この世界で生きていく

Emi 松原

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レインボーローズ

1-3

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「……ロキ、すまなかった。辛い選択をさせてしまった。だが、私は、ロキがそこに立っていてくれることが、とても嬉しい。ありがとう」
「えっ……」
 機体から聞こえる言葉に、戸惑っていると、フールさんが、側に来てくれた。
「ロキくん。レインボーローズのマスター。君の、お爺様だよ」
「……おじい、ちゃん……?」
 僕は、レインボーローズのロボットを、じっと見つめた。
 頭では分かっていた。教えてもらった、おじいちゃんのことを。だけれど、実際に名前を呼ばれると、分かっているはずのものより、感情が先に来て、何故か、涙が出る。
「さぁ、終わりだ。国王」
 レインボーローズの、マスターの言葉が、機体から、響き渡りはじめた。



※※※



「メインコントールの、コントロール権は、無事に、こちらの手に渡っています」
「みんな、ありがとう。さぁ、虹のバラを咲かせよう」
 レインボーローズのマスターが、微笑んだ。
 そのまま、メインコントロールを使い、ギア王国の、全ての国民の、サポートロボットに、繋げる。
 避難している人々の前に、映像が流れはじめた。
 それは、ヴィーヴル王国で、チィが記録し続けていた、ロキの映像。
「ギア王国の国民たち。突然のことで、何が起きているのか、分からないと思う。きっと、この国が戦争をしていても、国民は、変わらず、生活できると思う。だが、聞いて欲しい。私の孫は、ギア王国で育った。何も分からぬまま、ヴィーヴル王国へと、行かされた。孫はそこで、大切なものを得た。それが、己の感情だと、私は思う。感情とは、厄介なものだ。喜んだと思ったら、悲しみがあり、嬉しいと思ったら、怒りが出る」
 突然、サポートロボットに、映し出された映像と、音声に、ギア王国の国民は、戸惑いながらも、黙って、その光景を、見つめていた。
「感情が、行動が、制御されたこの国は、確かに、一定の幸せは保てる。感情を持って、辛く苦しい想いをするより、その方が良いのかも知れない。だが、私は、私の孫が見せてくれた光を、諦めたくない。辛く苦しい想いをしても、前に進んだ孫だ。そして、サポートロボットを突き放す、覚悟までした」
 静かに語る、レインボーローズの、マスターの言葉は、ギア王国の国民、そして、ヴィーヴル王国で戦っている、ロボットからも、流れている。
「私は、ロボットに、コントロールされている、世界ではなく、ロボットに、サポートして貰い、己の決断で、生きていく国を、目指したい。それが、正しいことなのか、分からない。ただの、私の、エゴなのかもしれない。ただ、孫の笑顔を見ていて、確信したんだ。こんな笑顔の花を、国に広げたいと」
 その言葉と同時に、レインボーローズの、マスターは、合図を出す。
「これから、メインコントロールを、一時的に停止させる。そうすれば、今、ヴィーヴル王国を攻めている、ロボットを、全て、止めることができるからだ。それと同時に、ギア王国全ての、ロボットも、一時的に、停止する。ロボットのない世界なんて、考えられないと思う。だが、信じて、待っていて欲しい。全員、中央広場に、移動してくれ」
 その言葉と同時に、サポートロボットたちが、動き始めた。
 全員を、中央広場へと、誘導する。
 国民は、いつも通り、それに従って、スムーズに移動をした。問題は、この後だ。
 国民たちは、サポートロボットのいない、世界を知らない。何をすれば良いのか。どう待てば良いのか、何も分からないのだ。
「どうすれば良いか、分からないと思う。だから、全てを停止させたとき、隣にいる人の手を、しっかりと握りしめて欲しい。それだけで、きっと、伝わるものが、あるはずだ」
 その声を最後に、メインコントロールが、停止された。

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