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おとぎ話の希望
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しおりを挟む「私が見つけたのは、ヴィーヴル王国でのおとぎ話と、一つの文献です。おとぎ話は、龍人族と、精霊族の、恋を描いたもの。種族が違い、特徴も違い、寿命も違う。そんな二人が、一緒になる、覚悟をする物語です。その話では最後に、二人が、一緒に生きていく覚悟を決めたとき、その涙から、石の花ができます。龍人族が、大切にしている石と、精霊族が、大切にしている花。それが合わさった、奇跡の、石の花が出てきて、終わります」
「それは、俺たちの中では、子供の頃に聞かされる、有名な話だな。その奇跡の石を使うってことか? それこそ、全知全能の宝玉より、あり得ないことだぞ」
「はい。あり得ないはずなのです。ですが、とある文献の、たった数行に、興味深いことが、書いてあったのです。それに関することは、その数行だけだったのですが」
ライキさんの言葉に、チィが答える。
「龍には、知っての通り、石龍と、花龍がいます。この二種類の龍は、同じ龍といえど、種類が違います。なので、繁殖も、それぞれで行います。ですが、龍は愛情深く、種類を越えて、つがいとなることがあります。そして希に、花龍と石龍の子供で、背中に、石の花を咲かせる、龍が、いるとのことなのです。その魔力は、石の色の、花言葉で、決まるというもので、魔力の質も、圧倒的なものだと」
「ちょっと待って。私、子供の頃から、リィノを救うため、かなりの本を、読んできたと思う。石龍と、花龍が、つがいになることはある。でも、子供が産まれたら、どちらかの性質を受け継いで、石龍か、花龍に成長すると、どの文献にも書いてあるし、実際、私たちが見てきたものだって、そうだった」
エミリィさんが、驚きを隠せずに、チィに言う。
チィは、お腹のモニターに、とても古い本を映しだした。その表紙には、文字が書いてあったけれど、僕たちの、知らない文字だ。
「それは、龍人族の、古文書か。しかも、習おうにも、教えられる者がいないくらい、昔の文字じゃないか。読むことができたのか?」
「読んだというより、解読したんだね?」
ライキさんの言葉に、フールさんが続ける。チィは、フールさんに、頷いた。
「はい。今の文字から、古文、その成り立ちを読み、そこから、解読しました。勿論、これは、古すぎる文献です。ですが、可能性を見いだせるならば、この、石の花ではないかと、思ったのです」
「……仮に、仮によ。その石の花があったとして、なんの花だったら、リィノを助けられると思うの?」
エミリィさんが、少し、震えた声で聞いた。
エミリィさんは、リィノさんを、殺すしかないと、言っていたけれど、それはきっと、必死になって、調べても調べても、方法がなかったから、出した結論だったんだ。
「それが、青いバラと、虹色のバラなのです。ですが、虹色のバラは、人工的に作られたもの。なので、希望があるとしたら、青いバラでしょう。二つの花言葉に共通するのは、奇跡。青いバラは、遙か昔、自然に咲くことはない色という意味で、不可能という花言葉でした。ですが、不可能が可能となったとき、奇跡となったのです。虹色のバラは、他にも、無限の可能性という、花言葉がありますが、先ほども言ったように、自然に咲かない花です。自然に咲かない花が、龍に咲くのは、それこそ、あり得ないことですから」
「ブルーローズと、レインボーローズ……!?」
ルカが、驚いた声を出す。
「ブルーローズと、レインボーローズの名は、リィノのことがあった時、母さん達と、ロキくんのお爺様が、つけたもの。エミリィと、リィノから、連想したのかと、思っていたんだけれど、違ったのかもしれないね。ここで考えてもしょうがない。知っているとしたら、母さん達だけだ。行ってみよう」
「フール。長って言えよ。悪い癖だぞ」
「あっ、兄さん、ごめんごめん」
「俺もたまに、外で、うっかり、親父って言うから。気にするな」
フールさんを、ノルさんがたしなめて、ライキさんが、フールさんを慰める。
その自然なやり取りに、僕とルカは、驚いて、顔を見合わせた。だけれど、そのことを深く追求することはなく、全員で、長の元へと、向かった。
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