざはありません。
 僕達の周りの人も、正妻と側室で仲が悪い人はいないもんね。
 準備がととのった所で、教皇国にあるオカマさんのお店に向かいます。

「おーいおいおいおい、イヨの、イヨの表情が、柔らかくなっているわ。おーいおいおいおい」
「大げさすぎ」

 オカマさんは、僕達とにこやかに話すイヨを見て大号泣していました。
 バスタオルでも足りないくらい号泣するオカマさんを見て、流石のイヨもドン引きです。
 まあ、僕達の所に来た当初のイヨは本当に無表情だったから、僕もオカマさんの嬉しい気持ちは何となく分かるけどね。

「おーいおいおいおい」
「では、席にご案内しますね」
「「「はーい」」」
「おーいおいおいおい」

 オカマさんが泣き止まないので、普通に店員さんが僕達を席に案内してくれました。
 個人的には、オカマさん料理作れるかなって思ったりして。

「はあ、凄い経験しちゃったよ。あの人が前に聞いたオカマさんなんだね」
「私としては、とても心がピュアな方だと思いましたわ」

 さすがエマさんとオリビアさんです。
 ちょっと驚いていたけど、あっという間にオカマさんの事を普通に受け入れていました。

「アレク君がイヨを大切にしているから、きっとイヨも表情が柔らかくなったのよ」
「オカマさんから預かったので、僕も気にしていましたよ」

 ティナおばあさまも、僕の頭を撫でながら話をしてくれました。
 どちらかと言うと、リズ達のガールズトークや遊びが大きな効果があったと思うな。

「それでは、お待ち下さい」
「「「はーい」」」

 店員さんが注文を取って料理ができるまで少し時間が開くので、カレン様に近況を聞くことにします。

「最近は新たな聖女候補者もメキメキと力を付けてきまして、そろそろ私抜きでも一人で仕事が出来そうです」
「それは良かったですね」

 カレン様がルーカスお兄様と婚約しているのは、教皇国でも周知の事実です。
 僕も皆も後継者が出来たと聞いて、ホッと一安心です。

「皆さんから情報を頂き、聖騎士を中心に捜査も行っております。しかし、中々逃走した闇ギルドの構成員は追えません」
「それは私達も同じですわ。それでいて散発的に事件を起こすので、本当に厄介ですわ」

 アイビー様にとっては、入園式でも闇ギルド関連の騒ぎが起きたので、本当に憎き相手なんでしょうね。
 教皇国でも足跡を追えていない様なので、今度は他の国に行って話を聞いてこよう。

「お兄ちゃん、来週はお仕事あるの?」
「うーん、来週はずっとお仕事だよ」
「「「えー!」」」

 あと二週間は、毎日お仕事の予定です。
 四月になれば余裕が出てくるんだけど、今は余裕が全くないんだよね。
 リズ達も僕が仕事だと何かしらの事をしないといけないので、大いに不満の声を上げていた。
 僕だって、お休みの日が欲しいよ……
しおりを挟む
感想 287

あなたにおすすめの小説

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。

下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。 ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。 小説家になろう様でも投稿しています。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

悲恋小説のヒロインに転生した。やってらんない!

よもぎ
ファンタジー
悲恋ものネット小説のヒロインに転生したフランシーヌはやってらんねー!と原作を破壊することにした。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。