おれの大好きなイケメン幼なじみは、何故だか毎回必ず彼女にフラれてしまうんです。

７話 ずっと一緒だよ。

「いきなりべろちゅうしちゃうくらい、やっぱりこの前の彼女さんのこと恵ちゃんがを気に入ってたってことなのかな？」
「…って、ことになるんかなぁ。いやでも、それにしたっていくらなんでもあんな強く叩くって……とは言っても、フラれた原因として考えられるとしたらアレしか思いつかないし………え、待ってもしかして俺、キスヘタ…なんか…？」
「ええっまさか！？　恵ちゃんがキスがヘタなんて絶対ないよ！！　だって、おれがもし恵ちゃんにべろちゅうなんてされたらめちゃくちゃ気持ちよくって腰砕けになるはずだもん！！」
「へっ」
「だからヘタなはずは……って、あっ！！？」
「なっ、りょっりょう…！！？」
「わっわあぁぁぁっごめっ恵ちゃ…今のは例えっ、例えだから忘れて…！？」
「おっおお、わ…わかってるぞちゃんと、わかってる……っ」
「うぅ……」


も、もおぉぉぉっおれ何口走っちゃってるのさ！？
恵ちゃん、引いちゃったりしてないよね…？　
でもでもっ、恵ちゃんがキスヘタなはず絶対ないから、落ち込まないでほしくておれの思ったこと言っちゃっただけなんだよう……うぅ、ほんと彼女さん何で恵ちゃんのことフったのさぁ…！！？


「…ごめん、恵ちゃん。おれなんて初ちゅうだってまだなくせに、何だかでしゃばるようなこと言っちゃって…」
「い、いや、むしろ嬉し……ん、嬉し…？　…まぁ何だ。オマエが俺のこと励まそうと言ってくれたんだろうし、気にすんなって。なっ、りょう」
「っ、うん…ありがとう、恵ちゃん」
「おう、俺こそありがとな」
「へへっ、」


やっぱり、恵ちゃんは優しいな。
こんな優しくて、世界一カッコイイ幼なじみなんだもん。
だから――


「恵ちゃんっ！！」
「うおっ、急にどした！？」
「次こそ絶対っ恵ちゃんにピッタリな素敵な彼女ができるはずだから、だから落ち込まないでよ！ おれいっぱいいっぱい応援するから、頑張ってこ！！」
「！！　……はは、ほんとお前って奴は……」
「え、わっ」
「…ん、やっぱこうするとすっげぇ安心するわ。りょうが傍にいてくれるだけで、何でもできそうな気がする」
「っ、恵ちゃん…」
「な、りょう」
「…なぁに？」
「彼女ができても、彼女にフラれてもさ……りょうだけは、これからもずっと俺と一緒にいてくれよな」
「！　――…そんなの、当たり前だよ。おれと恵ちゃんはちっちゃい頃からの仲良しで、それはこの先だってずっとずぅっと変わらないよ」


ずっと一緒だよ。
そう言って、おれはぎゅううっと…だけど優しく抱きしめてくれる恵ちゃんの大きな背中に、自分の腕をそっとまわしたのだった。