異世界で神から最強の力を手に入れたはずだがそれが最弱だった件について

神崎夜一

文字の大きさ
13 / 42
1章〜復讐へ〜

密会

しおりを挟む
 俺たちはギルドを出て、エリシアが食事を奢ってくれるそうで俺はついていった。


「エリシア、今更だけど、お前がこの国の王女様なんだろ?その王女様がこんなところに出歩いていいのか?」


「もちろんダメに決まっている、私が冒険者になると言ったらパパとママが猛反対してね、だけど結局は好きなことをやって生きろって言われて送り出してくれたんだ、その代わりに18歳になったら戻るという条件付きでね」


「それって結局は王政に戻るということだろ?それでいいのか?」


「私はそれで満足、今まで自由がなくてまともに出歩けなかったから、後2年だけだけど、私はたくさんのことしてたくさんの思い出を作りたいと思うの」

後、2年ということは今エリシアは俺と同じ歳の16歳ということになる。

「そうか...」


「え?」


 今誰かとすれ違った気がする、黒くて長い髪、かすかに香るあの時の彼女と同じ匂い、俺はすぐさま後ろを振り返るが誰もいない。

だが、さっき通ったのは彼女だったはず!


「ちょっと、ここで待っててほしい、すぐ戻るから」


「え、ちょっと待ってよ」


 俺はエリシアの言葉が耳に届かずそのまま後ろに向かって走り出した。
 走ってすぐの曲がり角には彼女らしき後ろ姿があった。だが、人が多すぎて彼女が遠ざかってしまう、俺は人をかいくぐって、走り続けるが彼女には追いつけない。

 くそ!ここまで来て、やっと会えると思ったのに!

 彼女は角を曲がり姿が見えなくなる。


「待ってーー!」


だが、その声は彼女には届かなかった。

その数秒後、彼女が曲がった角に着いたが彼女の姿はなかった。
 その後も走り続けた


「どこだどこだどこだどこだ!」


 路地裏や色々なところも見て回ったが彼女はいなかった。

 俺の後を追ってか、エリシアが俺の姿を発見したみたいで声をかけてきた。


「ま、待ってよ、竜二。急に走り出すから、心配するじゃない、一体何があったのよ」


 エリシアは息を切らして、汗だくな状態だ。
 俺も息を切らし、床に膝をついてしまう。

 エリシアはこの件に関しては巻き込めない。これは俺が決着をつけなければいけないんだ。エリシアを巻き込んだら危険に会うことだって十分ありえることだ。だから俺は言うことは出来ない。


「知り合いがいてさ、そいつを追ってたんだけど見失ってしまったんだ。エリシア、心配かけてごめんな」


「なんだそんなことか、竜二がすごい形相で行くから心配になっちゃったんだ、私の勘違いか。竜二は全然気にしないでね」


そんな顔に出ていたのかと俺はポーカーフェイスを練習することを心に誓った。


「ありがとう」


俺はこの言葉をどういう意味で言ったのか自分でもわからなかった。



俺たちはその場を後にし、ギルドから歩いて数分のところにある、お食事処フェリアというお店に入った。


「いらっしゃい、今日は何にするんだ嬢ちゃん」


 筋肉が目立つ、厳つく、とてもキザな店主が顔を出した。  エリシアはこの店の常連だったらしい。
 俺たちは窓際の席に腰掛けた。


「えーと、そうね、竜二は何が食べたい?」


俺は手渡されたメニューを見るが文字がわからない、だが頭に何故か浮かび上がってくる。
スキルに言語理解とあったのでその効果が現れているのだと思う。
 
でも、メニューが独特な名前で書いてあり、どのような品か見当もつかない。


「おすすめで」


わからなかったのでそう答えた。


「わかったわ、そしたらマスター今日のおすすめ持ってきて」


「おう、了解した」


 この店はテーブルが4つあり、カウンターに何席か座れるようになっていた。どこか懐かしいメロディーが流れ、落ちついた店を演出している。
 店主はメニューを聞き、店の奥へと下がって言った。


「よくここに来るの?」


「よくってほどじゃないけど、たまにダンジョン帰りに来てるわ、ここの料理はとても美味しいし、何回来ても飽きなくて、やみつきになるのはこのお店しかないわ。だから竜二にも食べて欲しいんだ」


「そりゃ楽しみだ」


エリシアがそこまで言うのには絶対にうまいに違いない、異世界に来て、今まで自給自足みたいな生活だったから、まともの食事をとるのは初めてだ。どんな料理が来るのか想像すると今にもよだれが垂れそうだ。


「話を折るようだけど、竜二はどこから来たかわからないんだっけ?」


「わからない、けどこの国とは違うところから来たのは間違いない」


「そうなんだ...だったら私の部屋に来ないか?狭いがベットはあるし」


 突然のエリシアの申し出にに少し驚いてしまう


「い、いやそんなことできないって、女の子の部屋に泊まるだなんて」


「気にするな、私が良いって言ってるんだ、パーティーを組んでいる仲間だしな、その方が集まる手間も省けて一石二鳥ではないか」


「でも、その、俺は男ですし、何をしでかすかわからないぞ。それでも良いのか?」


「私は竜二を信じてる、だが万が一、竜二が何かしでかしたら私はここれよく受け止めるぞ」



「こころよく受け止めないで⁈むしろその時は殺すとかしないといけないぞ!」


「殺すとは大袈裟だな、私だって見ず知らずの人と一緒に寝るだなんてしない、けど竜二は仲間だ、だから竜二の不始末は私が責任を取らないとな」


「い、一緒に?何故一緒になんだ?ベットはあるんだろ?」


「ベットはあるぞ1つだけ」


「1つだけ?俺とエリシアが同じベットで一緒に寝ると言っているのか?」


「そうだが、私だって宿を借りている身だ、そんな贅沢は出来ない」


「なら、俺はエリシアのとなりの宿を借りることにするよ」


「ま、待て...それはダメだ、とにかく、私の部屋で寝ることいいな?」


「もしかして、エリシアって一人で寝るのが寂しいんじゃ...」


「私だって夜な夜な一人で寝るのはとても心細いが、だがそんなことはないんだから」


まさかのツンデレ⁈エリシアってツンデレだったのかよ。


「そこまで言われたら、かなわないよ、わかった借りさせてもらうよ」


「あぁ、存分に使ってくれ」


エリシアと話し合っているうちに料理ができたらしく店主が持ってくる。
料理作ったり料理運ぶのまで一人でやっているけど大丈夫なのかな?従業員一人も見なかったけど
、と店主のことが心配になる。


「さぁ、今日のおすすめの俺流フロッピーロースト&バターライス~キギリギバチを添えて~だ、冷めないうちに早く食ってくれよ」


店主が持って来たのは、炒めた米にカエルを混ぜて、その上にハチを乗せてある料理が出てきた。

エリシアは特に何も思わず、むしゃむしゃとかぶりついている。


「竜二、食べないの?」
 

「いや、ちょっと抵抗があるだけだ、食べるよ...」


せっかくまともに出てきた食事なんだ、食べないわけにはいかない。
俺は意を決して、口に運んだ。

 
「うまい!うまいよこれ!」


 意外にもうまかった。


「美味しいでしょ⁉︎だから通いたくなっちゃうよね」


「そうだな、俺もまた来たくなっちゃったよ」


俺とエリシアはこの後も色々召し上がっていったのだった。
この店を出た後、日も暮れ、宿に向かうのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※何か不明な点や違和感があったら感想で教えてください、とても嬉しいですv(^ν^)
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...