異世界に転生して冒険者始めました

さくら

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1 事故、そして……

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俺の名前は長谷部 誠  三十歳。大学生の頃からアルバイトでお世話になっていたスーパーに就職して数年。立場的に上司と部下に挟まれ、ストレスを溜めながらも忙しい日々を過ごしていた。

ある日、仕事帰りに一匹の犬が車に跳ねられそうになったのを助け、逆に車とぶつかり呆気なく死んでしまった。
別に犬を助けて死んだことに後悔はない。むしろ、良くやったと思うほどだ。だけど、これまで育ててくれた両親には申し訳ないと思っている。やっとこれから本格的に親孝行ができるはずだったのに……。
まあ、でも死んでしまったのだから仕方がない。父さん、母さんごめん。俺、あの世から見守っているから、長生きしてくれよ!

さて、あの世というモノがあるか分からないけど、成仏しなくてはな。
ところで、何処に行けばいいんだ?
『長谷部 誠さん。私と一緒に来てくれますか?』
何処に行けばいいのか考えていると、後ろから話しかけられた。
「お前あの時の犬!死んでしまったのか?」
振り向くと、俺が助けたはずの犬がいた。助けられなかったのか。ごめんな……っていうか何で犬が人の言葉を話てんだ?
『あの、聞いていますか?』
「ああ。聞いてる……。ごめんな、助けられなくて」
犬に向かって謝罪した。きっと犬が言葉を話すのは死んでいるからだ。死後なら何でもありだろう。
『いえ。私、元から死んでいるようなものでして……。こちらこそ巻き込んでしまい、すみませんでした。それで、神様に話をしたら、新しい人生を用意してくれるそうなので、ご案内に来ました!』
「神様?本当にいるんだ」
『はい。それで、新たに生を受ける場所なんですけど、こことは違う異世界なんです。そこで、不自由のない生活が出来る力もおまけでくれるそうなので、行ってみませんか?』
「マジで?何か分からないけどおまけで力までくれるなんて、神様太っ腹だなぁ。……分かった。一緒に行くよ」
少しだけ悩んだけど、生活には不自由しないって言ってたし、せっかく新しい人生も準備してくれたんだ、行くしかないだろう!!
俺は犬の後についていく。気が付けば風景がなくなり、白い靄のかかった空間を歩いていた。


どれくらい歩いたのだろか。さほど時間が過ぎ
た気はしないから、ほんの数分なのかもしれない。
白い靄のかかっていた空間が薄らぎ、部屋のような所に出た。そこには何もなく中央にポツンとソファーセットがあるだけだった。
『神様、長谷部さんを案内してきましたよ!何処ですか~?』
犬が神様を呼ぶが返事がない。留守なのかな?
『あ~、悪い悪い。気が付いたら居眠りしてた』
数分たった頃、何処からともなく俺と同い年位の男性が現れた。
しかし、居眠りって神様業は暇なのか?それに、何か適当そうな感じのする神様だ。この神様の言うこと聞き、異世界に行って大丈夫かな?不安だ……。
『神様、長谷部さんが不安がってますよ。きちんと説明してあげて下さい』
犬が俺の気持ちを代弁してくれている。お前、良い犬だな。
『あ~、長谷部君、私の大切な相棒である犬の【シロ】を助けてくれてありがとう。まさか、下界の者にシロが見えるとは思わなかったよ。そのために、事故死してしまったんだが、君の寿命はまだまだ残っていたんだ。だから、お詫びに異世界に転生してもらおうと思ったんだ』
やっぱりこの神様は信用出来ない。何て言うか、軽い?
『長谷部君、私のこと疑ってるね?これでも本当に神様なんだよ。ん~、疑いを晴らすために、特別に産まれる家と種族を選ばせて挙げよう!さあ、好きなのを選びたまえ!!』
目の前に何やら紙が三枚出された。
見てみると、一枚は種族……人・獣人・魔物・ペット(犬or魔獣)、二枚目には家柄……貧困・庶民・貴族・王族、三枚目には兄弟……一人っ子・長男・次男・三男と書かれている。
もしや、好きなのを選べっていうのは、自分の産まれる所を選べるってことか!神様すげ~。
何個か気になることが書いてあるけど、それは最初から除外して良いだろう。だって、ペットとか魔物なんて、頼まれても生まれ変わりたくない。
さて、どれを選ぶか……。種族はやっぱり人かな?家柄は、金と地位はある程度ある方が生きていきやすいから貴族。最後に兄弟?今が一人っ子だから、できたら兄弟は欲しいかも。長男は跡取りとかで大変そうだな。次男は……、間に挟まれたらストレスになりそうだから、比較的自由そうな三男にしよう。
『さあ、どれにするか決めたかい?』
「え~と、人の貴族、三男でお願いします」
『了解!まあ、不自由ない生活と力はおまけで付けてあるから、第二の人生を楽しんでね。
そうだ、私とは会い時は、会いたいと思えば気が向いたら夢の中で会えるようにしておくから!……それと、忘れてたけど性別は男性しか選べないんだ。じゃあ、楽しい人生を!!』
神様が話は終わりとばかりに笑顔で手を振ると、俺の足元に穴が開き下に落ちていった。
『長谷部さん、助けて頂いてありがとうございました!頑張って下さいね~』
シロの声が頭上から聞こえるけど、落下している俺はそれどころではない。おい、神様!このままじゃあ、転生前に死んじゃいますけど……あっ、もう死んでるんだった。
神様のアホ~、最後まできっちりフォローしてくれよ!!これが覚えている最後の記憶。落下途中で気を失った俺が次に目覚めた時は、異世界で新たに生を受けた赤ん坊だった。ただし、三十年生きた記憶あり。
前世の記憶を持つ、貴族の三男坊の誕生です。これから宜しくな、生まれたての俺!
    
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