異世界で神から最強の力を手に入れたはずだがそれが最弱だった件について

神崎夜一

文字の大きさ
16 / 42
1章〜復讐へ〜

武器屋

しおりを挟む
「竜二、起きなさい!」


俺の母かのように、強い口調で起こしてくれる声が聞こえる。
その声に反応するかのように俺は起こされた。


「エリシア、アリシャ、起きるの早いな」


俺の両端に立っているエリシアとアリシャがこちらを伺っている。


「何を言っているの、もうお昼になるわよ」


「お、お昼だって⁉︎もうちょっと早く起こしてくれても」


「私だって、何回も起こしたわ、そしたら竜二はもうちょっと寝かせてくれって何度も言うから諦めてアリシャと二人で朝食を食べてきたわ」


無意識に言っちゃうやつね、学校ある日に何度もそう言って遅刻したことがあったな。


「本当、勇者様なのに、寝坊助なんですね」


「その髪には言われたくないわ!」


アリシャは寝癖が酷く、髪が爆発したみたいになっていた。


「何ですと⁉︎竜二だって自分の髪を鏡で見たほうがいいですよ」


俺は手で髪を触り確かめるが、アリシャみたいに爆発したみたいになっていて反論できない。


「二人とも、喧嘩わダメよ、それより今日はクエストをやるわよ、だから竜二は早く、朝食をとって冒険者ギルドに向かうわ」


「あぁ、わかったよ」


俺は立ち上がり、顔を洗い、歯磨きをし、階段を降り、一階の食堂で颯爽と朝食を食べ、宿屋を出た、出たらエリシアとアリシャが待っていたので、二人と一緒に冒険者ギルドへ向かった。


冒険者ギルドに入ると、入り口から横の酒屋では冒険者たちがいつものように騒ぎ立てている。
俺たちはそんな様子に目もくれず、受付口の右横に付いているクエスト看板を一通り見る。


「エリシア殿、竜二、これなんかどうですか?」


アリシャがその紙に指を指し提案してくる。


「ギーラス洞窟に住む、グラードドラゴンを討伐せよか、でも難易度は高いんじゃないか?」


「報酬金高いけど、四大洞窟だからね、竜二がいるけどパーティーで初めてクエスト受けるから、危険が高すぎるね」


「なぁ、エリシア、その四大洞窟って何だ?」


「竜二、それも知らないなんて!説明するわ四大洞窟って名の通り、四つの大きい洞窟なんだけど、北のギーラス洞窟、東のダーザン洞窟、南のクラレス洞窟、西のガウルス洞窟ってのがあって他の洞窟よりもそれらは何倍も危険で、帰ってこられたのも極一部だと聞いているわ」


ティシフォネから言われた東の洞窟ってのは東のダーザン洞窟かもしれない。最終的には行かないといけない。


「そりゃ、危険だな、まぁ最初だしこれなんかはどうだ?」


俺が指を指したのはゴブリンを5体討伐せよというクエストで報酬金もそれなりにいい。


「ま、待って下さい、私はこのクエストを受けたいです!私がいれば一人当千です、だから安心して二人はついてきて下さい」


「そうだね、竜二それいいわね、それにしましょう」


「じゃあ、これで決まりだな、受付に出してくるぞ」


俺とエリシアはアリシャを置いていき、受付へ行くのだった。


「二人とも無視なんて酷いですよ!わかりました、今回は私は引くとします、ですが次はドラゴン倒しましょう」


受付へ向かった。受付から出てきたのは昨日と同じのヴィーナスという女性だった。


「こんにちは、エリシア、竜二さん、それとアリシャちゃん!アリシャちゃんはやっといいパーティーを見つけたのですね、私は一安心です」


ひょっこりと顔を出したアリシャにヴィーナスは母親みたいに嬉しそうだ。


「お主には色々と苦労をかけたな、私もパーティーを転々としなくて済みそうだ、いい仲間に巡り会えてよかったよ」


「強引だったけどな」


「強引じゃないもん!」


「そうですか、アリシャちゃんよかったですね!」


「よかったです!」


「エリシア、竜二さんすみません、アリシャと話してしまい」


「そんなことないぞ、アリシャにもこんなに世話をやいてくれていた人がいたなんて私も驚きだ、ではクエストを受けたいのだが」


エリシアはクエストの紙を受付嬢のヴィーナスに渡す。


「はい、了解しました。では皆様のステータスが書かれてある紙を出して下さい」


三人ともステータスの紙をだし、ヴィーナスはステータスの上にデカイスタンプを押した。


「このスタンプはクエスト完了後に消えますのでご了承くださいませ、皆様の確認が終わりました。では頑張ってくださいませ」


俺たちは冒険者ギルドを後にした。


「二人とも、俺武器ないから武器屋に行ってもいいか?」


俺は街を歩いている途中に二人に声をかけた。


「それにしても、竜二って武器持ってなかったんだね」


「マンモスとの一戦で砕け散ってしまったんだ」


「それは問題ね、ずっと疑問に思っていたんだけどそのリングはどうして竜二が持っているの?」


「この指輪は大切な仲間にもらったんだ、だから大切なものなんだ」


「その仲間って」


「マンモスとの戦いで死んだんだ」


「ごめん、なんか聞いちゃいけないことを聞いてしまったわ」


「いいや、気にしないでくれ」


「それじゃ、武器屋に行きましょ、アリシャもいいでしょ?」


「私もついて行きます!」


でかでかと看板に武器屋という文字が掲げられているのが目に入り、そこに入った。
その武器屋は色々な剣が壁に飾ってあり、鋼で出来ているかもしれない剣や黄金に光っている剣などが際立っている。


「よーよーエリシアちゃん、何の用だい?」


気前よく、店の奥から店主が顔を現した。
少し若くてイケメンだが、目つきだけは鋭い。


「こんにちはギルガメさん、実はこの人の剣がなくてここに武器を探しにきたんだ」


「そこの坊や、名前はなんて言うんだい?」


「竜二です、剣がほしくて来ました」


「わかっている、二回も言うんじゃねえ、竜二か、俺はギルガメだ。竜二、どんな剣が欲しいんだ?」


何か怒られてしまった。


「えーと、よくわからないので、とにかく強い剣で」


ゆうて俺のお金は金貨一枚しか持ってないが。


「なら君は運がいいちょうど良いものがあるぜ、さっきとんでもねぇものが出来てしまったんだ」


店主が店の奥へと消え、何か取りに行って、それを俺に見せて来た。


「これはスゲェーぜ。フェニックスの翼で作った剣なんだ、滅多にお目にかかれないぜ」


「フ、フェニックス⁈不死鳥ですか?」


「そうだ、なんと値段は真金貨十枚だ、これがあれば無双間違えないぜ」


金貨一枚しか持っていないので真金貨十枚なんて買えない。真金貨一枚は金貨十枚の価値がある、それが十枚だあるのだから日本円で百万円ということだろう。


「ギルガメさん、それ本当ですか?」


何かを感づいてか、エリシアが話に入ってきた。


「おいおいエリシアちゃん、疑っているのか?これは紛れもなく本物のフェニックスの剣だぜ」


「そんな見え見えの嘘!嘘つくならもっとマシな嘘をつきなさいよ!伝説のフェニックスだなんて手に入るはずがないでしょうが!竜二は騙せても、私は騙せないからね」


「なんだいエリシアちゃん、剣なんか持って、俺を殺すのか?証拠もないのに」


「今からそれを証明するのです!これが本当のフェニックスだと言うのなら、私のこの剣で切ろうとしても壊れないはずですよね?」


エリシアの剣は細剣でフェニックスの剣は太く丈夫そうなので到底それでは切れるはずもないと俺は思ったが、店主は違かった。


「す、すまない、騙して悪かった、エリシアちゃんがそこまでやるとは思わなかった、王都には言わないでくれないか?」


「王都には言わないであげます、その代わりに竜二に好きな剣をくれてやらないか?」


「わかった、何本でも持ってけ!」


「エリシアありがとう、俺はまた騙されるかもしれなかった、恩にきるよ」


ティシフォネに騙されたことをまた繰り返してしまうことだった。


「そこまでのことはしてないぞ、ただ間違えをただしただけだ、そこに恩などいらない」


「そうか」


俺は剣については素人なのでよくわからなかったが、店主に聞いても当てにならなそうなので、自分で選ぶことにした。
さっき店に入った時に目についた、鋼で出来ているかもしれない剣と黄金で輝いている剣を選んだ。


「ギルガメさん、この二つ持っていくよ」


「お、お前、それはこの店でも一番と二番目に高い品を」


「ギルガメさん、、、」


エリシアの冷酷な目を見てか、ギルガメは怯んだ。


「な、なんでもない、早く持ってけ」


「エリシア殿には頭が上がりません」


「何か言った?アリシャ」


「な、なんでもないーよー」


アリシャも少し怯んだのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...