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新たな仲間と、…別れ
146 帰還と、捕虜?1
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日が沈み、月が出た。
アマに異界の門を開いてもらい、妖界月影村から人界へと、慎也たちは戻ってきた。アマと、他の女鬼二人、トヨとタミを連れて。
「あ、灯りがついた! 宮司さんたち、帰ってきたみたい」
美雪と早紀が駆けてきた。
今朝、巫女アルバイトに出てきた美雪と早紀は、神社が閉まったまま、家は門も鍵もが開いたままだが、全く誰もいない状態で、途方に暮れていた。
何かあったのかもしれない。しかし、どうしようもなく、とりあえず境内の掃除をし、一旦帰って、二時間おきくらいに様子を見に来ていたのだ。
「あら~お二人さん。ゴメンナサイね~。みんなで、鬼ヶ島へ鬼退治に行っていたから~」
「え、鬼ヶ島?」
「そうよ~。あ、チョッと上がってよ~。戦利品があるから~」
恵美に招かれて、二人は、慎也宅の離れに入った。
「戦利品って、なんですか?」
鬼が島からの戦利品…。宝物か何かだろうかと、興味津々で恵美に続く。
「はい、あれ!」
恵美が扉を開けて指差したのは……。部屋の中で坐っている、三人の女鬼!
「キャー!!」
二人は叫び声と共に、後ろに下がった。が、恵美に引っ張られ、部屋に入れられた。
「捕虜で~す!」
「へ?」
と、美雪と早紀…。
鬼三人は顔を見合わせる。
「我らは、捕虜なのですか?」
「まあ、そんなものかもしれないわね」
「姫様、捕虜にしては、破格の好待遇ですよ」
ヒソヒソ話し合い、頷き合っている。
「嘘よ、捕虜なんて! 恵美さんの冗談だから、気にしないで。あなたたちは、お客様です」
同室していた舞衣が慌てて、恵美の発言を訂正した。
「美雪ちゃん、早紀ちゃん、ごめんなさいね。昨日、帰ってくるつもりだったんだけど、帰れなくなっちゃって」
「ま、舞衣さん、なんです?これどういうこと?!」
美雪は鬼と舞衣を交互に見て、舞衣に詰め寄った。それに対して、また恵美が口をはさむ。
「だから~、捕虜~!」
「違う!」
舞衣は、ヘラヘラする恵美を睨んだ。
「ちょっと事情があって、家で預かることになりました鬼さんたちです」
鬼三人が姿勢を正し、礼儀正しくお辞儀する。
美雪と早紀も、慌てて頭を下げた。
「彼女たちに~、種付けしてあげることになったのよ~」
と恵美。
「はあ? 種付けって……。子供を作るってことですか?」
「そうよ~。美雪ちゃ~ん」
「恵美さん、表現が悪いわよ。まあ、早い話、そういうことだけど…」
と舞衣。
「え? え? ま、待って? この鬼さんに? 誰が?」
「誰がってねえ。ここに男は、うちの旦那しかいないから……」
流れでこうなってしまったが、舞衣は特に違和感も無く受け入れていた。慎也は「龍の祝部」であり、いわば「種馬」…。「種付け」が使命だという認識だ。
しかし、その舞衣の返答に、美雪は頭痛を覚えた。そして、舞衣と恵美の腕をつかみ、引っ張って廊下に出た。
早紀も慌てて続く。
美雪は扉を閉め、廊下に正座して、舞衣と恵美に、自分の前方を二度、指差す。
坐りなさいの合図だ。それも、廊下の板間に直接…。
舞衣と恵美は顔を見合わせ、「なぜ?」という表情で、美雪の前に正座した。
「前から思ってましたけど…。皆さん、か・な・り、イカレテますよ…。いいですか?普通は、夫一人に妻一人です。なのに皆さんは妻六人。まあ、これは事情があることですし、世界には一夫多妻のところもありますから、許してあげます。
それでもですね、みんな合同で、一晩に全員と、その、なに? そう、ナニ! そのナニを、みんなでスルって相当異常ですし、その上、今回は鬼さんと、御主人にナニさせるって…」
「美雪…。ナニナニナニナニ言ってて意味分かんなくなってるよ。
あ、あの…。もしかして、夜の生活に、あの鬼さんたちも加えるってことですか?」
美雪の隣に正座して尋ねた早紀に対して、舞衣と恵美は一旦顔を見合わせてから正面を向き、舞衣が代表して答えた。
「まあ、そういうことね」
美雪はガックリうなだれ、溜息をついた。そして、キッと前に坐る二人を睨む。
「もういいです! 帰ります!」
美雪は一人でプリプリ怒り、オロオロする早紀を引っ張って出ていってしまった。
アマに異界の門を開いてもらい、妖界月影村から人界へと、慎也たちは戻ってきた。アマと、他の女鬼二人、トヨとタミを連れて。
「あ、灯りがついた! 宮司さんたち、帰ってきたみたい」
美雪と早紀が駆けてきた。
今朝、巫女アルバイトに出てきた美雪と早紀は、神社が閉まったまま、家は門も鍵もが開いたままだが、全く誰もいない状態で、途方に暮れていた。
何かあったのかもしれない。しかし、どうしようもなく、とりあえず境内の掃除をし、一旦帰って、二時間おきくらいに様子を見に来ていたのだ。
「あら~お二人さん。ゴメンナサイね~。みんなで、鬼ヶ島へ鬼退治に行っていたから~」
「え、鬼ヶ島?」
「そうよ~。あ、チョッと上がってよ~。戦利品があるから~」
恵美に招かれて、二人は、慎也宅の離れに入った。
「戦利品って、なんですか?」
鬼が島からの戦利品…。宝物か何かだろうかと、興味津々で恵美に続く。
「はい、あれ!」
恵美が扉を開けて指差したのは……。部屋の中で坐っている、三人の女鬼!
「キャー!!」
二人は叫び声と共に、後ろに下がった。が、恵美に引っ張られ、部屋に入れられた。
「捕虜で~す!」
「へ?」
と、美雪と早紀…。
鬼三人は顔を見合わせる。
「我らは、捕虜なのですか?」
「まあ、そんなものかもしれないわね」
「姫様、捕虜にしては、破格の好待遇ですよ」
ヒソヒソ話し合い、頷き合っている。
「嘘よ、捕虜なんて! 恵美さんの冗談だから、気にしないで。あなたたちは、お客様です」
同室していた舞衣が慌てて、恵美の発言を訂正した。
「美雪ちゃん、早紀ちゃん、ごめんなさいね。昨日、帰ってくるつもりだったんだけど、帰れなくなっちゃって」
「ま、舞衣さん、なんです?これどういうこと?!」
美雪は鬼と舞衣を交互に見て、舞衣に詰め寄った。それに対して、また恵美が口をはさむ。
「だから~、捕虜~!」
「違う!」
舞衣は、ヘラヘラする恵美を睨んだ。
「ちょっと事情があって、家で預かることになりました鬼さんたちです」
鬼三人が姿勢を正し、礼儀正しくお辞儀する。
美雪と早紀も、慌てて頭を下げた。
「彼女たちに~、種付けしてあげることになったのよ~」
と恵美。
「はあ? 種付けって……。子供を作るってことですか?」
「そうよ~。美雪ちゃ~ん」
「恵美さん、表現が悪いわよ。まあ、早い話、そういうことだけど…」
と舞衣。
「え? え? ま、待って? この鬼さんに? 誰が?」
「誰がってねえ。ここに男は、うちの旦那しかいないから……」
流れでこうなってしまったが、舞衣は特に違和感も無く受け入れていた。慎也は「龍の祝部」であり、いわば「種馬」…。「種付け」が使命だという認識だ。
しかし、その舞衣の返答に、美雪は頭痛を覚えた。そして、舞衣と恵美の腕をつかみ、引っ張って廊下に出た。
早紀も慌てて続く。
美雪は扉を閉め、廊下に正座して、舞衣と恵美に、自分の前方を二度、指差す。
坐りなさいの合図だ。それも、廊下の板間に直接…。
舞衣と恵美は顔を見合わせ、「なぜ?」という表情で、美雪の前に正座した。
「前から思ってましたけど…。皆さん、か・な・り、イカレテますよ…。いいですか?普通は、夫一人に妻一人です。なのに皆さんは妻六人。まあ、これは事情があることですし、世界には一夫多妻のところもありますから、許してあげます。
それでもですね、みんな合同で、一晩に全員と、その、なに? そう、ナニ! そのナニを、みんなでスルって相当異常ですし、その上、今回は鬼さんと、御主人にナニさせるって…」
「美雪…。ナニナニナニナニ言ってて意味分かんなくなってるよ。
あ、あの…。もしかして、夜の生活に、あの鬼さんたちも加えるってことですか?」
美雪の隣に正座して尋ねた早紀に対して、舞衣と恵美は一旦顔を見合わせてから正面を向き、舞衣が代表して答えた。
「まあ、そういうことね」
美雪はガックリうなだれ、溜息をついた。そして、キッと前に坐る二人を睨む。
「もういいです! 帰ります!」
美雪は一人でプリプリ怒り、オロオロする早紀を引っ張って出ていってしまった。
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