この世界で生きていく

Emi 松原

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輝きの石花と別れ

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                              輝きの石花と、別れ



 おじいちゃんの、言葉と共に、メインコントロールが、止まった。そんなギア王国を、僕は、ロボットの映像から、じっと見つめていた。
 チィは、メインコントロールから、切り離されているから、停止はしない。レインボーローズのロボットも、別の場所から、エネルギーを得ているのだろう。
 国の全ての、光が消えていた。全てが、終わりを告げるように。
 僕は、ギア王国にいる人たちのことを、想った。だって、あそこにいるのは、紛れもない、ここに来る前の、僕なのだから。
 その時、画面に、ポツポツと、光が映りはじめた。僕は、その光景に、釘付けになったのだった。



※※※



 全てが停止した、ギア王国。だが、不思議なことに、中央広場では、全く、混乱はなかった。正確には、混乱すら、起こせなかったのだ。
 ただ、言われたとおり、隣の人の手を握り、黙って待っていた。
 そこに伝わってくるのは、同じ時間に、提案された話題しか、会話をしたことのない、母の、手のぬくもり。息子の、手のぬくもり。婚約者の、手のぬくもり。
 人の手とは、こんなにも、あたたかかったのか。
 今まで、ずっと隣にいたはずなのに。気づかなかった。
 一緒になる人なのに、知ろうともしなかった。
 誰も、何も言わず、ただ、黙って、手を握り続けている。
 その時。
 ポツポツと、明かりが灯りはじめた。
 一人、また一人と、顔を上げる。その顔は、驚きに満ちていたが、その気持ちを、表現する手段が、分からない。ただ、この光景が、とても綺麗だということだけは、はっきりと分かる。
 中央広場全体に、虹色のバラの石が、光り輝きながら、灯されて、飛んでいたのだ。



※※※



「あれは……?」
「魔石を組み合わせて作った、レインボーローズだよ。魔力で、光を放っているんだ」
 フールさんが、隣で、説明してくれた。
 敵の、人族のロボットは、全て停止していた。国王の声も、聞こえない。
「今、第二王子の、セラフィ様が、国王を、拘束しているはずだ。ギア王国の、メインコントロール権は、レインボーローズにある。ギア王国との争いは、一旦終わったんだ」
 そう言った、フールさんを、ノルさんが、黙って引き寄せると、抱きしめた。
「長い間、よく頑張ったな。お前が、向こうに残って、努力し続けたお陰だ」
 ノルさんの言葉に、フールさんの目から、涙がこぼれる。

「……人族の侵攻は、食い止められたようですね」
 ミレイ様の声に、僕たちは、声の方向を向いた。
 そこには、ミレイ様と、タツナリ様が、静かに立っている。そして、エミリィさんと、リィノさんを、見つめていた。
「長、お願いします。私を、殺してください。私、もう、誰も傷つけたくない。それなのに、自分で自分を、制御できない。だから、お願いします」
 リィノさんの、必死の言葉に、ミレイ様が、静かに、涙を流す。

 リィノさんは、死ぬしか、救われる方法が、ないのだろうか。

「リィノさん。最後に、おとぎ話の世界に、入ってみたらどうでしょう。私はロボットですから、奇跡が起るとは、思っていません。ですが、仮にあなたが、ここで死んだとしても、皆の気持ちは、伝わると思います」
 チィは、そう言うと、僕を見た。僕の手が自然と、青いバラの、石に伸びる。そして、反対の手で、スモ爺のうろこで作った、首飾りを、握りしめる。
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