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第十八章 結婚式の話

第三百七十二話 春に向けての準備

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 卒園式から数日後、エステル達の花嫁修行が始まった。
 どうも週四日なのはエステルだけであって、他の人達は週二日でオリガやマリリさんは結婚式の衣装の準備や調整をメインにしている。
 ここの所ホワイトがタラちゃんやポチを一緒に、オリガやマリリさんの事を頻繁にガルフ子爵領に連れていっている。

「ふふふ、こうして事前に娘の結婚式の予行練習をできるのはとてもありがたい事ですよ。しかも、皆小さい頃から見ているので嬉しさも倍増ですわ」
「「ははは……」」

 今日はサーシャさんがこちらの屋敷にやってきて、客室を使ってガルフとマルクの服のサイズ直しをしていた。
 オリガとガルフ、マリリとマルクはリンの幼馴染というのもありサーシャさんに頭が上がらない。
 嬉々として全員の衣装を準備するサーシャさんは、全員の結婚を心から喜んでいた。
 なので、ガルフもマルクも、主人の母親である子爵夫人が、自分の衣装を用意する事を止められないでいるのだ。
 うん、ここはお任せしておこう。

 俺は客室からパーティルームに移った。
 ここでは新入園生の制服のサイズチェックを行なっている。
 制服は規定の物を購入するのだが、まだ子どもなので成長を考えて少し大きめの物を購入している。
 なので、ちょっとブカブカなのが少し可愛い。

「ドラコ達は、スカートに竜の尻尾を出す所を作って貰ったか」
「僕達は竜人だからね。獣人の貴族もいるから、獣人用を改造して貰ったの」

 ドラコ達の竜の尻尾は立派だから、スカートを改造しないとパンツ丸見え状態になってしまう。
 制服で不具合のある所は、サーシャさんと一緒にきた侍従によって手際よく直されていった。
 通学バックは指定がないのだが、どうもうちの子ども達はリュックタイプを選んだ様だ。
 これもサーシャさん達のお手製のリュックだ。
 既にリンとフローレンスによって、入園までに必要な物もバッチリ準備してある。
 明日入園式が行われても全く問題ないという。
 
「妾もいるし、ヴィルもおる。卒業まで退屈する事はなさそうじゃな」
「とんでもないメンバーが揃っていますからね。教師が苦労しそうです」
「だから私が面倒を見る事になったんですよ。私でもどうなるか分かりませんが」
「チナなら大丈夫じゃろう」

 学園での業務が終わって帰ってきたチナさんと、何故かうちに来ていたビアンカ殿下と衣装合わせの現場を見ながら話をしていた。
 今回は王族に貴族の当主に竜人と、とんでもない面子だ。
 チナさんでもこんな生徒を見るのは大変だろうな。

「「「わーい!」」」
「コラー、服を着なさい!」
「「「……」」」

 相変わらずの声が一階から聞こえてきた。
 思わず三人で顔を見合わせている。

「相変わらずじゃのう」
「まあ、子どもの面倒を見るのは良いこと何ですけど、完全に子どもに遊ばれていますよね」

 皆んなで少し笑っていた。
 笑いながら、新しい春が来る事をみんな楽しみにしていた。
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