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9 胃カメラ1
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前の会合から一週間後の日曜日。
今年は梅雨明けが早くて、鋭い日差しが刺すようで痛い…。そんな中、駅から歩いて同好会活動場所の会館を目指します。
指定のルート、大回りですが仕方ありません。
森の中に入り、更に立派な塀に囲まれたところ。けれど、建物はこじんまりしたコンクリート造りの一つだけです。敷地の大きさに、みあってませんね…。
ここは鬼頭家別邸の跡だそうです。そう、あの鬼頭文庫の寄贈者の別邸だったのです。
火事があり、その後に小さく建て替えられたのが現在のモノとか。今は鬼頭家の手を離れて、集会に使用する会館という名目で『事務局』が管理しているみたいです。
…う~ん、この会って、鬼頭家も関わっているのではないでしょうか?
あ、いや、詮索は御法度です。消されたくなければ……。
汗だくで到着すると、既にお二人は来ています。うわ、涼しい。中は冷房が効いてる。ありがたい。極楽です~。
「ねえねえ、聞いてよ、有香ちゃん…」
美紀さん、学校とは違い、私に気軽に話しかけてくれますし、チャン呼び。
憧れの先輩との、親しいお付き合い。改めて喜びを噛み締めます。
(…美紀さん、もう少しで切腹して死んじゃいますけどね)
あ、で、何ですか?
「夏実さんったら、うっかり朝食べちゃったんですって! 酷くない?」
なんと、それは大問題ですよ、絶食してこないといけないのに。
じゃあ、代わりに私に被験者になれなんて言いませんよね。私も、しっかり食べて来てますよ。
「ごめんなさい~。でも、多分大丈夫っすよ~。もう消化されて下の方へ行っちゃってますって~」
い、いや~、いい加減だな……。
でも、そうであれば、ちょっと安心。私は胃カメラ飲みたくありません。
準備は着々と進められます。
用意されている胃カメラ。正確には『上部消化管内視鏡』って言うそうです。本来の胃カメラとは違うみたい(何が違うか、よく分からないけど…)ですが、通称として胃カメラと呼ばれているそうです。
これ、事務局で用意してもらったんですって。
活動に必要な物は、会館の連絡用のホワイトボードに記入して調達依頼するそうです。
でも、凄く高価なものですよね。こんなモノまで提供してもらえるんだ…。
それに、二台の動画撮影用のカメラまであります。体の内部だけで無くて、調査中の全身の様子と顔の表情なんかも撮って、記録として残すそうです。
三脚でカメラを固定し、撮影準備もします。
私、胃カメラって口から入れるモノだと思っていました。いや、それが元々のやり方で、今でもそういう方法もあるそうです。
ですが、今回用意されたのは、鼻から入れる物なんですって。
それ、かえって苦しくない??
細いし、口から入れるより楽?
ホントに??
さあ、動画の撮影を開始します。準備部分から撮影します。
あ、麻酔するんだ。当然よね。痛いですもんね。
最初にスプレーの薬を鼻腔内に噴射します。これは鼻血止めだそうです。鼻の中にズブッと管を通していくのですからね。
次にゼリー状のドロッとした麻酔薬を鼻から入れます。夏実さん、辛そう…。
これで5分ほど効果が出て来るのを待ちます。
麻酔自体は局部のモノで、意識はあります。麻酔がシッカリ効いているのを確認し、ベッドに横になった夏実さんの鼻の片穴の中にズブッと管が挿し込まれます。
挿入されているのは直径5mmほどの太さのスコープ。それが、ズブズブ入ってゆきます。
鼻の穴に5mmの管ですよ!
うわ~、苦しそうですよ、涎も垂れてるし、少しオエッてなってます……。
モニター画面を見ます。喉の中を通過。カメラは食道へ入ります。
「う~ん、夏実さん、綺麗な食道ですよ。どんどん入れて行きますね」
美紀さんが話しかけます。
夏実さん、意識はありますが、カメラを鼻から突っ込まれているので、返事は出来ませんし、身動きもとれません。なされるがままですね。ハハハ。
今年は梅雨明けが早くて、鋭い日差しが刺すようで痛い…。そんな中、駅から歩いて同好会活動場所の会館を目指します。
指定のルート、大回りですが仕方ありません。
森の中に入り、更に立派な塀に囲まれたところ。けれど、建物はこじんまりしたコンクリート造りの一つだけです。敷地の大きさに、みあってませんね…。
ここは鬼頭家別邸の跡だそうです。そう、あの鬼頭文庫の寄贈者の別邸だったのです。
火事があり、その後に小さく建て替えられたのが現在のモノとか。今は鬼頭家の手を離れて、集会に使用する会館という名目で『事務局』が管理しているみたいです。
…う~ん、この会って、鬼頭家も関わっているのではないでしょうか?
あ、いや、詮索は御法度です。消されたくなければ……。
汗だくで到着すると、既にお二人は来ています。うわ、涼しい。中は冷房が効いてる。ありがたい。極楽です~。
「ねえねえ、聞いてよ、有香ちゃん…」
美紀さん、学校とは違い、私に気軽に話しかけてくれますし、チャン呼び。
憧れの先輩との、親しいお付き合い。改めて喜びを噛み締めます。
(…美紀さん、もう少しで切腹して死んじゃいますけどね)
あ、で、何ですか?
「夏実さんったら、うっかり朝食べちゃったんですって! 酷くない?」
なんと、それは大問題ですよ、絶食してこないといけないのに。
じゃあ、代わりに私に被験者になれなんて言いませんよね。私も、しっかり食べて来てますよ。
「ごめんなさい~。でも、多分大丈夫っすよ~。もう消化されて下の方へ行っちゃってますって~」
い、いや~、いい加減だな……。
でも、そうであれば、ちょっと安心。私は胃カメラ飲みたくありません。
準備は着々と進められます。
用意されている胃カメラ。正確には『上部消化管内視鏡』って言うそうです。本来の胃カメラとは違うみたい(何が違うか、よく分からないけど…)ですが、通称として胃カメラと呼ばれているそうです。
これ、事務局で用意してもらったんですって。
活動に必要な物は、会館の連絡用のホワイトボードに記入して調達依頼するそうです。
でも、凄く高価なものですよね。こんなモノまで提供してもらえるんだ…。
それに、二台の動画撮影用のカメラまであります。体の内部だけで無くて、調査中の全身の様子と顔の表情なんかも撮って、記録として残すそうです。
三脚でカメラを固定し、撮影準備もします。
私、胃カメラって口から入れるモノだと思っていました。いや、それが元々のやり方で、今でもそういう方法もあるそうです。
ですが、今回用意されたのは、鼻から入れる物なんですって。
それ、かえって苦しくない??
細いし、口から入れるより楽?
ホントに??
さあ、動画の撮影を開始します。準備部分から撮影します。
あ、麻酔するんだ。当然よね。痛いですもんね。
最初にスプレーの薬を鼻腔内に噴射します。これは鼻血止めだそうです。鼻の中にズブッと管を通していくのですからね。
次にゼリー状のドロッとした麻酔薬を鼻から入れます。夏実さん、辛そう…。
これで5分ほど効果が出て来るのを待ちます。
麻酔自体は局部のモノで、意識はあります。麻酔がシッカリ効いているのを確認し、ベッドに横になった夏実さんの鼻の片穴の中にズブッと管が挿し込まれます。
挿入されているのは直径5mmほどの太さのスコープ。それが、ズブズブ入ってゆきます。
鼻の穴に5mmの管ですよ!
うわ~、苦しそうですよ、涎も垂れてるし、少しオエッてなってます……。
モニター画面を見ます。喉の中を通過。カメラは食道へ入ります。
「う~ん、夏実さん、綺麗な食道ですよ。どんどん入れて行きますね」
美紀さんが話しかけます。
夏実さん、意識はありますが、カメラを鼻から突っ込まれているので、返事は出来ませんし、身動きもとれません。なされるがままですね。ハハハ。
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