月の影に隠れしモノは

しんいち

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襲撃

142 後始末1

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 …さて、放置されていた環奈。
 動くこともできず、素っ裸のまま、暗い館内で一人、首から上だけで藻掻もがいていた。

「早く来てよ~! 私、いつまで、このままなの~!」

 杏奈と思念がつながったことで、杏奈たちが何をしているかは全て分かる。杏奈にも、何度も早く早くと催促さいそくしている…。
 治療を終えたアマの案内で、慎也たちも神社境内の館まで来て、やっとのことで救出…。
 テルによって金縛りも解かれたが、環奈は、すっかり不貞腐ふてくされてしまっていた。
 それでも舞衣に着物を着せられ、抱き締められると機嫌が直り、安心して泣き出したのだった。


 環奈のご機嫌も直った頃。それを見計らったということでもないだろうが、神社拝殿から二人の老鬼が、提灯ちょうちんを持って出てきた。
 村長むらおさと大婆だ。
 ゆっくりと歩いてきて、それぞれ提灯を置き、皆の前にひざまずく。アマとテルが負けたことは、もう知っている。抵抗するつもりは無い。

「ところでさ~。あなたたち、杏奈ちゃんと環奈ちゃんをさらってきて~、生贄いけにえにするつもりだったんでしょ~」

 杏奈と環奈が、ビクッと顔を強張こわばらせた。当然だ。生贄なんて、真っぴらごめん。全くもって、冗談では無い。

「それがたせなくなって、平気なの?」

「い、いや…。神前での合議には従わなければなりません。従えないのであれば、自ら腹を切るか、村を出るしか…」

「ふ~ん。じゃあ、もう一度決議させれば、取り消すことは可能?」

「無論でございます。再度の決議で前の決議が否定されれば、前の決議は無かったことになります」

 村長むらおさが答えた。

「じゃあ、これからちょっと、演劇の時間よ~。あなたたちを、あのはりつけ台に縛り付けるね~」

 恵美の指差す方角は拝殿横。月光に輝く真新しい磔柱が二つあった。杏奈と環奈を縛り付け、生贄にするために作られたものであった。
 予定では、裸にいた杏奈と環奈をそこに縛り付け、腹を裂いて臓物を引き出し、したたり出る血を飲み浴びながら男女が交わるということだったらしい。
 そんなことをしても、当然のこととして効果は無く、この妖界で普通に子を産めるのは神子かんこたちだけだ。とんだデマを流され、二人にとっては迷惑極まりない。

 磔台を見ながら、恵美はニヤニヤしている。

「ただ縛り付けるだけじゃ、詰まんないわね~。よし、裸になりなさい。全裸とは言わないわ~。ふんどし腰巻こしまきくらいは許してあげる~。村長むらおささんは、緊急会議の招集をしてね~」

 恵美演出の小芝居が始まることとなった。
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