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生まれる命、去る命
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しおりを挟む生まれる命、去る命
「スモ爺、今日はね、薬草のソテーを作ってみたんだ。これね、このまま食べても美味しくて、体に良いらしいけど、スープに入れたり、アレンジもできるんだよ。朝、ルカに食べてもらったら、凄く美味しいって、言ってくれたんだ。今度、店で出してみろって、ノルさんに、からかわれちゃった」
お皿に入れて、差し出したソテーに、顔を近づけて、スモ爺は、匂いを嗅いでくれる。
あの日から、僕は、何度も何度も、自分に問いかけて、悩んだ。チィの言うとおり、スモ爺から、離れるべきなのか、自分は、どうするべきなのか。そんな僕に、ルカは、ずっと、寄り添っていてくれたし、エミリィさんたちや、この国の人たちも、変わらず接してくれていた。
そんな中で、僕は、最後まで、スモ爺と、一緒にいることを決めた。僕には、何もできないかもしれない。だけれど、スモ爺と、離れる選択なんて、できなかった。
チィからは、何度も、スモ爺から離れるように、アドバイスされた。近くなれば、なるほど、スモ爺がいなくなった時、耐えられなくなると。
チィの言うことが、正しいのは分かっていた。分かっているけれど、これが、僕が、自分自身で出した、答えだ。それが、例え、正解でなくとも。
「スモ爺、大好きだよ」
スモ爺は、小さく鳴いて、肯定してくれると、僕の体を包んでくれるのだった。
「えーっと、この蜜をたらして……」
「わぁ、凄く甘くて、優しい香りがするわ!!」
夜、真剣に、分厚い本を読んでいたルカが、台所に立つ僕に、声をかけてくれた。
「良かった! ご飯屋さんにね、ルカが、毎日、遅くまで、本を読んでいるんだって話をしたら、夜食に良いレシピを教えてくれて、報酬と一緒に、余った材料もくれたんだ!」
僕は、お皿に、夜食を盛り付けて、ルカの前に置く。
ルカは、本を置いて、目を輝かせて、お皿を覗き込んでくれる。この表情が、凄く嬉しくて、僕は、料理を作ることが、大好きになっていた。
「わぁ、凄く甘いのに、あたたかくて、ほっとする味ね。それに、見た目も綺麗! ノルさんが、酒場で働けって言っているのも、冗談じゃないと思うわ!」
僕は、ルカの言葉に、笑顔で返す。
ノルさんは、よく、僕の料理を試食して、アドバイスをくれていた。そして、必ず最後に、一緒に働ける日が来るのが、楽しみだと、応援してくれるのだった。
「この果物にはね、疲れをとる効果があるんだって。でも、このままだと、少し酸っぱいから、ルカの好きな、あの蜜で、甘さを調節するんだって。他の蜜でも、美味しいらしいけれど、この蜜が、一番合うらしいんだ。今回は、初めてだったから、少し、蜜を多めにしてみたんだよ」
「ロキ、本当に、良い表情だわ」
「そう? 僕は、ルカの表情を見るほうが、好きだよ」
ルカが、にっこりと笑ってくれた時、玄関のドアが、ゴンゴンと鳴った。
人のノックとは、何か違って、僕とルカは、びっくりして、固まってしまった。でも、二人で顔を見合わせて、一緒に玄関まで行って、扉を開いた。
「スタウロ!?」
そこにいたのは、スタウロだった。スタウロは、どこかそわそわしていて、僕に、顔を押しつけてくる。
「スタウロ!? どうしたの!? まさか……スモ爺に、何かあったの!?」
「違うわよ。安心しな」
後ろから聞こえた、エミリィさんの声に、僕とルカは、驚いて、家から出た。
そこには、ライキさんと、ノルさんもいる。
「……龍人族の血が、全く入っていないのに、こんなに、龍と近くなる者は、はじめて見たな。爺だけならまだしも。こいつまで」
ライキさんが、僕を見て、驚いていたけれど、僕は、何が起っているのか、全く分からない。
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