この世界で生きていく

Emi 松原

文字の大きさ
62 / 83
おとぎ話の希望

1-1

しおりを挟む


                                おとぎ話の希望



 朝、キラさんから、リィノさんの気配が、強くなっていること、二・三日中には、きっと、この近くに、たどり着くだろうという話を聞いた。
 国に、被害を出さない為に、国から出て、少し離れた場所で、迎え撃つということも、そこに、エミリィさん、ライキさん、ノルさん、フールさんが、行くということも。
 僕たちは、その言葉に、悩んだけれど、一緒に行くことを決めた。
 僕も、ルカも、この目で見なくてはいけないと思っていた。人族が、何を行っているのか、この目で見て、動かなくてはいけないと、思ったのだ。
 ルカはそのまま、ノルさんたちと、訓練に残り、僕とチィは、王国で一番大きな、図書館へと向かう。全ての本の閲覧許可は、キラさんに出してもらい、フールさんが、人族にいた経験から、何か力になれることがあればと、一緒に来てくれることになった。

「では、インプットするので、少し待っていてくださいね」
 チィが、僕たちにそう言うと、王国の本の、インプットをはじめた。
 僕はその間、フールさんに、僕がここに来てからのことを、一つずつ話す。びっくりすることばかりだったこと、明日が楽しみだという、感情を知ったこと、日常依頼を頑張ったこと、スモ爺のこと、スタウロのこと、そして、スタウロの、子供の、龍たちのこと。
 フールさんは、ふわふわとした笑顔で、嬉しそうに聞いてくれた。
「良かった。正直、人族が、感情を持つことが、良いことなのか、僕たちには、答えが出せなかったんだ。現国王になって、機械化が、一般的になったことで、ギア王国の治安が良くなったことは、変えられない事実だからね。だけれど、間違いなく、ロキくんと、ルカちゃんにとって、感情を持つことは、深く生きることに、繋がったんだよ」
「深く、生きる……。ルカも、ここに来た当初、同じことを、言っていました」
「そっか。ルカちゃんとは、ギア王国で、そういう話もしていたからね。僕と、ルカちゃんには、サポートロボットが、ついていなかったから」
「僕、ルカに、深く生きると、言われたときには、正直、その意味が、よく分からなかったんです。だけれど、今なら、少し、分かる気がします」
 僕の言葉に、フールさんが、ふわふわと微笑んでくれた。
「お待たせしました。終わりましたよ。この、コアに入っている、魔石のおかげで、精度が高まったようです。以前とは、比べものにならない速さで、インプットを、終えることができました」
 チィの言葉に、フールさんが頷く。
「魔石で、魔力を、直接流し込んでいるからね。チィ、何か、良い方法はあったかい?」
「皆さんも、調べていたと思うのですが、ほぼ、可能性はありません。ただ、一パーセントにも、満たないですが、ゼロではない方法なら、見つかりました」
 チィの言葉に、フールさんも、僕も、一瞬、驚いて、固まった。
「人族でいう、絵本と、同じレベル。おとぎ話の、レベルです。ですが、ゼロではない。それでも良いのでしたら、皆のところに戻って、お話しします」
 チィに頷くと、僕たちは、みんなのところへと、戻っていった。

「では、話しますね。まず、リィノさんの、洗脳をとくことですが、これは、洗脳がとけるほどの、強い衝撃が、リィノさんにあれば、洗脳を、とくことができます。何が、その衝撃になるかは、分かりませんが、戦闘となれば、自然と、とける可能性も出てきます。そして、人族の実験によって、リィノさんの心に、植えついて、支配している、破壊心。人族が行った、実験の詳細が、分からないので、科学的に、解消する方法は、わかりませんが、魔法を使った方法なら、あると考えられます」
「魔石を、媒体にするってこと? 精神安定を行う魔石は、沢山あるわ。でも、人為的にいじられてしまった、リィノの心には、当時、どの魔石も、魔法も、効かなかったのよ」
 エミリィさんの言葉に、チィが、頷いて続ける。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語

紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。 しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。 郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。  そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。 そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。 アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。 そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

王女様は聖女様?おてんば姫の大冒険~ペットのドラゴンが迷子なので冒険者になって探しに行きます!~

しましまにゃんこ
ファンタジー
アリシア王国の第3王女ティアラ姫には誰にも言えない秘密があった。 それは自分が全属性の魔力を持ち、最強のチート能力を持っていた「建国の賢者アリシア」の生まれ変わりであること! 8才の誕生日を境に前世の記憶を取り戻したものの、500年後に転生したことを知って慌てる。なぜなら死の直前、パートナーのドラゴンに必ず生まれ変わって会いにいくと約束したから。 どこにいてもきっとわかる!と豪語したものの、肝心のドラゴンの気配を感じることができない。全属性の魔力は受け継いだものの、かつての力に比べて圧倒的に弱くなっていたのだ! 「500年……長い。いや、でも、ドラゴンだし。きっと生きてる、よね?待ってて。約束通りきっと会いにいくから!」  かつての力を取り戻しつつ、チートな魔法で大活躍!愛する家族と優しい婚約者候補、可愛い獣人たちに囲まれた穏やかで平和な日々。 しかし、かつての母国が各国に向けて宣戦布告したことにより、少しずつ世界の平和が脅かされていく。 「今度こそ、私が世界を救って見せる!」 失われたドラゴンと世界の破滅を防ぐため、ティアラ姫の冒険の旅が今、始まる!   剣と魔法が織りなすファンタジーの世界で、アリシア王国第3王女として生まれ変わったかつての賢者が巻き起こす、愛と成長と冒険の物語です。 イケメン王子たちとの甘い恋の行方もお見逃しなく。 小説家になろう、カクヨムさま他サイトでも投稿しています。

処理中です...