この世界で生きていく

Emi 松原

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スモ爺のぬくもり

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「凄い……」
 ライキさんと一緒に、町に出た僕は、驚いて、一瞬、立ち止まってしまった。
 ヴィーヴル王国に来たときにも、驚いたけれど、色んな人が、沢山、賑やかに、お店を出したり、まわったりしているし、龍も、普通に歩いている。
「ここが、商業地区。その名の通り、店がある地区だ。この先を行ったところに、居住地区がある」
 ライキさんが、簡単に、地理を説明してくれて、手紙を見ながら、歩き出した。
「あら、おはよう」
「おはようございます。これ、昨日の、うちの龍の、代金です。それと、この子は、ロキと言います。よくしてやってください」
「お、お願いします」
 ライキさんは、お店をまわるついでに、僕のことを、紹介してくれて、僕を見た、色々な人が、お店に売っている果物や、お菓子をくれる。僕は、かごの中いっぱいに、色々なものを持っていた。
「こんなに、タダで、貰ってしまって、良いんですか」
「大丈夫だ。龍人族も、精霊族も、寿命が長い分、ロキが、子供のように、可愛いんだろうから」
 ライキさんの言葉に、僕は、苦笑した。
 そうか、ライキさんが、数百年生きているのだから、僕なんて、ほんとうに小さな、子供に見えても、仕方ない。もしかしたら、スモ爺が、僕のところに来てくれるのも、そういう気持ちなのかな。
 そんなことを考えながら、僕と、ライキさんは、ギルドの敷地内に戻ってきた。
「さて、俺は、エミリィたちの、様子を見に行くけれど、どうする?」
 ライキさんに聞かれて、一緒に行こうと思ったけれど、それを遮るかのように、スモ爺が、僕と、ライキさんの間に、割って入った。
「なんだ、スモ爺。そんなに、ロキと、一緒にいたいのか」
 ライキさんの言葉を、スモ爺は、無視して、僕を見ている。
「うーん……。あ、そうだ。スモ爺、僕、色んな食べ物を、貰ったんだけれど、何か食べるかい?」
 スモ爺に、かごを見せると、スモ爺の目が、かごに移った。
「僕、ここで、スモ爺と一緒に、待ってます」
 なんだか、スモ爺と、意思疎通ができているようで、嬉しくて、僕は、ライキさんに、そう言った。
「分かった。じゃあ、また後でな」
「はい」
 ライキさんが、歩いて行くのを見送って、僕は、スモ爺を見た。
 すると、スモ爺は、一つのフルーツを、口にくわえると、僕の胸に、くっつけてくる。
「スモ爺、これ、食べたいの? 食べて良いよ?」
 そう言っても、スモ爺は食べずに、おしつけてくるだけだ。
 こういう時、チィが、絶対に、何か言ってくれるのに、何故か、チィは、今日は、ほとんど喋っていない。商業地区に出たときに、色々と、データをとっていたようだったから、そっちの方に、集中しているのかもしれない。
「うーん。これが、食べたいわけじゃないの?」
 僕の言葉に、スモ爺が、小さく鳴いた。僕の言葉が、通じているのかもしれない。
 僕は、少し嬉しくなって、なんとか、スモ爺が、伝えたいことを分かりたくて、かごの中を見る。
 すると、同じ果物だけれど、この果物だけ、ほんの少し、色が濃いことに気がついた。
「……もしかして、これが、美味しいの?」
 僕の言葉に、また、スモ爺が、小さく鳴いた。僕は、なんだか、とても、心があたたかくて、嬉しくなるのを感じて、思わず笑顔になる。
「そうなんだね! じゃあ、やっぱり、スモ爺が食べなよ」
 そう言ったけれど、やっぱり、スモ爺は、僕の胸に、くっつけてくる。
「え……これ、食べろってこと?」
 僕の問いに、スモ爺が、小さく鳴く。
 まさか……。スモ爺は、一番、美味しくなった果物を、僕に、教えてくれていたのか?
 そう思うと、凄く嬉しくて、僕は、スモ爺から、果物を、受け取った。
 心なしか、スモ爺が、納得したように見える。
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