亜人として召喚された俺は奴隷として生きていきます。

神崎夜一

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プロローグ

異世界召喚された俺は奴隷でした。

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「召喚術式はうまくいったのか?」

「はい!その通りだとは思うのですが」

「だったらこれは何なのだ。この汚物を召喚しろと命じた覚えはないぞ!」

「す、すみません。直ちに修正して、再度試みます!」

どこからか声が聞こえてくる。周りが慌ただしく、うるさくも感じる。
俺は良く寝たと思い目を開けると、そこに広がるのは先程居た場所とは似て非なるものだった。
明らかに王宮で玉座には冠をかぶって髭を生やした老人が座っていた。その右横には綺麗な女性が玉座のひじ掛けに座り、左側には少し歳をとっている女性が立っている。
そして、それを囲むように、白いローブに身を包んだ人たちが佇んでいた。

「気がついたようだな。では連れて行け、其奴は奴隷送りだ」

ちょっと待ってよ。全く状況が掴めていない。

「王様、これはどういうことなんだ?」

「私は奴隷などとは話もしたくないわ。早く柵へ閉じ込めておけ」

「は!」

白ローブに包まれる人たちが王様の言葉を聞くと、俺の肩を持ち、どこかへと連れてかれる。

「ふざけんな!いきなり現れたと思ったら俺が奴隷だと?それで俺は柵に入れられる?それなら早く元の場所に戻すのが筋だろうが!」

「......」

無回答。無視。関心などないかのような反応。

「ここは私が説明してあげますわ。何も知らないで連れてかれるなんて可哀想だわ。いいでしょう?お父様」

「あぁ」

「それじゃ説明するわ。貴方はこの世界に勇者として召喚されるはずだった。だけど失敗に終わったわ。それは貴方の体を見れば分かることよ」

俺は自分の体を見渡し、あることに気づいた。
今までにない感覚が頭の上、尻にあったのだ。
綺麗な人の合図で白ローブの人が手を離したので俺は確かめてみるとそこには猫耳があり、尻尾があったのだ。

「な、何だよこれ!え、俺の体が変わってる⁉︎」

「そう貴方は残念ながら亜人として召喚されてしまったわ。だから奴隷にならないといけないの。亜人は劣等種だもの、これだけは仕方ないわ。これで説明は終わり。連れて行きなさい」

再度合図を送ると肩を掴まれた。
これは漫画とかラノベとはアニメでよくある異世界召喚じゃねーか。嬉しい限りだが、奴隷って、また拷問の日々が続くのかな。勇者を召喚しようとしてたなら勇者が良かったな。そう思ったら涙が溢れてきた。

「この世界に勝手に召喚しておいて、奴隷として働かせてるなんてそんなことあってたまるかよ!早く帰せよ!ふざけんな!」

「それは無理なお願いよ。一度召喚されたら元の世界には戻せないの」

「そんなこと、、、クズだ!お前ら全員クズ。死ね、消えろ、消えてしまえーーー!!!」

「国王様、国王に対する侮辱。私、こやつを斬ってもよろしいでしょうか?」

鋼の鎧を身に纏い、青髪の少女は王様に尋ねた。左腰に携えている剣に手を掛ける。

「やめておけ、もういい」

「で、ですが!」

「私らが失敗したのだ。彼を咎める資格はない」

そう言い、国王は哀れな目で俺を見送るのだった。



「や、やめてくれーーー!!!」

俺は悪夢から目を覚ますと、牢屋の中だった。地面はジメジメしてて、冷たいし寝心地は悪かった。

壁に小さな穴が空いてる隙間から月明かりが差し込み、今が夜だということが分かる。
それに、

「何だよこれ」

首には首枷みたいなものがはめられていて取ろうにも鍵を差し込まないと取れないようだ。これが奴隷の証明なのだろうか。

「本当俺って何なんだろう。学校ではいじめられて、苦しい思いをしたのにこの世界に来てもなお拷問など苦しい思いをする奴隷になるなんて、本当に俺って、、、」

天井を眺めながら一人ボソリと呟く。

カツン、カツン、歩く音が聞こえてくる。
そして、俺が入っている牢屋の前に立ち止まった。

「あらーまぁー。可愛いお顔だこと。貴方新人ね。これは掘り出し物を見つけたわ。私この子にする!決めたわ!貴方この子を牢屋から出しなさい」

奴隷商と思われる奴に腕を掴まれ、無理やり外に出される。

「かしこまりました。ミスレディー」

「それで値段はいくらなのかしら?」

「えーと。そうですね。こいつは新人なので少し値が張りますね。金貨一枚でどうでしょうか?」

「買うわ!金貨一枚なら安いくらいだわ!これからよろしくね。私のオモチャ!!!」

俺のことを見つめ、小太りのおばちゃんは満面の笑み、狂気に満ちた笑みを浮かべた。

「ありがとうございます。ミスレディー。それでは奴隷紋を刻みますので少々お待ちください」

奴隷商は懐にしまってある筆を取り出し、俺に何かを書こうとするが、俺はその手を振り払う。

「無駄な抵抗を」

「貴様らに従うのは御免だ」

俺は背中を向け、走り出す。
だが、

「止まれ!」

奴隷商がそう言うと、無理やりにでも止まらせられた。動こうにも動けない。

「今は私の奴隷なのです。抵抗しても無駄ですよ。奴隷紋がある限り」

俺は腕を見ると、緑色に浮かび上がった文字が書かれてあった。これが奴隷紋なのだろう。これがある限り逆らえないということか。

「またゲスなことを」

「手間をかけないでください。今度こそじっとしていてくださいね」

奴隷商は筆を奴隷紋の上に再度書き記す。

「血をお願いします」

小太りのおばちゃんが出てきて俺の腕に血を流す。

「これで主従契約は終了です。これでこいつはミスレディーの奴隷でございます」

「まぁー。嬉しいわ!可愛がってあげなきゃ!」

「ありがとうございます。またのご来店をお待ちしてます」
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