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9 切腹の日
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翌々日です。私の切腹執行日となりました。
通常の供物の儀や美鈴との“お楽しみ”を行う、夕刻過ぎに決行の予定。その、決行の時間となっています。
切腹。お腹を切る・・・。
痛いのは嫌だからと、鬼神様は針麻酔を希望しました。
同じ体に入っているのです。快感も一緒に味わえるけど、痛みも共有してしまいます。
でもね、もだえ苦しみながら逝った百合のことを思うと・・・。やっぱり、私は麻酔なしで切腹すべきでしょう。
鬼神様にも納得してもらいました。納得っていうか、渋々って感じですが……。ゴメンナサイね、私のワガママです。次の新しい肉体を得られるのですから、これくらいは我慢してください。
見届け人は美鈴のみ。彼女には私の心臓を食べてもらわなければならない。それも、取り出して直ぐの、生きて動いている新鮮な状態のモノを……。
切腹した後の私の遺体処理も、美鈴に任せます。
私の頭部と肝臓は、新斎巫となる美鈴の取り分です。頭の解体・調理法も、実際を見せながら美鈴に教えてあります。
私自身は、取り分の頭の調理を祭儀部に委託していました。しかし、みんなの信頼を裏切って勝手に逝っちゃうことになるからね。なんとなく、祭儀部に頼むのは申し訳ないのよね……。
だから、美鈴自身の手で、私の頭の解体・調理もして欲しい。
彼女なら、ちゃんとしてくれるでしょう。
・・・私の頭部の解体か。
切腹を終えて心臓を抜かれ、ピクリとも動かなくなった私。命の炎が消えてしまった亡骸、死体と化しています。
その私の遺体から、美鈴によってザクザク首が切断される……。
死んじゃってるから、目の焦点があっていない虚ろな表情。切られた首断面からはダラダラだらしなく血が零れ落ちる。
切り離された私の生首は、髪の毛を持たれてぶら下げられて運ばれ、解体台へドンと据えられる。
まずは眼球摘出から。
左目。スプーン状の専用器具が眼球と瞼の間にグブッと刺し込まれ、グリグリグリッと回すようにしてへばりついている筋肉組織が剥がされる。そのまま掬い出すように器具を抜くと、グチュグボッと丸い球……私の目玉が、眼窩から抜けてくる。
脳とつながる視神経とか、血管とかなんかが奥でブチブチッと切れて、私の眼球は摘出されちゃう。
右の目玉も同じ・・・。
次は脳摘出。
額部分の皮が横向きに切られ、髪の毛付きの頭の生皮が、ベリベリッベリベリッと後ろの方へ引き剥かれる。
露出させられた、私の白く滑らかな頭蓋骨・・・。ウイーンと音を立てて回る小型電動鋸の歯が当てられ、ガリガリガリ…と円状に切られてゆく。
パカッとお皿のように頂上部が外れると、白っぽい膜で包まれた私の脳ミソが、こんにちは…。
私の大切な脳を包む膜は厳重で、三層になっている。最初の丈夫な膜「硬膜」を切開して剥き除く。
更にその下の、薄く透明な「くも膜」を破くと同時に、脳を頭蓋骨内に浮かべて衝撃から守っていた透明な脳髄液がドロドロ流れ出す。
最終の、薄い「軟膜」も剥ぐ。保護する全ての膜が切り除かれて完全露出の、ピンク色した私の新鮮な大脳本体。……中央部で右脳と左脳に分かれ、皴々で楕円型の形状。記憶したり、考えたり、体の全てに動くよう指令したりしていた、私の最重要中枢器官だね。
額側の方から頭蓋骨内部に手がグニュッと突っ込まれ、後ろへデロンとひっくり返すようにすると、大脳だけでなく奥の方に詰まっている脳幹や小脳ごと、全ての脳が纏めてグチョッと抜き出されてしまう。
私から完全に外へ出てしまった、私の大切な脳ミソ。脳って、丁度、両手の握りこぶしを合わせたような大きさと形状なんだよね。案外小さいんです。
あ、これ、私が馬鹿だからじゃないですよ。みんな同じようなものですからね……。
皴々しているけれどもフルルンと柔らか。内部は意外ですけどギトギトして結構脂っぽい物体なんですよね。
そのプルプルした、私の中枢最高器官であるところの脳。全てサクサクぶつ切りにされてしまい、大鍋へ、ポイッベチョッと放り込まれる。ああ、先に摘出した目玉も一緒にね。
ふたつの眼球も、大切な脳ミソも、みんな抜き取られて空っぽの空虚になってしまった、哀れで無残な状態の私の頭……。これって、見た目、かなりグロいよ。
そこから更に耳が削がれ、鼻も削がれ、口をこじ開けられて舌も抜かれ、頬肉も切られ、顎をゴリゴリ外されて上下に分離させられ、さらに残った空の頭骸骨はバリバリ縦に割られ、全部纏めて大鍋に放り入れられて、グツグツ煮られる。
仕上げに塩コショウで程よく味付けすると、私の頭部の煮込みスープ出来上がりです!
・・・ってな感じなんですよねぇ~。
黒目が白くなった丸々目玉が二つプカプカ浮かんで、超グロいんだけどね。見た目と裏腹にとっても美味しいはずだから、残さず食べてね、美鈴。
肝臓も美鈴の取り分よ。昔見たリアルな自分の切腹の夢では、私は自分で自分の肝臓を刺し身にして全部食べてしまいました。
あんな風な生のレバ刺しは・・・、ちょっとマズイかな? ウイルス感染の危険があるもんね。私、別に病気持ちではないと思うけどね。
まあ、レバニラ炒めでも、煮込みでも、焼いても、何でもよいよ。栄養たっぷりの部位だから、これもちゃんと食べて力をつけてね。
その他にも欲しい部位があれば、あなたが食べてよいからね。子宮でも卵巣でも、乳房でも、何でもよいよ。
それで、残った分はオサガリね。ここからは祭儀部に任せてよいよ。
私の遺体は細かく切り分けられ、分配され、無駄なく信者の胃袋に収まり、若さを保つという大きな恩恵となる。
なんてったって、前斎巫の肉体だからね。普通の生贄とは効果が断然違うでしょう。
私の肉体は、全てを無駄なく使ってもらえる・・・。私の肉体は、一切無駄にはならない。
これって、なんか嬉しいよね。
今なら、なんとなく委員長…木藤麻衣さんの気持ちが分かりますよ。
カメラでの動画撮影の準備もする。女子切腹同好会の切腹は撮影して記録を残すのが決まりです。
私の生きた証。シッカリ保存して欲しいし、撮影されているとなると、立派に切腹しなければと少し緊張もする。
美紀さんが見せてくれた最高の切腹。あんな風に麗しくとはいかないけど、誰にもマネできない、唯一無二の切腹をしてみせる。
なんてったって、私は斎巫。特殊能力をもっているからね。それを生かして執行するから……。
さあ、これから始まる私の究極至高の切腹、じっくり最後までご覧あれ。
通常の供物の儀や美鈴との“お楽しみ”を行う、夕刻過ぎに決行の予定。その、決行の時間となっています。
切腹。お腹を切る・・・。
痛いのは嫌だからと、鬼神様は針麻酔を希望しました。
同じ体に入っているのです。快感も一緒に味わえるけど、痛みも共有してしまいます。
でもね、もだえ苦しみながら逝った百合のことを思うと・・・。やっぱり、私は麻酔なしで切腹すべきでしょう。
鬼神様にも納得してもらいました。納得っていうか、渋々って感じですが……。ゴメンナサイね、私のワガママです。次の新しい肉体を得られるのですから、これくらいは我慢してください。
見届け人は美鈴のみ。彼女には私の心臓を食べてもらわなければならない。それも、取り出して直ぐの、生きて動いている新鮮な状態のモノを……。
切腹した後の私の遺体処理も、美鈴に任せます。
私の頭部と肝臓は、新斎巫となる美鈴の取り分です。頭の解体・調理法も、実際を見せながら美鈴に教えてあります。
私自身は、取り分の頭の調理を祭儀部に委託していました。しかし、みんなの信頼を裏切って勝手に逝っちゃうことになるからね。なんとなく、祭儀部に頼むのは申し訳ないのよね……。
だから、美鈴自身の手で、私の頭の解体・調理もして欲しい。
彼女なら、ちゃんとしてくれるでしょう。
・・・私の頭部の解体か。
切腹を終えて心臓を抜かれ、ピクリとも動かなくなった私。命の炎が消えてしまった亡骸、死体と化しています。
その私の遺体から、美鈴によってザクザク首が切断される……。
死んじゃってるから、目の焦点があっていない虚ろな表情。切られた首断面からはダラダラだらしなく血が零れ落ちる。
切り離された私の生首は、髪の毛を持たれてぶら下げられて運ばれ、解体台へドンと据えられる。
まずは眼球摘出から。
左目。スプーン状の専用器具が眼球と瞼の間にグブッと刺し込まれ、グリグリグリッと回すようにしてへばりついている筋肉組織が剥がされる。そのまま掬い出すように器具を抜くと、グチュグボッと丸い球……私の目玉が、眼窩から抜けてくる。
脳とつながる視神経とか、血管とかなんかが奥でブチブチッと切れて、私の眼球は摘出されちゃう。
右の目玉も同じ・・・。
次は脳摘出。
額部分の皮が横向きに切られ、髪の毛付きの頭の生皮が、ベリベリッベリベリッと後ろの方へ引き剥かれる。
露出させられた、私の白く滑らかな頭蓋骨・・・。ウイーンと音を立てて回る小型電動鋸の歯が当てられ、ガリガリガリ…と円状に切られてゆく。
パカッとお皿のように頂上部が外れると、白っぽい膜で包まれた私の脳ミソが、こんにちは…。
私の大切な脳を包む膜は厳重で、三層になっている。最初の丈夫な膜「硬膜」を切開して剥き除く。
更にその下の、薄く透明な「くも膜」を破くと同時に、脳を頭蓋骨内に浮かべて衝撃から守っていた透明な脳髄液がドロドロ流れ出す。
最終の、薄い「軟膜」も剥ぐ。保護する全ての膜が切り除かれて完全露出の、ピンク色した私の新鮮な大脳本体。……中央部で右脳と左脳に分かれ、皴々で楕円型の形状。記憶したり、考えたり、体の全てに動くよう指令したりしていた、私の最重要中枢器官だね。
額側の方から頭蓋骨内部に手がグニュッと突っ込まれ、後ろへデロンとひっくり返すようにすると、大脳だけでなく奥の方に詰まっている脳幹や小脳ごと、全ての脳が纏めてグチョッと抜き出されてしまう。
私から完全に外へ出てしまった、私の大切な脳ミソ。脳って、丁度、両手の握りこぶしを合わせたような大きさと形状なんだよね。案外小さいんです。
あ、これ、私が馬鹿だからじゃないですよ。みんな同じようなものですからね……。
皴々しているけれどもフルルンと柔らか。内部は意外ですけどギトギトして結構脂っぽい物体なんですよね。
そのプルプルした、私の中枢最高器官であるところの脳。全てサクサクぶつ切りにされてしまい、大鍋へ、ポイッベチョッと放り込まれる。ああ、先に摘出した目玉も一緒にね。
ふたつの眼球も、大切な脳ミソも、みんな抜き取られて空っぽの空虚になってしまった、哀れで無残な状態の私の頭……。これって、見た目、かなりグロいよ。
そこから更に耳が削がれ、鼻も削がれ、口をこじ開けられて舌も抜かれ、頬肉も切られ、顎をゴリゴリ外されて上下に分離させられ、さらに残った空の頭骸骨はバリバリ縦に割られ、全部纏めて大鍋に放り入れられて、グツグツ煮られる。
仕上げに塩コショウで程よく味付けすると、私の頭部の煮込みスープ出来上がりです!
・・・ってな感じなんですよねぇ~。
黒目が白くなった丸々目玉が二つプカプカ浮かんで、超グロいんだけどね。見た目と裏腹にとっても美味しいはずだから、残さず食べてね、美鈴。
肝臓も美鈴の取り分よ。昔見たリアルな自分の切腹の夢では、私は自分で自分の肝臓を刺し身にして全部食べてしまいました。
あんな風な生のレバ刺しは・・・、ちょっとマズイかな? ウイルス感染の危険があるもんね。私、別に病気持ちではないと思うけどね。
まあ、レバニラ炒めでも、煮込みでも、焼いても、何でもよいよ。栄養たっぷりの部位だから、これもちゃんと食べて力をつけてね。
その他にも欲しい部位があれば、あなたが食べてよいからね。子宮でも卵巣でも、乳房でも、何でもよいよ。
それで、残った分はオサガリね。ここからは祭儀部に任せてよいよ。
私の遺体は細かく切り分けられ、分配され、無駄なく信者の胃袋に収まり、若さを保つという大きな恩恵となる。
なんてったって、前斎巫の肉体だからね。普通の生贄とは効果が断然違うでしょう。
私の肉体は、全てを無駄なく使ってもらえる・・・。私の肉体は、一切無駄にはならない。
これって、なんか嬉しいよね。
今なら、なんとなく委員長…木藤麻衣さんの気持ちが分かりますよ。
カメラでの動画撮影の準備もする。女子切腹同好会の切腹は撮影して記録を残すのが決まりです。
私の生きた証。シッカリ保存して欲しいし、撮影されているとなると、立派に切腹しなければと少し緊張もする。
美紀さんが見せてくれた最高の切腹。あんな風に麗しくとはいかないけど、誰にもマネできない、唯一無二の切腹をしてみせる。
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