鬼に飼われて生きる少女 ~異世界転移し、鬼と一緒にヒトを食べて生きています~

しんいち

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鬼の仲間として

43 屠殺開始

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 丸焼き用ニンゲンの屠殺では、消化器系の内臓だけを抜き取ります。
 これは腐敗しやすいですし、丸焼き調理では、その部位は美味しくならず無駄になってしまうからです。
 別にしてキチンと下処理をし、煮たりした方が美味しいとか。

 ニンゲンのモツ煮ですか…。

 高級品ですからね、無駄にせずに食べるのですね。
 …うん、まあ、そうであって欲しいです。苦しめられて殺されて、それで不味いから捨てるでは浮かばれませんよ。すべて綺麗に食べてください。

 で、その処理を動画撮影をしながらするのですが、生きたままで内臓を抜く場面を撮影するか、串刺し場面を撮影して一旦串を抜き、死後に内臓を取り出すかのどちらかになります。
 どっちにするかは注文主様の御要望にて、ということです。

 先に内臓を抜く場合は、多くはお腹に詰め物をして料理するとか。
そうですね、鳥なんかでそういう料理ってありますよね。やっぱりこれも、同じです。
 串刺し場面を撮る場合は、そのまんま、串刺しの丸焼きになるんだそうです。

 いや、もう、想像したくない! どっちも、冗談じゃありません!!

 …だけど、今更「やっぱり私、止めます」なんて言えませんよね。
リューサさんの前で、あれだけキッパリ「やります」と大見得切っちゃいましたからね。
 こうなったらもう、やるしかないのです。

 ううううううう~っ……。
 騙された感が、半端ない~!!



 えっと、今年の注文は、内臓抜き処理出荷が五人。串刺しでの出荷が四人ですか…。
 既に二人は、内臓抜き処理をして出荷済みとのこと。今日は残りの三人の内臓抜き処理をします。
 お腹に詰め物をして調理されちゃうんですよね。どんな食材を詰められるんでしょうか。い、いや、そんなことはどうでも良いですね……。

 最初の子。
 何も知らない男の子、牧場の方から連れてこられました。首輪は、もう外されています。
 気付かれないうちにサッと首を落とすのであれば、とっても楽なんですけどね。殺す方にとっても、殺される方にとっても…。
 そうでないのが、とっても辛いです。

 入ったら直ぐに検査をするから裸になって待つように言ってあるそうです。四台の固定カメラにより、入場場面から撮影されています。
 この世界のニンゲンは、「動画」とか「カメラ」だとかいう存在自体も知りません。ですから、カメラを見ても、変な機械が置いてあるとしか認識していません。

 何の疑問もないような風で、男の子、裸になって台に乗り、四つん這い状態になりました。すかさず私たち三人、台付属の拘束具で手足を固定します。
 男の子は四つん這い状態で動けなくされ、流石さすがに動揺しています。
事前打ち合わせでこの後、イマさんが妖語で屠殺宣告。すぐに続いて私が人語でそれを繰り返すことになっています。

「ルレサトウヨクショ、ハエマオ。ルトキヌヲタワラハノエマオ、リヨレコ」
「あなたは、これから殺されます。鬼の食材になるのです」

「はあっ!! ば、バカな。何を!」

 当然、そういう反応になりますよね。で、これも事前打ち合わせ通り…。

「冗談ですよ~。検査ですよ、検査~。びっくりしました~?」

 ニッコリ笑って(いや、ちょっと顔が引き攣っていたかも…)の私の発言。
 ゴメンネ。真っ赤な嘘です。殺されるが本当です。でも、暴れられるとやりにくいですからね。
 お尻の穴に油を塗ってあげます。
 うう、他人のお尻の穴に指突っ込むのって、変な感触ですし、バッチイですよ…。
 男の子は不安げな顔をしながらも大人しくお尻を突き上げます。いつもの検査と同じように…。

 どう? 気持ち良い?
 ゴメンネ。なるべく早く終わせてあげるからね。この後の痛みは、我慢してね。

 イマさんが…。検査の便採取器具に似たモノを持ってきます。似ているけれど、少し違います。が、男の子は違いに気付いていません。
 肛門に差し込まれるまでの感触は同じ。ズブッと挿入され、男の子は快感の声を漏らしそうな、恍惚の表情…。
 この後、器具のスイッチを押すと内部で刃が出てグルッと一回転し、直腸を綺麗に切断。同時にその直腸がシッカリと挟み掴まれるという仕掛け。後は一気に引き抜くと、大腸から順番に出てくるというトンデモ器具。ナユさん作です。
 なんでも、河童の尻子玉抜きにヒントを得て作ったとか。

 尻子玉抜き…私もやられかけました、アレですね。
 まさか、私がそれをスル側になろうとは…。

 イマさん、スイッチを押しました。
 即座に男の子の表情が一変します。

「うぎゃー!! い、痛い痛い痛い~!!」

 暴れようとしますが、手足を拘束していますので動くことは出来ません。
 イマさん、器具を抜き出しました。ピンク色の腸の端がブリッと出てきます。

「美玖、ケヒリキッイモオ(お思いっきり引け)」

「イカウリョ(分かりました)」

 ごめんね。出すよ!早く終わらせるからね!
 イマさんから受け取った、男の子の腸の端。温かく、グニョグニョッとして柔らかい。断面からは真っ赤な血が滲んでくる。急がなきゃ!
 シッカリ両手で握り、思いっきり引っ張ります。

「ぐぎゃあああああああああ~!!」

 男の子の大きな叫び声。ブリブリブリブリッと、お尻から大腸が…。かなりの抵抗感だけど、兎に角もう必死で引っ張りまくります。
 ブヨブヨデコボコした大腸が両手を広げたくらいの長さまで出ると、細く滑らかなモノに変わります。小腸です。
 これも一気に引き抜いてしまいます。
 三メートル位?小腸が出ると、それ以上は出なくなります。全て出し終えたのです。
 すかさず、イマさんが折り畳みの小さな刃物を持って、ビロンと腸が出ている男の子のお尻に手を突っ込みます。
 男の子はビクッビクッと体を大きく痙攣させている状態。そのお尻深くにイマさんの手が入っています。
 イマさんすぐに手を抜き、お尻から出ている小腸を強く引っ張ると…大きな塊がブヨッと出て来きまました。胃です。刃物で食道を切り取り、胃も抜き出したのです。

 これで完了。
 男の子は…。まだ生きています。
体をピクピク痙攣させて、涙を流しながら私を見ています。

 私が今、この子の内臓を抜き出したのです。
 自分の両手を見てみますと、真っ赤になり、血にまみれています。そして、その手はブルブルと震えてる……。
 と、止まらない…。震えが止まらない……。

 やっちゃった。ついに、この手でやっちゃった。

 まだ生きていますが、男の子、もうすぐ死んでしまいます。
 私がやった…。

 体を痙攣させて、口から血を流しています。痛いのかな。痛いだろうね。内臓抜かれたからね…。
 私は、その子にジッと見詰められています。
 男の子の口が少し動きます。何か言いたそう。でも、声にならない。何を言いたいのか…。
分かりますよ。

 「酷い」って…。

 「人間のくせに」ッて…。

 「人でなし」って…。

 そうです。私は鬼の仲間、ヒトであって人でない、ヒトデナシなのです。
 ゴメン。ホントごめんね。

 あなたの命、私が奪いました。
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