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第二話 異世界
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そして、
「ふぁー。寝た寝た」
俺は目を開けた。辺りは草原だった。
風がなびき、木々が揺れている。どこまでも続いている草原は都会の重苦しい雰囲気とはまるで別物で解放感があった。
「ど、どこだよ!ここは!」
永田が周りを見渡し、慌てていた。
「ちょっっ!早く帰しなさいよね!こんな事して良いと思っているの!犯罪よ犯罪!拉致監禁よ!」
「嘆いても変わらないものは変わらない。もうここは異世界なのだ。異世界人を殺すまで帰れない」
「何だよー。意味わかんないよー。異世界って信じられないよ」
「みんな落ちついて。今は現状を把握するべきだと思う」
「赤司くんでもー。スマホ使えないし」
スマホは関係ないと思うが。まぁ女子高生には必須なのは分からなくもない。
「白石さん大丈夫だから。ここは異世界と仮定して、まずは食料調達と水分確保が優先だと思うんだ。辺りに街は見当たらないし、村もない。だから3グループに分けて、食料と水分確保、それとみんなが休めるところを探すのを分担した方がいいと僕は思う」
今は太陽を直に浴びていて、体力消耗は激しい。
流石リーダーシップの塊だ。クラスの中心になるのも頷ける。
「で、でもよー赤司。それってまるで」
「サバイバルね。良いわよ赤司くん。私はその案に乗った。他の人たちはどうかしら?」
黒髪ロングでクラス1美少女の秋姫鈴菜は言った。
秋姫がこの案に乗ると言うのなら男子達は黙っていない。
「俺もその案で構わねー」
「ありがとう龍崎くん」
「龍崎がやるなら」
「うん。龍崎が」
「そうだね。龍崎くんがやるってなら」
男子は恥ずかしいのか照れ臭いのか龍崎の名前を出してあたかも秋姫が乗ったからではないと主張していた。
クラスというのは空気が読めない奴は蹴落とされる。最初に流れが来ると最後まで止むことはない。
結局、クラス全員が赤司の案に乗った。
人間関係はどのグループに入るかでその行方が決ると言っても過言ではない。
上位カーストグループ、下位カーストグループに入るかでは自分の立ち位置が180度変わる。
当然俺は下位カーストグループに入れられることになった。入学式だけで人間関係を構築する技術何て俺にはない。
どうやらこのグループは入学式で友達が出来なかった人が集まって出来たグループのようだ。
人数は10人。一人一人距離がある感じだ。
そして、分担は食料調達となった。
全員の集合場所をここに決め、3グループは森の中へと入っていった。
森の中は非常に涼しく、小鳥のさえずりも聞こえてくる。神秘的な場所に心を躍らせていた。
最後尾を歩き、進んでいく。すると、今まで一言もグループから声が聞こえなかったのだが、1人前を行く少年が声を出した。
「ぁ、あのー...涼子殿。はぁー。い、今、す、好きな人とか居ないでありますか?はぁーはぁー」
荒い呼吸を常にし、少し太っている奴がすぐ後ろを歩く涼子とやらに声をかけていた。
静かなグループでは嫌でも会話が聞こえてくるのだから仕方ない。
「嫌、居ないけど何?」
涼子は即答し、目も合わさない。興味がないのだろう。
「な、なら。はぁー。な、仲良くなりたいでありますでごさる」
少し太った少年は涼子の隣を歩き、会話を続ける。語尾が特徴的だな。
「私は誰とも仲良くするつもりはないから」
そう言い俺の後ろ、最後尾まで下がってきた。
「そ、そんな涼子たんも可愛いですぞー!」
涼子の後を追い、少し太った少年は涼子の隣を歩く。
「何あんた?まだ私に用があるわけ?」
「はぁー。よ、用がなくても涼子たんと一緒に居たいのでごさるよ」
つきまとわれて拒絶反応を覚える涼子は鋭い視線を送る。だか、少し太った少年はそんな彼女の反応にますます興奮したのか、顔が火照っている。
「キモい。これ以上構ってくるなら蹴るけどいい?」
「は、はい!お願いします!はぁーはぁーはぁー」
側から見てる俺でもキモいと思ってしまう。蹴られて嬉しいなんてとんだドMだなこいつ。
少し太った少年の様子を見て涼子は蹴るのを躊躇う。
ーここは助けてやるか
「おい。困っているだろ。そこまでにしろよ」
俺は勇気を振り絞ってそう言ったのだが、2人から鋭い視線が帰ってきた。俺迷惑だったか?
「誰が困っているなんて言ったの?こういうの本当余計だから黙っていて」
「は、はい」
俺は涼子からの言葉を受け、顔を後ろから前に向ける。
「そ、それで一つ提案なんだけどさ!ぼ、僕と一緒に抜け出さない?」
真剣な眼差しで、語尾も普通に戻っていた。
「会ったばっかの奴についていくなんてバカじゃないの?正直、消えてくんない?それか死んで」
「ば、罵倒する涼子たん来たーーー!!!ぼ、僕は諦めないでござる。いつか涼子たんと...はぁーはぁー。ぐぁっっ!!」
少し太った少年は涼子に蹴られ草の茂みに頭から転がり落ちた。
「なんか音しなかったか?」
その音に反応し、一斉に他のみんなが涼子に振り返る。一応俺は聞いておく。全て見てたけど。
「何それ。わかっているくせに。まぁ、茂みからウサギが出ただけだから気にしないで」
涼子の言葉を聞き、9人は歩みを再開する。1人茂みの中で興奮しながら気絶している少年を除いて。涼子は俺がこっそりと後ろを伺っていたことは気づいていたのだろう。
涼子は黒髪ショート、いかにも運動が得意ですと言わんばかりのスタイルだ。顔も整っていて、男からの対応にも慣れていた。今のようなことが良くあるのだろうか。
「ふぁー。寝た寝た」
俺は目を開けた。辺りは草原だった。
風がなびき、木々が揺れている。どこまでも続いている草原は都会の重苦しい雰囲気とはまるで別物で解放感があった。
「ど、どこだよ!ここは!」
永田が周りを見渡し、慌てていた。
「ちょっっ!早く帰しなさいよね!こんな事して良いと思っているの!犯罪よ犯罪!拉致監禁よ!」
「嘆いても変わらないものは変わらない。もうここは異世界なのだ。異世界人を殺すまで帰れない」
「何だよー。意味わかんないよー。異世界って信じられないよ」
「みんな落ちついて。今は現状を把握するべきだと思う」
「赤司くんでもー。スマホ使えないし」
スマホは関係ないと思うが。まぁ女子高生には必須なのは分からなくもない。
「白石さん大丈夫だから。ここは異世界と仮定して、まずは食料調達と水分確保が優先だと思うんだ。辺りに街は見当たらないし、村もない。だから3グループに分けて、食料と水分確保、それとみんなが休めるところを探すのを分担した方がいいと僕は思う」
今は太陽を直に浴びていて、体力消耗は激しい。
流石リーダーシップの塊だ。クラスの中心になるのも頷ける。
「で、でもよー赤司。それってまるで」
「サバイバルね。良いわよ赤司くん。私はその案に乗った。他の人たちはどうかしら?」
黒髪ロングでクラス1美少女の秋姫鈴菜は言った。
秋姫がこの案に乗ると言うのなら男子達は黙っていない。
「俺もその案で構わねー」
「ありがとう龍崎くん」
「龍崎がやるなら」
「うん。龍崎が」
「そうだね。龍崎くんがやるってなら」
男子は恥ずかしいのか照れ臭いのか龍崎の名前を出してあたかも秋姫が乗ったからではないと主張していた。
クラスというのは空気が読めない奴は蹴落とされる。最初に流れが来ると最後まで止むことはない。
結局、クラス全員が赤司の案に乗った。
人間関係はどのグループに入るかでその行方が決ると言っても過言ではない。
上位カーストグループ、下位カーストグループに入るかでは自分の立ち位置が180度変わる。
当然俺は下位カーストグループに入れられることになった。入学式だけで人間関係を構築する技術何て俺にはない。
どうやらこのグループは入学式で友達が出来なかった人が集まって出来たグループのようだ。
人数は10人。一人一人距離がある感じだ。
そして、分担は食料調達となった。
全員の集合場所をここに決め、3グループは森の中へと入っていった。
森の中は非常に涼しく、小鳥のさえずりも聞こえてくる。神秘的な場所に心を躍らせていた。
最後尾を歩き、進んでいく。すると、今まで一言もグループから声が聞こえなかったのだが、1人前を行く少年が声を出した。
「ぁ、あのー...涼子殿。はぁー。い、今、す、好きな人とか居ないでありますか?はぁーはぁー」
荒い呼吸を常にし、少し太っている奴がすぐ後ろを歩く涼子とやらに声をかけていた。
静かなグループでは嫌でも会話が聞こえてくるのだから仕方ない。
「嫌、居ないけど何?」
涼子は即答し、目も合わさない。興味がないのだろう。
「な、なら。はぁー。な、仲良くなりたいでありますでごさる」
少し太った少年は涼子の隣を歩き、会話を続ける。語尾が特徴的だな。
「私は誰とも仲良くするつもりはないから」
そう言い俺の後ろ、最後尾まで下がってきた。
「そ、そんな涼子たんも可愛いですぞー!」
涼子の後を追い、少し太った少年は涼子の隣を歩く。
「何あんた?まだ私に用があるわけ?」
「はぁー。よ、用がなくても涼子たんと一緒に居たいのでごさるよ」
つきまとわれて拒絶反応を覚える涼子は鋭い視線を送る。だか、少し太った少年はそんな彼女の反応にますます興奮したのか、顔が火照っている。
「キモい。これ以上構ってくるなら蹴るけどいい?」
「は、はい!お願いします!はぁーはぁーはぁー」
側から見てる俺でもキモいと思ってしまう。蹴られて嬉しいなんてとんだドMだなこいつ。
少し太った少年の様子を見て涼子は蹴るのを躊躇う。
ーここは助けてやるか
「おい。困っているだろ。そこまでにしろよ」
俺は勇気を振り絞ってそう言ったのだが、2人から鋭い視線が帰ってきた。俺迷惑だったか?
「誰が困っているなんて言ったの?こういうの本当余計だから黙っていて」
「は、はい」
俺は涼子からの言葉を受け、顔を後ろから前に向ける。
「そ、それで一つ提案なんだけどさ!ぼ、僕と一緒に抜け出さない?」
真剣な眼差しで、語尾も普通に戻っていた。
「会ったばっかの奴についていくなんてバカじゃないの?正直、消えてくんない?それか死んで」
「ば、罵倒する涼子たん来たーーー!!!ぼ、僕は諦めないでござる。いつか涼子たんと...はぁーはぁー。ぐぁっっ!!」
少し太った少年は涼子に蹴られ草の茂みに頭から転がり落ちた。
「なんか音しなかったか?」
その音に反応し、一斉に他のみんなが涼子に振り返る。一応俺は聞いておく。全て見てたけど。
「何それ。わかっているくせに。まぁ、茂みからウサギが出ただけだから気にしないで」
涼子の言葉を聞き、9人は歩みを再開する。1人茂みの中で興奮しながら気絶している少年を除いて。涼子は俺がこっそりと後ろを伺っていたことは気づいていたのだろう。
涼子は黒髪ショート、いかにも運動が得意ですと言わんばかりのスタイルだ。顔も整っていて、男からの対応にも慣れていた。今のようなことが良くあるのだろうか。
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