この世界で生きていく

Emi 松原

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真実と立ち位置

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 ルカは、王族で、僕は、レインボーローズの中心に両親がいた。そして、僕たちの両親は、ルカや僕を守ろうとして、元国王に殺された。
 これらの事実は、僕たちにとって、とてつもなく重い。
「あの……一つだけ、教えて欲しいことがあるんです」
 ルカの言葉に、みんなが、顔をあげた。
「私の……私が産まれたときに、授けられた、花は……あるんですか?」
 キラさんが、ルカに微笑んで、頷く。
「あぁ。ルカちゃんに授けられた花は、ちゃんとあるよ。スティブと、ネリーが、二人で大事に決めた花が。でも、今は、それを教えることはできないな。精霊族も、龍人族も、授かった花や石を、普段は、表に出さないからね。それを堂々と宣言するのは……大きな覚悟を、決めた時だけだから。その時が来たら、必ず、教えるよ」
 キラさんの言葉に、ルカが、少しだけ、微笑んだ。

 家に戻った、僕とルカは、どう気持ちを整理したら良いのか、分からなくて、ずっと黙っていた。
「お邪魔するね」
 扉がノックされると同時に、フールさんが、ふわふわとした笑顔で、家に入ってくる。
「せっかく久しぶりに会ったのに、混乱させてしまったね。大丈夫かい?」
 フールさんの言葉に、僕も、ルカも、曖昧に頷くことしかできない。
「フールさん、私たちは、最初から、国にとって利用されるために、あの孤児院に入れられたのでしょうか」
 ルカの言葉に、フールさんは、否定も肯定もせず、僕たちを、真っ直ぐに見た。
「君たちが、立場のある人間であったこと。だから、王国から一番目が届き、かつ、その立場に見合った、孤児院に入れられていたことは、間違いないよ。ルカちゃんに、サポートロボットがついていなかったのは、ひいきでもなんでもなく、実力で、試験に合格したからだ」
「フールさん……。私……ノルさんに、今日見た、魔法の銃を、教えてもらおうと、思うんです」
 ルカの言葉に、フールさんの、笑顔が消えた。
「ルカ、いけません。あなたは、この戦争で、決して目立つ位置にいてはいけません。あなたら、理由は分かるはずです。もし、この国の味方をすれば、あなたは、ギア王国を裏切った、大罪人となるのですよ」
「それでも……それでも、私は、人族が憎い!!」
 ルカが、大きな声で叫んだ。その目には、涙が溢れている。
「それは、ギア王国そのものがですか。人族の全てがですか。ルカ、ロキ。確かに、あなたたちの両親は、殺された。ですが、それは、国に背いたものに与えられる、正当な罰です」
「そんなっ……」
 反論しようとした僕をさえぎって、チィは、僕を見て、続ける。
「ロキ。今更ですが、ギア王国は、ロボットの手助けを得て、王族を中心に、秩序を守っています。その生活に、不満がありましたか。犯罪は、未然に防がれ、治安は良く、生活も、適正のあるものを選べる。傷つくもの、苦しむものも、事前に排除されています。ロキ、あなたはここに来て、沢山傷ついた。勿論、ルカもです。感情とは、苦しみを生むものです。苦しみを除いた、ギア王国を、あたなたちは、否定できるのですか」
 否定……できるのか……?
 確かに、ギア王国で暮らしていたとき、僕は、不満を覚えたことはなかった。苦しいとも、辛いとも感じなかった。今は、辛いことも、苦しいことも、沢山感じる。
 日常依頼で、失敗することもある。スモ爺が死んだことだって、乗り越えられていない。今日聞いた、両親のこと、リィノさんのことだってそうだ。
 だけど……。ここに来なければ、僕は、美味しいものを、食べる喜びを、知らなかった。日常依頼が上手くいって、褒められたり、報酬をもらう嬉しさを、知らなかった。龍と関わって、背中に乗って空を飛ぶ、楽しさも知らなかった。目に映る感動も、なにも、知ることはできなかった。
「感情を知ることは、良いことではありませんよ」
 僕の心を見抜くかのように、チィが言った。
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