この世界で生きていく

Emi 松原

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祖父からのプレゼント

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祖父からのプレゼント


「僕が、やりたい職業か……。どれを選べば良いのかなぁ」
 自室のベッドに寝転んで、天井を見上げながら、僕は呟いた。
 天井には、満天の星が、映し出されている。
「職業の候補を、改めて、説明します」
 チィが言ったけれど、僕は、首を振った。
「覚えているから、大丈夫だよ。研究職が、一番の候補に、挙がっているんだよね。あんまり、実感が沸かないけれど」
「はい。ロキのお爺様は、この国でも、トップと言われる、研究者でした。その遺伝子を受け継ぐ、ロキには、とても合っています。それに、ロキは、自分の興味や、関心を、口にできる能力があります。まさに適職かと」
「おじいちゃんか……。この国で、トップの、研究者と言われても、想像できないなぁ。だって、おじいちゃんは、もう歳のせいで、会いに行っても、会話はなくて、おじいちゃんの、サポートロボットが、変わらない近況を、教えてくれるだけだから」
 僕は、定期的に、おじいちゃんに、会いに行っている。僕の両親のことは、何も教えられたことはないけれど、おじいちゃんは、この国で、とても有名な、研究者だったらしい。
「人族は、その昔、精霊族の協力を経て、医学が発展し、寿命が飛躍的に伸びました。少子化は、進みましたが、その代わり、年齢に関係なく、子供も持てるようになりました。ロキのお爺様は、二百歳を少し越えたところですから、そろそろ、衰えが出てきても、仕方ありません。さぁ、ロキ。そろそろ、寝る時間です」
「うん、おやすみ、チィ」
「おやすみなさい、ロキ」
 僕は、そのまま、夢の世界へと落ちていった。

「じゃあ、行ってくるね」
 入り口まで、見送りに来てくれた、ルカに手を振ると、僕は孤児院を出て、国の中心部に住んでいる、おじいちゃんの元へと向かうため、迎えの車に乗り込んだ。
 おじいちゃんのいるところは、国の中心部にある、一番大きな研究施設の、すぐ側だ。
  研究施設に、行くことも多いと、おじいちゃんのサポートロボットから、教えられたけれど、内容までは、教えられていない。
「ロキ、珍しく、少し、緊張していますね」
「うーん。昨日、職業について、話をしたからかもしれないね」
「そうですね。ですが、緊張は無用です。私が、隣にいるのですから」
「うん、ありがとう、チィ」
 僕は、チィと一緒に、おじいちゃんの家へ入る。すぐに、家事ロボットが出てきて、僕たちを、案内してくれた。
「ロキくん、久しぶりだね」
「あ! フールさん! お久しぶりです!!」
 金に近い、綺麗な茶色の髪の毛を、耳の横で揺らした、優しい顔の男性が、おじいちゃんの隣に、立っていた。
 このフールさんは、国の研究員で、おじいちゃんの、部下だったらしい。今でも、おじいちゃんを、慕っていて、僕とルカに、会いに来てくれることもある。ルカは、フールさんに、色んなことを、相談していると、前に話してくれた。
 ルカにとって、お兄さんのような、存在なのだろう。人族のことが、あまり好きではない、ルカが慕うのだから、凄い人だと思う。
 そういえば、フールさんにも、サポートロボットが、付いていない。国の中枢で、研究員をしている人だから、きっと、必要ないのだと思う。
「今日、ロキくんが来ると聞いてね。待たせて貰っていたんだ」
「え? そうなんですか?」
「フールさん、ロキが、驚いて、少し混乱していますよ。事前に知らせて下されば、ロキに、伝えることが、できましたのに」
「うーん、知らせて、逆に緊張させても、いけないと思ったんだ」
 ふわふわと笑う、フールさんは、僕が関わったことのある人で、一番、穏やかで、優しくて、不思議な人だ。
「ロキ様、お爺様の、最近の様子を、お知らせします」
「はい」
 僕は、おじいちゃんの、サポートロボットから、いつものように、変わらない近況を聞く。
 車椅子に座った、おじいちゃんに、声をかけても、何も返ってこない。これも、いつも通りだ。
「こちらへどうぞ。お茶をお持ちしますね」
 家事ロボットに、案内されて、僕とフールさんは、椅子に座った。
「今日はね、ロキくんの、お爺様から、預かっていた、プレゼントを、渡そうと思ってきたんだ」
「プレゼント……?」
 首をかしげる僕に、フールさんが、笑いかけてくれた。
「そうだよ。お爺様から、君へのプレゼントだ。君が、十六歳になる直前に、渡すように、お爺様から、預かっていたんだよ」
 そう言うと、フールさんは、一つの箱を、大事そうに取り出した。そのまま、フールさんが、ゆっくりと箱を開けると、中から、金色の何かが現れる。
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