【ライト官能】新しい義母さんに誘惑されて困ってます〜妖女たちに魅入られた僕の3,290日〜

向坂倫

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第二章 夢の生活

7 まさかの男の娘ラブ

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 沙夜さんとの三週間は、あっという間に過ぎた。明日には親父が帰ってくる。火曜日から始まった予備校での課題にも少しずつ慣れてきた。色彩構成と鉛筆デッサン。課題じゃないけど行き帰りの駅でそこにいるひとなんかを描いたクロッキーが、先生から褒められたりもした。吉田が持ってきてくれた、沙夜さんおすすめのココ・シャネルの伝記も読み進めている。新たな目標に向けた充実した日々が始まっていた。

 きょうは土曜日。学校も予備校も休みだから一日ゆっくりできる。そして笹田が家にやってくる。

「こんどの土曜日って、どうかな?」

「ちょうどよかったよ。僕も沙夜さんに相談したいことあるし。歓送迎会の時期も過ぎて、店もゆっくりしてるから、ホールの手伝いは休ませてもらって、ゆっくりお邪魔することにするけど、そんなんでいい?」

 笹田は近頃僕に時折見せ始めた、謎めかしい顔で微笑んだ。

 午前十一時きっかりに、玄関のチャイムが鳴った。

 玄関に沙夜さんが駈けていく。大きな赤い花柄のマキシワンピが、うきうきと揺れている。

「ええっ! なあに、かっわいいの。光がきっとびっくりするわよ。さあ上がって」

 また僕のこと呼び捨てて見栄張っちゃってるよ、とお湯を沸かす準備をしながら、リビングのドアを見やると、沙夜さんのうしろから、恥じらいながらひょいと顔を出した、黒髪ロングの少女。

「じゃん!」

 え? 笹田、妹でも連れてきた?

 ポットを持ったまま固まってる僕に、

「なにびっくりしてんの? ほら、玄くんよ! あなたのお友だちの。ははっ」

 と、沙夜さんが大笑いしながら、入れ替わりに少女のうしろに回った。

「やっぱりね! そうこなくっちゃ! 玄くん初めて見たときから、こんなことしちゃう子じゃないかなぁ、って思ってたのよ。ああ、大当たり!」と手を叩く。

 少女が羽織っていたコートを脱ぐと、沙夜さんはまるで侍女にでもなったみたいにそれをかいがいしく受け取り、ドア横のウォールハンガーにかけた。

 僕は少女の姿を正視することができずに、少女の白い手首の裏の、蒼く浮いた血管をただただ眺めた。

「きょうはあたしのこと、ハルって呼んでくれますか? 玄って名前はハルとも読めるのよ。それから、桜木は、らぎっち、でいい?」

「は? らぎっちかよ! まあいいけど……」

 笹田、いやハルは、胸の下まである長い黒髪を、さあっと背中に払って、持参した紙袋から、大事そうに大きな包みを取り出した。

「これお土産です。鴨肉のパテ、ミートパイよ。このあいだお店にきてくれた時に沙夜さん、鴨のコンフィをすごく気に入ってくださったから、そのことを父に話したら、持っていけって、今朝焼いてくれたの。これでみんなでお昼しましょ!」

「とりあえずサラダだけは作って、あとどうしようかって迷ってたのよっ」

 沙夜さんは小躍りして喜び、うしろからハルの華奢な両肩を手に包み、細い十本の指を王蟲の口ひげのようにもぞもぞと動かした。手をそのまま胸やら腰やらに降ろしたい衝動を抑えてるのが、丸わかりだ。だいたい、そのサラダ作ったの僕なんですけどね。

「ねえ、盛りつけるの手伝って! 鴨肉には赤ワインが合うけど、沙夜さん飲まないですよね。だったらそうねえ? らぎっち、濃いコーヒーお願いできる?」

 ようやく目が慣れてきた、というか雰囲気に慣れてきた。よくよく見るまでもなく、ハルは腰が抜けるほどの美少女だ。ブルーと紺ストライプの大きなリボンタイ、半袖ブラウスに短すぎない膝上丈のスカートという夏服JKスタイルで清楚にキメている。ビッチな感じが全くないところが、むしろそそられる、ってとこか。学校で笹田にふざけて纏わりついていたやつらは、こんな笹田の一面をすでに見抜いていたのかもしれない、などと思った。

 それにしても、どうした笹田! 完全に女言葉だし、声だって、変な裏声ってわけじゃなく、どう聞いても女の子そのものだ。

 キッチンでコーヒーの準備をする僕の隣にハルがやってきた。制服に身を包んだ体からいい匂いをさせて鼻歌を歌いながら、ミートパイを大皿に盛りつけ始めた。

「なあ笹田、なんで声女なの? あと、その髪、かつらか?」

「ハルって呼んで、照れくさいから。それから、声は特殊なボイトレ、髪はホールのバイトで買った人毛ウイッグ。ちゃんと美容室でカットしてもらったんだよ」

 ハルは僕に身を寄せ、囁くように続けた。

「触ってみたい?」

 ハルの肩が脇腹に当たる。僕より頭一個分ほど低い背丈の、ハルの自然過ぎる頭のつむじを眺めながら、僕がそっとハルの髪に手を伸ばしかけると、

「あ、ごめん大丈夫、だったよね?」

 そうつぶやいてミートパイの載った大皿を持ちすっとハルは立ち去った。

 ハルとミートパイ、いい匂いのふたつの残り香が混ざり合う。

 キュンと胸が鳴る。なんだこの傷心感!

 この前あいつの家で、お相手を断ったのを根に持ってやがるんだ。

 それにしてもああ迂闊! 女子相手にそんな傷心な思いをしませんようにと、男子校という環境にかまけて男女のあれこれから遠ざかりエロに逃げていた。そんな無防備な心を不意に切りつけられてしまった。しかも相手は女装男子。いわゆる男の娘。初体験を済ませ男になった慢心から油断してしまったのだ。ちくしょう、目眩がする。ああ、めんどくせー。

 なんとか気を取り直しテーブルに着く。向かい側には沙夜さんとハル。沙夜さんは「取り皿はこっちの大きさの方がいいかしら?」とか、「コショウとかいる?」とか、「パセリを追加で散らしたら彩りいいかも」など、賢母を気取って、ハルにボディタッチを繰り返している。ハルはハルで、そんな沙夜さんの胸に頭をもたげたり。なんか羨ましい。

 何度も繰り返すけど、男子校という環境の中で、僕がエロに逃げているあいだに、笹田はおっさんたちに体を預け女を磨いて、愛らしいハルとして今ここにいる。どういうわけか、出遅れた焦りのようなものを感じた。

 そんな中でもハルは、

「あ、この大きく切ったの、らぎっちのね。たくさん食べるでしょ」などと、かわいい気遣いを繰り出してくるので、思わず目がハートになりそうでさらに焦る僕。

「うーん、お肉が濃厚!」

「契約農家から取り寄せてますからねー」

 休日の静かな部屋におごそかに響く食器のすれる音。優雅なランチタイム。 

 ミートパイの美味しさに誰もが無言になり始めた頃、おもむろにハルが口を開いた。

「ところで沙夜さん、……ひどいですよ」

「え?」

「僕に隠れて父さんに会って、僕のこと聞き出してたの、知ってるんですから」

 なごやかだった空気がさっと張り詰めたものになった。

 少しの沈黙のあと、沙夜さんがなんとか口を開いた。

「ご、ごめん。でもわたし……」
 
と、口ごもる。続けてどう話そうか考えあぐねてる様子だ。

「はじまりは僕が唯さんにメールで送った沙夜さんの写真でした。この前店にきてくれた時のやつです。新しい友だちができましたってくらいの軽い気持ちで近況報告に添えて送ったんです。そしたら唯さんからすぐ返事がきて、『わたしの先輩、わたしのマブダチ。連絡とりたいわ』って書いてありました」

 ハルはとつとつと語り、スマホを取り出して沙夜さんに唯さんの電話番号を教えた。

「ごめんなさい。お知らせするの遅くなって。ほんとうはすぐにお知らせしようと思ってたんです。でも、ちょうどその日、父さんから、きょう、唯さんの友だちが訪ねてきたって話を聞いて、まさかこのひと?って同じ写真を父さんに見せたら……」

 ナイフとフォークを皿に投げ出して、うつむいてしまったハル。 

「なんで僕のこと、こそこそ調べるの? みんなして僕の顔色窺って。……僕なんか悪いことした? 学校には休まず通ってるし、店だって手伝ってるし、もちろん犯罪なんて犯してないし……」

 そこで沙夜さんは立ち上がり、躊躇することなく、うしろから包み込むようにハルを抱きしめた。

「違うわよ玄くん。みんな玄くんのこと心配なのよ。もう大人なんだから、わかるでしょそのくらい……」

「ハルって呼んでって言ったでしょ!」

 そう叫んでハルは沙夜さん体を振り払いソファに逃げた。

「もおーういやあだあ、なにその上から目線! ムカつくんですけどっ。あんたたち、ひとのこと言えないよね? 家庭内不倫しちゃってるくせに! そのくせあたたかい家族みたいな空気かもしちゃってて笑っちゃう。中学の時、父さんが連れてきた三人目の奥さんなんて、僕のこと弄んで、僕が父さんにそのことしゃべったらすごく怒って、僕をなじって、殴って……。そんな大人になんか、なりたくないもん」

 そしてハルはとうとう泣き出してしまった。

 おまえそれで、こじらせちゃってたのか? 唯さんが『もう離さない』って書いてた真意を理解した気になった。沙夜さんどうする? でもまあ沙夜さんのことだから、きっと大人の包容力でなんとかこの場を収めてくれるに違いない……。

「それって、ちょっと違うんじゃない?」

 だが、僕の予想に反して沙夜さんは冷たく言い放った。

「あんた、その三人目のお母さんと、いいことしたんだよね。弄ばれただなんて、楽しませてもらった、の間違いでしょ?」

 すると、うつむいていたハルが、前にしゃがむ沙夜さんに向かって挑むように顔を突き出した。 

「ずずっ。なあに? 自分を正当化? 大人は怖いですねっ。理解を超えた、大人の世界ですよね。……沙夜さん学者さんだから知ってるでしょ。世界中の常識を超えたいろんなこと。兄弟三人でひとりの奥さんをめとったり、お客さんに自分の奥さんを接待で差し出したり、そしてここにも、ははっ……」

「おまえ、ばかか? ネットの情報をうのみにしてんじゃねえよ! ああ、こいつめんどくさい!」

 あ、沙夜さん、なんか切れた!

「あんた、そんなひとたちと話したことあるのか? 稼ぐ術がない。分け与える土地がない。だから兄弟協力してひとりの女性を幸せにするんだよ。マサイ族の接待の話は有名だけど、現在はもっぱら言葉だけの社交辞令だし、そんな接待が必要なくらいの対人社会の厳しさが過去にあったってとこに、考えが至らないのか?」

 沙夜さんは震えるハルの手に自分の手をそっと重ねて、続けた。

「あと、さっきのはちょっと言い過ぎた。ごめん。……でもさ、なんでお父さまに言っちゃったの? 怖かった? 不安だった? それとも、得意になっちゃったとか。……きっとそのお母さん、裏切られて哀しかったんだと思うよ」

 そこまで聞くと、ハルは声を上げてしゃくり泣き始めた。いつもの笹田の声に戻って。

 沙夜さんは、しばらくそっとしておきましょう、って感じで僕に一瞥してから、スマホを操作し電話をかけ始めた。

「あ、もしもし、そうそう! わたしよ。わかる? そう、番号変わったのよ。知らせたつもりだったのに、ゴメーン。全然連絡ないからおかしいと思った。そう。久しぶりよねえ。そっちは今何時? ああ、じゃあ大丈夫だね。うんうん……」

 どうやら、さっき番号を聞いたばかりのシアトルの唯さんと話しているようだ。けっこう仲よさそう。ハルが『マブダチ』って言ってたような、空気に負けてツッコミ損ねたな。沙夜さんって元ヤン? 時代が違うか? まあいい。

「うちの子? そう、光くん。とってもいい子なのよ。こんど日本に帰ってきたら紹介するよ。うんうん……」

 ぜひお願い!

「ばあか! そんなの、ベッドの上だけにして! うん、そう、懐かしいなあ……」

 どこかで聞いたせりふ! 沙夜さんはさっきのことなんてなかったように、楽しそうに大花柄のマキシワンピを揺らせて、ダンスするみたいに思い出に浸りながら、スマホを耳に当て部屋の中を立ち動いてる。

「玄くんさあ、かわいいじゃなぁい。羨ましいったらないわ。そうそう、そうよねえ……」

 僕はソファでようやく泣き収まりかけているハルの横に座って、話しかけた。

「なんかさあ、保護者会みたいになってんだけど。……まあ、あんなひとだからさ、突き詰めて考えない方がいいと思うよ」

 ハルはコックリとうなずいて、僕の肩にもたれかかった。ああ、いい匂いの美少女。こいつがほんとうの女子だったら、いいのにな。そんなことを思う。

「らぎっちぃ、あのね……」

 なんだ、女子のふりはまだ続いてんだな。けっこうメンタル強いなおまえ。

「あたしね、あのね。女の人で勃たなくなちゃってるんだ。ほんとはそれ相談したくて、ここにきたのに……」

 親父とおんなじEDの悩みか? だがしかし、泣きはらした顔の黒髪ロングの清楚な美少女に『勃たない』って言われてもな。……それも、まあいいか。

「でも、おっさんなら勃つんだよな」

「うん、まあ、それなりにビンビン?」

 美少女は、キラキラと謎めかしい瞳をこちらに向けて、ほんの少し笑顔を見せた。

「やだな父さん。みんなしゃべっちゃったんだよね。恥ずかしいったらない!」

「秘密知られて、やだった?」

「うーん、そうでもないか。むしろ手間が省けてよかったのかも。そこんところから話してってなると、きっと相談する勇気出なかったと思うし」

「学校の誰にも、誰にも言わないから、心配すんな」

「らぎっち、やさしい。惚れちゃいそう」

「おまえ、そうやっておっさん籠絡してるんか?」

「籠絡なんて難しい言葉知ってるんだね。ふふ。そんなことしなくっても、パパたちみんなやさしくしてくれるし、ウイッグ取れちゃっても『大丈夫だよー』ってそのままキスしてくれる」

「パパってか? お小遣いとか貰うとか?」

「あげるっ言って、出してくるひともいるけど、貰わないの。だって、なんて言ったらいいのかな、うーん……」

「ああ、言わなくてもわかるよ。そうだよな」

「やっぱ、らぎっちはこっち側の人間だね。でも、きょうわかったんだ。こっち側の中にもまた、こっち側とあっち側があることが」

「なに? 根に持ってんのか?」

「ううん、そんなことないけど。僕って白黒はっきりさせたいタイプだから、いつもしなくていい嫌な思いしちゃうんだよね」

 なんだ、自覚あるんじゃん。いつも学校のホームルームの時間にめんどくさい問題提起をして煙たがられる笹田だけど、そんな頭で自分にも問題提起してるとすると、そりゃ疲れるし、現実逃避だってしたくなるかもな。そんなことを思った。

 そうこうしてるうちに、沙夜さんの電話が終わった。

「あーあ、懐かしかったっ。ああらいつの間に、しっぽりいい感じなのよあんたたち。……もう、コーヒー冷めちゃったから、光、また淹れて。こんどはあんまり濃くないやつでね」

 立ち上がりながら、僕はハルに耳打ちした。

「さっきのこと、母さんにすぐ伝えるよ。もう一回言うの恥ずかしいでしょ」

 ハルは柔らかな笑顔をつくって、うなずいた。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「うわあ! 沙夜さん、もう勘弁して! あたしもう、あたしもう……ああっ!」

 数分後。にわかに信じがたい光景が、目の前に展開していた。

 清楚な黒髪の美少女が、巨大なディルドを装着した女に、うしろから犯されている。

 女はもちろん沙夜さんなわけだが、それを受け入れがたい僕の脳が、沙夜さんを得体の知れない女として認識してしまっているのだった。

「あああ、ダメ! そこダメっ! わああっ」

 あえぎ声というよりもはや絶叫。

「光、なにしてんの? はやくこの子の口を塞いじゃって! なんて大きな声なの。ご近所に聞かれちゃう!」

 ハルは家にきた時のままのJKスタイル。沙夜さんは全裸だ。結合部のチェックスカートの合間から、沙夜さんの腰に装着された、テラテラと光る黒革のハーネスが見え隠れしている。

 明日の昼には親父が帰ってくる。沙夜さんとふたりでゆっくり過ごせる最後の日なのに、僕たちはなにをしてるんだろう。

 おととい、沙夜さんが待ちわびた自作ディルドキットが届いて、最後の夜にゆっくり作ろうって、約束したけれど、もしかしてこれは長引くかもしれない……。

 ――沙夜さんと唯さんの電話が終わり、僕たちはなにごともなかったかのようにランチの続きを楽しんだ。ハルが食後のお化粧直しに立った隙に、僕は沙夜さんにハルこと笹田がきょうここにきたほんとうの目的を打ち明けた。

「あーあ、お腹いっぱい。超幸せ!」

「なんか眠くなっちぃそうだね」

 ダイニングテーブルからソファに移動して、食後のリラックスタイムに入ったところで、沙夜さんがハルにこう切り出した。

「ハルちゃんほんとうは、光のこと好きなんでしょ。いいわよ! 誘惑しちゃっても」

「ええっ? そんなぁ」

「性的興味も好きのうちだわ。だからほら、こうやって……」

 沙夜さんはハルの白く細い腕をつかみ僕の股間の上に載せ、とろんとした瞳で僕にわざとらしい笑顔を向けた。

「なにいきなり。お悩みレッスン始まったとか?」

「じゃあ、わたしお手洗いいってきまーす」

 と、またまたわざとらしく言い放ち、リビングを出ていった。なに? このまま放置?

 ハルは特に嫌がるそぶりを見せずにそれに従っている様子。僕の股間に手を載せたまま、耳元で囁く。

「なんか変なこと強要されちゃってるんですけどぉ。アメリカのポルノであるでしょ、えっちな熟女ママが若いカップルにいろいろ教えるやつ。そんなのがしたいのかな? 沙夜さんって」

「なに? ハルはそんなの観るの?」

「アダルトサイトに唯さんの動画よく観にいくから、その時にね。らぎっちも唯さんの動画観たんでしょ?」

「なんだ。知ってたのか? 知らないと思っててどう伝えようかちょっと焦ってた」

「心配かけちゃったかな。だから僕はこっち側って言ってるじゃない。……唯さんって僕のことはなにも聞かなかったけど、自分のことはなんでも話してくれたよ。あんなひとが父さんのカノジョさんなわけない。やっぱあれは偽装だよ。父さん、女にはだらしないけど根は常識人だから」

「シアトルへは、唯さんに会うため? それとも写真の勉強?」

 すでに素性の知れた唯さんに不安はないけど、あとは笹田の心構えだけが気になる。

「そりゃ両方だよ。いろんな意味で唯さんといると、僕もっと変われる気がして。規格外のひとのオーラはすごいよ。あやかりたいって感じ」

「唯さんもこっち側のひとってわけな。でさ、唯さん家にいるあいだに、ふたりでなんかいいことしたわけ?」

「ふふ、そこは内緒でお願いします」

「まあいいや」

「でもね、こっち側の相談はこっち側のひとにしないと始まらないでしょ。だからきょうここにきたのに、ばかだな僕。君たちがあんまりにもいい雰囲気だったから、妬んじゃったんだよ、きっと。反省してます」

「いいって。それよか、さっきから、僕、僕、って。ハルは女の子じゃなかった?」

「なあに興醒め? それともじれちゃった? らぎっちヘンタイ? そんじゃ、お望みどおりに、こっち側らしく、実験、してみよっか?」

 実験な。

 股間の上でずっとじっとしてたハルの手が動き始めた。ゆっくりとペニスの位置を確かめてから、おもむろに握りしめられる。

「あんまり硬くなってませんね。その気がないならやめちゃうよ?」

「ああ、ダメ。なんか胃袋がせり上がってくる感じ。初めてだから緊張してるんだよね」

「リラックスして。……緊張ほぐしにあたしの胸、触って?」

 そう言って僕の肩にすりつけてきた薄い胸に、僕は手のひらを覆うようにあてがった。

 あれ、なんか、ちょっと柔らかい? まるで胸が膨らみかけの少女みたい、ってそんなの触ったことないけど。

「ブラ、着けてないのか?」

「うん。最初のうちは着けてたんだけど。ごわごわするし肌荒れちゃうし、でもね、……この方が乳首に生地がすれて気持ちいいの。きょうもバスに乗ってつり革握ってたら、揺れて、あっ、ってなった。ふふ」

「じゃあ、刺激してやるよ」

 指先で探ると乳首はすぐに見つかった。僕なんかよりずっと大きい。そのまま指の腹でそのコリコリを捏ね回してみる。

「はあん、あ、あ、あっ……」

 耳元で、かすかに囁くようなあえぎ声。

「おまえ、乳首も胸も育ってないか?」

「やだ、ばか。恥ずかしい」

 去年の修学旅行で、女みたく頑なにバスタオルで全身を覆って風呂に入ってた笹田の姿を思い出した。

「なに? 変なこと思い出してない? それはいいからさ、ねえ、キスしよ?」

 えっ? キス? こいつと? まあ、すでにこの状況だ。キスするのが自然の流れかもしれない。

 ハルが目を閉じて顔を近づけてくる。間近に迫ってるのに少しも圧迫感がない。どこかの部族が昔作ってたっていう干し首みたいに小さな顔だなと、あらためて思う。しかもいい匂いがする。初々しい少女との初キスは、やっぱこうでなくっちゃ、なんて、もうひとりの自分が囁く。

 ハルの唇に軽く唇を重ねる。柔らかい。ふと綾のことを思い出した。

 触れ合う頬に挟まれたハルの黒髪がざらっと音を立て、それをきっかけにしてハルの口に舌を差し込んだ。

 ミントの甘い香りと、不安そうに逃げる舌先。

 そういや前に吉田が言ってたな。乳首オナニーをやり過ぎると男でも女性ホルモンが分泌されて胸が膨らんできてお肌がツルツルになるらしいよ。ハルとおっさんたちの情交シーンが脳裏に像を結び始めて困る。ああ、沙夜さん遅いな。

「らぎっちの舌エロいぃ。すごく動くぅ。ああ、感じてきちゃったみたい」

 己の舌が力強くひとりでに動く。ああ! スイッチが入ってしまった。

 僕はハルを押し倒して首筋を舐めながら、シャツのボタンを外せるだけ外して、乳首にむしゃぶりついた。

 あ、思ってたよりフワフワな乳首。舐めると硬くなりやがる。うめえ! 一人前に横乳だってありやがる、とそこに何度も舌を這わす。うわあ、うめえ、ツルツル肌!

「ああん、や、や、気持ちいいっ……」

 ついでに腕を持ち上げて押さえつけ、腋の下を舐める。おおっ、毛なんか全然ない! 少女の腋、ちょっと酸っぱい感じ。うわあ、うめえ!

「ひゃ、ひゃっ。わあぁ、らぎっち好き! ああ、やめないで、もっと! もっと!」

 唾液がはぜるいやらしい音。オレやっぱヘンタイかも。

 と、突然、背中に衝撃! 痛てえ!

「光っ、なにやってんのさ? ハルもうるっさいよ! 光の部屋にいても聞こえるわよ」

 え? 沙夜さん帰ってきた? このままエッチなティーチング熟女ママするんじゃないの? 僕、蹴り入れられてる? めちゃ痛いんですけどっ!  

「なあに光、散々めんどくさくこだわっといて、なに裏切ってんのよ。もう、チ×ポだって出しちゃって、しかもビンビンじゃないよ? さあ、ここ座れっ」

 沙夜さんは僕を座らせ、マキシワンピをたくし上げ着衣のまま一気に挿入した。

「うわっ! いきなりかよ!」

「ああああ、気持ちいい。今までで一番気持ちいいかも知んない」

「やだぁ、や、や、やっ……」

 ハルはドパーミンをたっぷり分泌したイッちゃった顔で、ゾンビみたいに力なくふたりに纏わりついてくる。

「ダメですよー。光はわたしのものだもの。……それからね、忘れないうちに言っとくけど、ハルちゃんさ。世界の常識非常識とわたしたちって、全然関係ないからね。わたしも光も好きだからヤッてるだけだからね。ヤリたくてヤリたくて、我慢できなくて耐えられなくて、ただヤッてる。三番目のお母さんだってそう。ハルちゃんだって、もちろんそうでしょ!」

「もう。そもそも母さんが仕向けたんでしょ! ハルがかわいそうだよ。なあ、ハル、これから三人でいいことしような」

 その場しのぎに僕がそう提案すると、

「待ってたわよ、その言葉。いいわね3P。わたしもハルちゃん味わいたいわ。ねえ、ハルちゃん、きょうのあなたは、男の子? それとも女の子?」

「お、お、女の子ですぅ。ううっ」

「光くぅん。女の子ですって! じゃあいいよね。わたしだって楽しむ権利あるわよね」

 たしかに沙夜さんは他の男には興味ないって言ったけど、女に興味ないとは言わなかったさ。でもそんなのアリか?

 勝ち誇ったように爛々と茶色い瞳を輝かせて、沙夜さんは僕を残したまま立ち上がり、ハルの首根っこをつかんで、スマホ片手にリビングを出ていく。

「用意ができたらスマホで呼ぶから待ってて! ハルちゃーん、むこうでゆっくり楽しもっか? それではアデュー」

 ふたりは去った。それにしても沙夜さんは、いつものラストスパートみたいに締めつけが半端なかった。根に持ってたのは沙夜さんの方だったか。アデューはフランスでは永遠の別れの挨拶なんだぞ。軽々しく使うな! ああ、なんか切ない。というか、ハメられたんだ僕は、沙夜さんに。悔しい!

 ――「うあああーっ、あっ」

 沙夜さんからの連絡を受けるよりも早く、僕は自室のドアを開けた。どうしても看過できないくらい大きな声が聞こえ始めたからだ。

「母さん? なにしてんのさ?」

「見りゃわかるだろ! キスでもチ×ポでもどっちでもいいから、さっさと口塞いじゃって!」

 沙夜さんと初めての夜を過ごしたあのベッドの上で。なんてことだ! カーテンは閉められているけど日はまだ高い。ことの一部始終が否応なく見渡せる。

 僕はしかたなくハルの正面に座って、震える小顔にキスをした。  

「うぐっ、むあぁん、うぐぁ、うわあああーっ」

 生半可な軽いキスでは、この声はどうにも抑えきれない。思い切り舌をねじ入れる。しかも沙夜さんが少しでも動いたら、ハルの歯が僕の歯に当たって危なっかしい。僕はウイッグを引っかけないように気をつけながら、両手で小顔を包んで、ハルの口を塞いだ。

「うう、ぐぐ、ん、おわっ、おわっ、おわっ……」

 そのうちにハルの声も幾分おさまった。

 口を離すとハルが僕の肩にしがみついてきた。そこで目が合った。

 なんか幸せそうな顔しやがって。

「やっと落ち着いてきたわね。……もう、ディルド三つ見せてどれにするって聞いたら、クリスがいいってさっ!」そう言って軽く突く。

「はうっ!」

 クリスとは黒人仕様のクリストファーのことだな。ははっ。ディルドに名前なぁ。でもまあ、こういう局面では一言でわかりやすくていい。 

「らぎっち、実験! ああっ! ダメっ」

 また、突かれた! でもなあ、アナル挿れられてるんだよな、おまえ。

「チャレンジ精神は買ってあげるけど、やっぱりクリスじゃ余裕がなさ過ぎて教えにくいわ。ハル? 一回抜くわね」

 そう言って沙夜さんはクリスを、急所に突き刺さった短剣を引き抜くみたいに、ゆっくりと抜いた。

「はああ、あっ、あああっ」とハルが眉間に皺を寄せ、切ない声を上げる。

「母さん? 真っ裸じゃない。これはもうルール違反なんじゃない?」

「しかたないわよ。ちゃんと教えなきゃなんないもの」

「ハルは女じゃ勃たないって言ってるんだよ。それなのにどうしてアナル突いてんだよ?」

「ものには順序ってのがあるの! まあそっち座ってゆっくり見てなさいよ」

 と、ハーネスからクリスを外して、代わりにひばりくんを装着した。

「ハル? ゆっくり挿れるから、感想聞かせて。いい? こんどのは細いけど奥までしっかり届くからね。ほうら……」

 ロングタイプのひばりくんが、ゆっくりとハルのおしりに埋まっていく。

「ああ、入りました沙夜さん。すごくスムーズ」

 ハルが少し落ち着きを取り戻してきて、やりとりに加わる。

「そりゃそうだよ。体の軸に沿ってゆっくり挿れてるもの。そろそろ奥よ」

「あ、気持ちいい。おしりの中がドクドクいってます。ああ、早く突いて欲しい」

「じゃあ、ゆっくり突いていくね。もう大声はなしだからね。そりゃあんな大声出されたら、あなたのお父さまだって、誰かに救い求めたくなっちゃうわよ。どう、わかった?」

「もおーう、恥ずかしいっ。……あっ!」

「いいわねえ。ああ、わたしも、ああ、とっても気持ちいい」

「沙夜さんも? ……はあっ」

「そうよ。なぜなら今わたしは、あなたに感情移入してるんだもの。あなただって、おじさまにフェラしてる時、自分もいい気持ちになったんじゃないの?」

「あ、あっ。……そう、ね。そうかも。ああっ」

「おたがいに感情移入して、満ち足りるのがセックスなのよ。同性同士でも、男女でも、それは変わらない。わたしも光と寝て、よくわかった」

 沙夜さんは腰をゆっくり前後しながら、そっとハルのスカートをたくし上げた。

 うわっ、巨根! でかい! 嘘だろ?

 勃起したハルのペニスは、僕のよりずっと大きい。

「すごいでしょ光。十年にひとり、いや百年にひとりの逸材だわ。唯ちゃんが離さないわけね」

 と、手を伸ばしてハルのペニスを握り、鈴口から染み出たカウパーを塗りつけて、しごき始めた。

「ああん、沙夜さん、気持ちいい」

 ハルが沙夜さんの方に見返って、目を細める。

「さっき電話で唯ちゃんから了解もらったからね。気に病むことはないのよ。あんたを男にして、シアトルに送り出してあげる」 

「沙夜さん、お節介なんですけどぉ。ああっ、もうなんて答えていいか、わかんない。ああん」

「ごめんねえ。こんな性格で。ほらっ」

「ああっ、ああああん」

 女子校生の清楚な白シャツをまくり上げ、首を伸ばして背中に舌を這わす沙夜さん。

「はううん。うわぁああ……」

 体をのけぞらせるハル。

「ね。予測不能な動き。おたがい感情移入してるつもりでも、わからないことが、まだまだいっぱい。そんなもどかしさも、セックスのスパイスよね」

 沙夜さんはそう言い終わらないうちに、腰を激しく動かし始めた。

「ああ、あっ、あっ、あっ、あっ……」

「切ないでしょ? なんで? どうして? それはあなたがわたしに、すべてをゆだね切ってるからよ。……不安よね。怖いよね。それに耐えているうちに、ふと、快感がくる。あ、気持ちいい。なんでだろうね。相手もそれを瞬時に察して、より気持ちのいい方向に、導いてくれる。あ、わかり合えてる、って思う。このひとと繋がってるって思う。その感動はすぐさま、相手にも伝わって、相手も満ち足りる。セックスってその繰り返し。……どう、わかる?」

「ああ、奥が、奥が、気持ちいい……」

「そうよね。あなたが奥がいいって、体全体で言ってるんだもの。言葉にしなくてもわかるもの」

 沙夜さんはレッスンを執り行ってるようでもあるし、自分に言い聞かせているようでもある。力強く的確な腰使いは僕に、雑に腰振ってんじゃないよ、と見せつけてるみたいに思えた。

「さあて、このくらいにしないと、ハルちゃん、残らず女になっちゃうわ。さあ、交代よ。仰向けに寝て」

 と、ディルドを抜き、ハーネスを外しながら、沙夜さんがこっちを見る。

「手伝ってくれる?」

 カーテンから漏れた光が一筋、沙夜さんの顔を両断するように照り輝いている。

 交代って?

「そうよ。こんどはわたしが受け入れる番」

「やだ! ダメ。そんなのらぎっちに、らぎっちに悪いもん。あとは唯さんと……」

 話を聞きつけてハルが騒ぎ出す。

「ダメよぅ! このままだと、あんたまたすぐに、おじさんに走るわよ。そりゃさ、おじさんもいいのかもしれないけど、女だっていいんだからね。これは女の意地の問題。とりあえず、わたしを唯ちゃんだと思って、ね!」

「やん、怖いっ」

 仰向けに寝てはみたものの枕を抱えて唸っているハル。JK少女の股間から生えた勃起し脈打つペニスがどうにもシュールだ。

「よかった。まだちゃんと勃ってる。光くん、これ着けたげて」

 と、僕にゴムを真顔で差し出した。

 え、僕が着けんの?

「光くんが着けて。そうすることで納得してもらいたいの。ダメ? これきりにするから。お願いします」と、ハルに聞こえないくらいの小声で囁き、僕を見つめる。

 沙夜さんらしいな、と思う。

「着けたらあと、ローションもね」

「もしかして、アナルに入れるつもり? こんな太いの」

「だって、あそこは、やっぱりね。アナルの方はディルドでなら経験も、まああるし。……チャレンジしてみるわ」

 僕は一息ついて、ハルのペニスをつかみゴムを装着した。なに? すっげ硬い!

 ローションは沙夜さんが手で受ける。

「さあ、挿れるからね。さあハル、男になるのよ!」

 清楚な制服少女から生えた巨竿に、沙夜さんの体が、少しずつ沈んでいく。

「ああっ、きつい。でも大丈夫だから。ああ、光、こ、こっちに……」

 騎乗位体勢のまま苦痛に顔を歪める沙夜さんの、宙に差し出された手を僕はしっかりと握った。

「あああ、あっ、ああ、入ってくぅ……」

 いっぱいまで沈み込んだところで、沙夜さんの息が止まった。

「…………く、くぅ、はあああああぁっ」

 と、一気に吐き出す。

「どう? 入った?」

「……もう、うっ、いっぱい。いっぱい入ってる。……あ、やん、はぁん。ピクピク動いてるっ。ああん、気持ちいいかも」

 ハルが抱え込んでいる枕を剥いで、僕は話しかける。

「どうだ? 入ったぞ!」

「やあだあ、もう……」

 と、ハルが突然、クスクス笑い出した。

「え? どうした? いい感じか?」

「く、くっ、沙夜さん、わざと締めてくるよ。なにこれ、気持ちいいんですけどぉ」

「あっ、わわ、はあん。ハルったら、力込めないの。ばかぁ」

 沙夜さんの締めつけに、ハルが応えている。

「母さん余裕だな! なに満ち足りたいい顔してんだよ! もう。……おい、ハル? 下から思いっ切り突き上げてやろうぜ、こんな先生」

「ふふっ、らぎっちぃ、キスして。そしたら頑張れるから」と甘え声で舌先を差し出す。

 かわいいやつ。無垢な小顔に僕は口づける。子供みたいな小さな舌が絡んで悦ぶ。そして口づけが終わらないうちに、ハルの腰が動き始めた。

「やっ、あっ、あっ、ダメぇ、ダメだって、あっ、あ、あ、あああ……」

 沙夜さんの体が上下する。そして、その速度が少しずつ速まってくる。

「あああ、ダメ、ダメ、止めてっ、止めてっ」

 Gカップのバストが大きく揺れる。握った手が遊び始める。

 沙夜さんの体が、乗馬マシンのパワー全開って感じ大きく揺れている。

 小刻みな突きの中にランダムに大きな突きを交えながらハルの腰は動く。こんなにも華奢な体のどこにそんな力を秘めてるんだ? 信じられない!

「はあああん。あうっ、うぐぐ……」

 突き上げがふっと止まる。沙夜さんがとたんに体を蛇のようにくねらせる。太ももの肉が細かにビブラートしている。

「はあっ、あっ、すごい。イッちゃった。おしりでイッちゃった」

「予測不能だったね。すごいな。ハル? どうだ、疲れちゃった?」

「はあ、はあ、……ご褒美の、キス、……して」

「おまえ、キス好きだな」

 ゆっくりと舌を絡ませていると、

「らぎっちぃ、唾、唾もちょうだい」と舌を伸ばしてせがんでくる。

「さらにヘンタイだな。……ほうら」

 けなげな顔で滴った液を口に含んで弄ぶ。

「ねえねえ。沙夜さんの中、あったかくって、ふわふわになってきた。もっとしてもいぃい?」

 なんか余裕だねえ。ハル。

「やん、また力込めたわね。すごいわハル。もう立派に男よね」

 軽口も束の間。ハルの腰がふたたび動き始めた。

「うあっ、あん、あん、やだ、やや、はああっ」

「ははっ! なあに母さん? セックスはどうだとか感情移入だとか、心に響くかっこいいこと言っといて、ハルに泣かされちゃってるぜ。覚悟決めたまではよかったけど、結局、座ってるだけだしな。ハル? もっと犯ってやろうぜ!」

 沙夜さんが口の端のよだれを散らし、声を張り上げ始めた。汗に濡れた体がてらてらと輝く。

「あっ、あっ、あああっ、ダメ! ムリムリムリ! もうムリよっ!」

「うっるさいなあ母さん。ご近所に聞こえちゃうでしょ。口塞いじゃうよ」

 僕はいきり勃ったペニスを、腑抜けたように開いた沙夜さんの口にねじ込む。

「わう、うぐ、うっ、うっ、うぐうううぅ」

「うわ、すげ! 母さんの口の中、バイブみたいに震えてる! 気持ちええっ!」

「わあああ、なんかとまんない! 腰が勝手に小刻みに動いちゃうよ」

「おっとハル、スイッチ入っちゃったんじゃね?」

 沙夜さんは執拗な奥突きと僕のイラマとを同時に受け、四岐を揺らせてとうとう白目を剥き始めたが、それでも震える手で僕の足首を懸命に握った。

 ふたりとも、このままイキなさい、ってことね。了解!

「はっ、はっ、オレ、なんかイキたくなってきたぞっ! ハルはどうだ?」

「うん、あ、あ、あたしも、あ、イキそう!」

「母さんもう、イッちゃってるっぽいから、ふたりで一緒にな。なあ、ハル?」

「う、うん! ああ、あ、あ、あ、……」

「オレもっ!」

「うっ、うっ、うぐぐっ、はああああ……」

 ……そして、みんながイッた。

 ぐったりと倒れ込んだ沙夜さんが、そのままハルの唇を塞ぐ。僕が放った精液をシェアしてるのかな?

「僕を仲間はずれにしないでよ」と、ふたりのあいだに割って入る。

 汗の匂いと、かすかに栗の花の匂い、それからハルのいい匂い。

 制服のシャツをはだけさせて、ハルの乳首を吸う。さっきよりもコリコリが硬くなってる。ついでに横乳も丹念に……。

「もう、らぎっちぃ、やあらしい。ああん」

「おまえ、かわいいな。男になるのもったいないよ」

「いいんじゃない。両方兼ね備えたままで。百年に一度の逸材だもの。最強だわ!」

 平静に戻った沙夜さんが僕たちに顔を寄せて笑う。

 なんだか不思議な連帯感が漂う。




 そのあと、ベッドの上で身の上話タイムになった。

 沙夜さんは、唯さんやその他諸々、僕がすでに聞いた話も含めて寄宿舎での思い出を語り、ハルはおじさまに走った顛末を語った。

 SNSの裏アカウントに女装姿をアップしていたハルは、そこで知り合った人物の紹介で、ハプニングバー形式の男の娘バーに出入りするようになった。そしてじきに男どもが群がり始めた。まあ、そりゃそうだ。

「おじさんは一生懸命でなんか癒やされる。脂っぽい禿げも舐めるといい味」などと、ははっ、ずいぶんとツウな事を言う。

 笹田と唯さんとのことも聞き出せた。

 唯さんはきたその日から、笹田にべったりだったこと。レストランの食材倉庫でユニフォームの上から股間を頬ずりされたこと。遅い夕食後に居眠る親父さんの横でチ×ポを舐められたこと、ほか諸々。いつまでも勃起することのないチ×ポに、涙ぐましい献身で応えた唯さんは、きっといいひとに違いない、と思った。

 僕の話といえば、このあいだまでまっさらだったわけだから、特に話題なんてない。しかたがないので、これまでのオナニー遍歴を面白おかしく語り、大いに笑いを取った。

「ハルさ、おまえのチ×ポすごいな。思ったんだけど、アメリカでジュエルさんとビデオで共演したらどう? きっと人気出るよ」

 そんな話をしていると、沙夜さんが言った。

「あ、ディルドキット届いてたよね。それハルちゃんので作ろうよ。どう? 最強でしょ?」

 悔しい。でもしかたない。まあ、僕ので作ったところで、沙夜さんと綾のおもちゃになるだけなのだから、まあいい。

 ハルは僕が乳首を舐めるとすぐに勃った。笑いをこらえながら、型取をりして、シリコンを流し込んで、すべて共同でおこなった。

 楽しい時間が過ぎていった。

 ついでにスマホで記念写真を撮った。ハルの漲る巨根を真ん中にして、沙夜さんと僕がVサインを送ってる、みたいな。

 そしてその写真はさっそく、僕の待ち受けに採用となった。ああ、笑っちゃう。

 沙夜さんがやってこなければあり得なかったハルとの不思議な出会い。そしてふたりは親友になった。
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