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1章〜復讐へ〜
決闘〜覚醒〜
しおりを挟む今俺たちがいるのは高々とそびえ立つ木製の門の前にいる。
太陽がてっぺんに登ってから十分経つというところでシャークが姿を現した。
「すまない、遅れてしまって。色々と職務があったのでな。では向かうとするか」
手を上げこちらに着いたシャークは昨日と全く同じ服装で姿を現した。
「騎士様が遅れるとはね、騎士様ってそういうもんなのか?」
挑発を煽るように俺はシャークに問いただす。
少しながらシャークには苛立ちが湧いてくるからな。
「ふんっ、そんなことはない。それでこの国の侮辱はよしてくれ、これはわたくしの不始末、許せないというならばこの腕をくれてやる」
昨日との態度が一変しているので俺は驚きを隠せずにいる。
「い、いや。そんなつもりで言ったんじゃない。それより、早く向かおう」
往生際が悪いのか良いのかわからないが、こういう所が嫌いだ。
「そうだな。では向かうとしよう」
俺たちはシャークに案内されるがまま、目的の場所に向かった。
すると、移動の最中にシャークがエリシアに言葉を投げかけた。
「あの、エリシア王女様、この勝負にわたくしが勝ちましたら、わたくしと共に行動してくれるのですよね」
「あぁ、シャークが竜二に勝てばだがな」
それを聞き、シャークは一安心する。
「お任せください、このわたくしが是非勝利を手にしましょう」
「無理だとは思うが期待しとくよ...」
返す言葉が見つからず思ってもないことを口にする。
そうこう話をしているうちに目的の場所に着いた。
ここは何の変哲もない草原豊かな広く綺麗な所だ。
「ここなら、誰にも見つからず、存分に力が出せます」
確かにここより広い場所を俺は見たことがないくらいに辺り一面が草原だ。
「いい所だな。俺も力を存分に使えるぜ」
「では、そうそうに始めていく。わたくしとお前の決闘だ、どちらかが、死ぬか又は諦めるかまで試合は続ける。異論はないな?」
「あぁそれで構わない、とっとと始めようぜ」
「では、両者、指定の場所に」
エリシアの掛け声で、俺とシャークはお互いに約五メートルの距離に間合いを取った。
「竜二、頑張ってください」
今まで、居たのか居なかったのかよくわからないアリシャが俺に声援を送る。
「おう、観といてくれ、俺がこいつを倒すところを」
「何をほざく、お前を倒すのはわたくしだ!」
俺たちはにらみ合いながら、エリシアの合図を待つ。
「両者決闘開始!!」
エリシアの甲高い声で決闘が始まった。
俺はまずは相手の様子を見ようかと思ったが、シャークも同じことを思っていたらしく硬直状態が続く。
「さぁ、かかってこい!怖いのか、怖いんだな」
「そんなに来てほしいなら、まず、俺から先制攻撃だ!」
秒速に迫るほどの驚異的なジャンプ力でシャークに斜め上から鋼の剣で、打ち砕こうとするが、シャークはそんな甘くはなく、左にずれて回避する。
その俊敏な避けに、俺は少し驚く。
シャークもある程度はなかなかやるのではないかとそう心に呟く。
「なかなかやるな」
額の汗を拭い、次の動作へと移行する。
だが、シャークは俺の隙を逃さず、すぐさまカウンターへと入る。
シャークが右手に持つ、金に輝く剣を俺に振るいかかる。
俺は即座に右の鞘から金色の剣を抜き、シャークが放った剣をガードし、剣が交差する。
右手には鋼の剣を持っているのっで、それで横から切り裂く。
だが、シャークの鋼の鎧はとても硬く、欠ける程度のダメージしか負わされなかった。
すると、シャークは一度後退し、体制を立て直す。
「こんなんじゃ、いくらやってもダメージが通らないな?やはり、お前はわたくしに負ける運命にある」
「今のが俺の全力と勘違いするにはまだ早いぜ」
魔法は想像で思いえがかれる。
俺には全属性を操れる能力がある、だから俺は想像する。
剣に灼熱の炎を纏わせる感覚で、目を閉じて、ゆっくりとゆっくりと、すると右手に持っている鋼の剣から炎が出て、左手に持っている金色の剣からも炎がたちまち燃え上がった。
俺はその炎を纏った剣で、シャークに飛びかかる。
その時シャークは、
「速さ、硬化、強さの全パラメーターの解除!わたくしの名に命じる!剣よわたくしの力となれ!」
すると、シャークが持つ金色の剣が眩しく、目を閉じてしまいたいほど輝き、自身も体つきが変化する。
「わたくしの全力!とくと知れ!」
再び剣と剣が交差する。
だが、俺の方が一歩、また一歩と後退していく。
なぜ?
俺は気づいてしまった、シャークが俺より強いということを。
しかし、エリシアは俺の方がマナの量が多いと言っていた、だからエリシアが嘘をつくことなんてないんだ。
なんなんだこの違和感、さっきからシャークのオーラが上がっているように感じる。
俺は何か危険に感じ、一度距離を取ろうとするが、シャークも秒速の速さで俺を逃さないように追ってくる。
秒速、いやそれ以上に上がっているスピードの中剣を交え、逃げ、剣を交え、逃げと繰り返し、防戦一方だ。その中でも、傷がどんどんと増えていく。
何か、何か突破口があれば。
俺は考えた、突破口を、それは以前、マンモス戦において発動した。スキル、ダークテールリフレクションだ。
でもそのスキルは絶体絶命の状況に陥らないと発動しない。
それ以前に発動する前に死んでしまうかも知れない。
絶体絶命の状況に入らなければ...
「エリシア殿、何か変ではないですか?」
「アリシャ、あれが見えるの?私全然目が追いつけない。でも、変といえば、竜二にシャークがまだ負けてないってことだな」
アリシャは俺たちが光のスピードの中剣を交えて戦っている様子を目で追っているが、エリシアは見えないらしい。そこはさすが魔女といったところか。
「そうです。竜二がシャーク殿に圧倒されています」
「え、なんで?私が見た限り、シャークは竜二と比べたら天と地の差くらいあったのに」
「私も疑問に思います。勇者が、ただの騎士にやられる訳がないのです。だから何か変です」
片隅で見守る二人もシャークについて大きな疑問を覚えていた。
防戦一方の俺は追ってくるシャークに向けて、昨日の夜、試した。エクスプロージョンを放つことに決める。
そのためにこのコンマ一秒もないくらいに想像し、それを具現化するように心がける。
炎を放ち、それが爆発するイメージで、
「エクスプロージョン!!」
シャークは俺の突然の行動に困惑していたが、諦めた様子で、真っ向からくらう。
「エクスプロージョンだと!?」
シャークは爆発する間際に言葉を発したが、俺が放った魔法に体が消えていく。
「や、やったか...」
それがフラグだったのかも知れない。
地面が草原から隕石が衝突した後みたいにえぐれている。
煙が消えた。
だが、煙の影に一人、立ち上がる姿があった。
「なんでだよ!なんで立ち上がれるんだよ!それも無傷で!」
ありえない、ありえないんだ。俺のエクスプロージョンは自分から見ても威力が半端なかった。それを無傷だなんて信じられない。
「まさか、貴様がエクスプロージョンを使えるとはさすが勇者様だ、認めよう、貴様は正真正銘の勇者だ。だが俺には勝てない。今の俺にはな!」
外傷ひとつないシャークは天に手をかざし、唱える。
「わたくしの名に命じる!秘奥義、デス・マージ!この断りに反したわたくしを許してくれ!」
シャークが唱えると天が一気に曇りになり、俺の頭上から紫色の光線が俺をめがけて、降ってくる。
やばいこれは逃げれない。死ぬ...。
「やめろー!まだ俺は死ねないんだーーーー!」
俺はシャークからの一撃をそのまま受けるのだった。
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