異世界に転生して冒険者始めました

さくら

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僕達は前に三人いるだけで比較的空いている所に並びながら、何時冒険に出発するかを決めていた。
僕的には、明日出発でも良かったんだけど、ラルフさんが僕の家族の事を考え、三日後に出発することになった。
最初は兎族の町に行く予定にしている。何故なら、今並んでいる列の受け付けをしてくれているのが、ギルド登録の時にお世話になった兎族のお姉さんなんだ。
お姉さんと話をして一筆書いてもらえたら、一つ目のクエストは直ぐにクリア出来る。
お姉さんに無理だと言われたら、隣国のゴボウを取りに行こうかって話してるんだ。
ラルフさんの話では、兎族と隣国の野菜どちらも同じくらいのC~Bランク位の難易度で、その次がエルフの街、迷いの森がAランク、最後が最高難易度のSランクがドラゴンの内蔵採取なんだって。
ドラゴン、難易度高すぎない?



「次の方どうぞ」
ラルフさんと話をしているうちに僕達の番が来ていた。
受け付け前に椅子は一脚しかなく、ラルフさんに促されて僕が座ることになった。
「こんにちは。王様のクエストの話どうでしたか?クエストを受けるのであれば、手続きを致しますが?」
今日も綺麗なお姉さんに、何も言わないのに聞かれ驚いた。
ま~、でも、S ランク冒険者のラルフさんと一緒で、王様のクエストだから、ギルドの人達が知らないわけないよね。
「俺達は、王様のクエストを受けることにした。出発は三日後だ。手続きを頼む」
僕の後ろに立っていたラルフさんが話を進めてくれた。
「分かりました。では手続きを行います。今回はお二人でパーティーを組むという事で宜しいですか?では……」
お姉さんが座っているカウンター前にある紙に書き込んでいく。
「はい。手続きは終了しました。気を付けて行ってらっしゃいませ」
お姉さんが立ち上がり挨拶をしている時、思いきって声を掛けた。
「あの、ウサギ族のお姉さん!貴女にお願いがあるんですけど……」
「えっ?私にですか?」
お姉さんが首を傾げると、頭にある長い兎耳がピクピク動いている。

触りた~い!撫でてみたい!抱きしめた~い!
……駄目だ。例え兎族でも獣人の女性……、セクハラになる!
いやいや、違うよ、落ち着け僕。
後ろから、痛いくらい視線を感じるし、本題に戻らないと……。

ふぅ~。
深呼吸をして落ち着きを取り戻し、お姉さんに王様のクエストで兎族のニラが必要な事を話した。
「そうですか。私が手紙を書けば、必ずニラは手に入れることが出来ると思いますが、兎族は肉食系の獣人は恐怖の対象でしかありません。アルベルト様は大丈夫かと思いますが、ラルフさんは町に入るのは難しいと思います……」
お姉さんが難しい顔をして悩んでいる。
「やはり、俺が行くことは無理なようだな。アル君、一人で頑張れるか?」
「大丈夫!攻撃は苦手だけど、防御は上手に使えるから安心して!」
心配顔のラルフさんを安心させるように、笑顔で話す。
本当は、一人は不安だけど、僕には頼もしい守護獣もいるし、きっと大丈夫!
「あの……。私が一緒に行きましょうか?」
「「えっ!」」
二人の声がハモる。
「私と一緒だったら、危険は少ないと思うんです」
「でも、ギルドでのお仕事があるでしょ?」
お姉さんの申し出は嬉しいけど、仕事を休んでまで付き合ってもらう訳にはいかない。
「ふふっ。それなら心配いらないですよ。私の兄に子供が出来たので、お祝いに行こうと思って休みを申請していたんです」
「お兄さんに赤ちゃんが産まれたの?僕も見たい!」
「ええ。是非見てあげてください、喜ぶと思いますよ。では、ラルフさん、私がご一緒しても宜しいですか?」
「……ああ。兎族の町では、アル君を頼む。出発は三日後の朝になるが大丈夫か?」
「了解しました。集合はギルド前で宜しいですか?」
「ああ、それでいい。宜しく頼む」
「いいえ、こちらこそ宜しくお願い致します。お二人のお邪魔は致しませんので、ご安心下さい」
お姉さんが綺麗な笑顔で笑っている。
それにしても、邪魔しないって何!ラルフさんは僕の後ろでニヤニヤしてるし、何か別の意味で不安になってきたよ。
その後、お姉さんと簡単な打ち合わせをしてギルドを出た。




ギルドでの話しが終わり外に出ると、すでに夕暮れだったので、今日は自宅に帰ることになった。
勿論、家の前までラルフさんが送ってくれた。
「じゃあ、アル君。三日後の朝に迎えに来る。それまでに、家族に甘えておくんだぞ!」
頭をガシガシ撫でられ、撫で終わると額にチュッとキスをして離れる。
僕はキスをされた額を両手で押さえながら、赤い顔をしてラルフさんの後ろ姿を見送った。
恥ずかしすぎる……。
「アルベルト様。中にお入り下さい」
いつの間にか執事のジョージが後ろに立っていてビックリしたよ。
「うん。ただいま」
ジョージが何処から見ていたのか気になるが、あえて聞く事なく家に入りリビングに向かった。


リビングでは、家族四人が談笑している。
「アル、お帰りなさい」
「アル~、ラルフのやつに何もされてないな!怪我なんてしてないよな?」
母様が優しい笑顔で迎えてくれる。
反対に心配性なレイモンド兄様とロイド兄様は僕に抱き付きながら、怪我がないか調べる。
「アルベルト、クエストには何時出発する事になったんだい?」
父様が母様の入れた紅茶を飲みながら、穏やかな声で聞いてきた。
「三日後の朝に出発になったんだ。ギルドにいる兎族のお姉さんも一緒に行くんだよ」
「ギルドの……。ああ、それはリリスの事かな?茶髪で顎下あたりまでの長さの髪の……」
「そうだよ。リリスさんって言うんだ(そういえば、名前を聞くのを忘れていたなぁ~)。レイモンド兄様知ってるの?」
「昔、冒険者になろうとした時に、ギルドで対応してくれたのが彼女だったんだ」
懐かしそうにレイモンド兄様は話しているけど、兄様!冒険者になろうとの?
「兄様、冒険者だったの?」
「ああ。なろうとしたんだが、私はこの家を継がなくてはいけないから諦めたんだ。勿論、冒険者に未練はないし、父上の仕事も覚えれば楽しいぞ」
僕の頭を撫でながら微笑む。
「でも、だったらロイド兄様は軍で仕事して大丈夫なの?」
侯爵家の次男だし、普通なら次期当主のサポート役とかするんじゃないかな?
「ん、俺か?俺は肉体派だから、頭を使う仕事は苦手なんだ。だから、軍に入り家族の住むこの街を守る仕事に就いたんだ」
鼻の頭をポリポリ掻きながら、照れ臭そうに話してくれた。
「ごめんなさい、僕何も知らなかった……自分の事しか考えてなかった」
家族の事なのに、僕は知らない事ばっかり……。
「アル、私達が自分の意志で決めた事だ。後悔なんてしていない。お前も自分の意志で冒険者になる事を決めた。それでいいんだ。私達に遠慮することなんてない」
「そうだぞ。適材適所だ。それよりも、暫く会えなくなるなんて……寂しすぎる」
「そうだな。アル、今日私と一緒に寝ような」
「兄貴、抜け駆けだぞ!俺だってアルと一緒にいたいんだから」
兄様二人に更に強く抱き締められました。
「ちょっ……、苦しいよ。も~、今日はレイモンド兄様、明日はロイド兄様と最後は父様と母様と寝るね」
「「アル~!」」
少し考えて答えたら、更に強く抱き付かれて、全く身動きがとれなくなりました。

苦しい……。

「父様~、助けて~」
「お前達、アルを離してやれ。そのままだと窒息死するぞ」
父様の言葉で直ぐに兄様達は僕を離してくれた。
「あらあら。アルは私達家族の宝物だものね」
「そうだな」
父様と母様の会話がずれてる気がするけど気にしない。
「僕だって、皆の事が大好きだよ」
僕は今にも抱き付きそうな兄様や、父様と母様に自分から抱き付いて笑顔を見せた。

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