女子切腹同好会 ~2有香と女子大生四人の“切腹”編・3樹神奉寧団編~

しんいち

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樹神奉寧団編

68 樹神奉寧団編 新教主

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 アイツの遺体は市立病院の方へ運ばれてゆきました。またいろいろ細工されるのかもしれません。『教主が教団本部で腹上死』は問題ありでしょうからね。
 そして、就任したばかりの教主の死ですからね。またまたこれは、大変なことになってしまいました。

 仰々しい教団葬には私も出なければなりませんでした。一応、私の婚約者ってことでしたからね。
 私も悲しいフリは、しておきました。ホントは、全然悲しくないんだけど……。

 大問題は、次の教主をどうするかというコトです。
 教主は鬼頭の血を引いたものでなければなりません。今の幹部内には、鬼頭の血を引くものはいません。
 ヤツの前の教主は、教主をしていた夫の死で斎巫きのかんなぎでありながら教主職を継ぎました。それなら今回も・・・って、それ、私?!

 いや、私、婚約者であって、まだ結婚してませんから!!

 斎巫ってのだけでも、私なんかがナンダカナアって感じなのに、更に教主だなんて、それ、教団の表の代表者でしょ。そんなの、マッピラゴメンです。冗談じゃありません。
 鬼頭の血縁者で、誰か適当なのを探してください!!

 しかし・・・。

 斎巫代替わりから今回のことで、鬼頭の親族で3人も死んでしまっています。すでに親族扱いされていなかった木藤姉妹も含めると5人。これが知れると、みんなビビってしまって、誰も名乗りを上げないみたい。
 本部で幹部会議が招集され、私も出席することに・・・。
 終結した幹部20数名。みんな、暗い顔。教団のこの後を考えますと、そうでしょうね。トップ不在は困ります。

 口火を切ったのは祭儀部長。

「私は、斎巫様に兼任頂きたいと考えます。斎巫様はお若いですが、全ての儀式を全くの滞りなく立派にこなされています。その上、私共本部詰めにも常に優しく接してくださります。このような御方に是非とも教主になっていただきたい。これは私のみでなく、祭儀部全体の意見でもあります」

「ちょ、ちょっと、私、嫌だってば!」

「本部秘書課も全く同意見です。斎巫様が最もふさわしいと考えます。是非とも斎巫様に!」

「内務部も同じです。慈悲深くもあり、仕事も適格にこなされる斎巫様にお願いしたいです!」

「本部警備部も同意見です。斎巫様は誠に素晴らしいお方。是非、教主を兼任していただきたい」

 は、はああ~?!

 議事の進行役をしていた調達部長(市立病院院長)、周りを見渡しながら口を開きます。

「近くでお仕えしている者たちが全く同意見というコトは、斎巫様はそれだけ慕われ、カリスマ性をお持ちの方というコトではないでしょうか。それは教主に相応しい。調達部としても、全く意義はございません。
では、決をとってよろしいですか? 斎巫様の教主兼任に賛成の方は挙手を」

 う、うそ、みんな手を挙げてる・・・。

「全会一致で、幹部会は斎巫様の教主兼任を求めます」

「う、嘘でしょう?! 私みたいな小娘に務まるわけないじゃないですか!」

「大丈夫ですよ。私ども幹部が全力でお支えします」

とは祭儀部長。
 私の近くに控えていた若手の秘書さん(…と言っても、私よりもずっとずっと年上。)が私の耳元にささやきました。

「何も心配いりませんよ。前教主が何かしていたように見えましたか?」

 あ・・・。

 そうです。アイツ、セックスしていただけ・・・。

 実際の仕事は、優秀な部下が全部やってくれる。任せちゃえばいいんですね。
 それの認証をし、あとは踏ん反り返ってれば良いってことか……。

 いや、そうは言っても、教団トップとして表向きの儀式を行ったり、挨拶したりッてことはあるはずです。
 でもまあ、挨拶ってのも、原稿読めばよいだろうし・・・何とかなるのかな? アイツに務まったくらいだし……。

 これ・・・、私がウンと言わないと収まらないよね・・・。

「わ、分かりましたよ。私なんかでよければ、精一杯務めさせていただきます」

 ふてくされ気味での私の言葉に、盛大なる拍手と歓声を頂戴しちゃいました。

 なんか、また大変なことになって来ちゃったよ・・・。
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