35 / 69
35
しおりを挟む
「本当に川田君と付き合うつもりでいたの。けど、ちゃんと言えなくて……本当にごめんなさい!」
「……わかりました。でも、一つ聞いていいですか?」
「なんなりと!」
「霧島さんは南条さんの事、好きなんですか?」
そう聞いてくるのはわかっていたが、加奈は正直に「わからない」と答えた。
「最初は嫌だったけど……それも慣れてくると、嫌いとか好きってのがわからなくなって」
「それでお試し期間で付き合うと?」
「はい。中途半端なやつだよね?ホント殴ってくれてもいいよ!」
「いや、女性に対してそんな事しませんよ。けど、お試しとはいえ、霧島さんの気持ちはまだ定まっていない。つまり俺が入り込む余地あるって事ですよね?」
「へっ?」
川田の言葉は予想していなかったので、加奈は目を点にしたまま川田を見た。
「俺にもチャンスあるなら、俺も真剣に霧島さんの事口説きますね」
「えっ、あの……」
「好きなんです。霧島さんの事。あぁ後、もう南条さんとはキスしましたか?」
何故それを聞いてくるのだ?加奈は恥ずかしくなってうつむいた。すると川田の手が加奈の肩に乗ったので、ハッとして顔を上げた。
「んなっ……!」
手の甲で口元を抑えた時には遅かった。川田の唇が加奈の唇に重ねられた後だったのだ。
「俺も男です。本気出させてもらいますから」
スッと立ち上がった川田は「失礼します」と言ってその場を後にした。何が起こったのか反芻はんすうする加奈は、まだ残る川田の唇の感触をそっと手で触れて確認した。
「うっそでしょ……」
一瞬の事だったので何の感情も湧き起こらない。明人の時とはまた違うキスに呆気にとられたまま、加奈はしばらく公園にいた。
「やっと戻ったか」
「えっと、ただいま……」
マンションに戻ると、いつも通り明人が玄関で仁王立ちしている。だが、先ほどの事もあり明人の顔を直視できないでいた。そんな様子のおかしい加奈を「おい」と言って顔を上げさせた。
「ごめん。誰かさんのせいで今日は疲れてるの……」
「誰かさんとは誰の事だ?」
あなたですよ……といつもなら言うのだが、もうその気力すら起きない。加奈はリビングに向かうとソファに座り込み目を閉じた。すると明人はそんな加奈の口を塞いだ。
「ちょっと!何するのよ!」
「お前がご主人様を無視するからだろ?それより何があったか言え」
「あのねぇ……はぁ、原因を作った人がこれだから今日は大変な目にあったってのに」
「なんだ?俺とお前が付き合う事など事実だろ?」
「お試し期間でしょ?」
「どちらも他人からしたら変わらないと思うがな」
御尤もだ。周りからしたらそれは付き合ってる事と同じ。だが川田だけは違った。彼は加奈を諦めるどころか、変なスイッチが入ってしまったらしく、加奈にこれから本気のモーションをかけるそうだ。
「……わかりました。でも、一つ聞いていいですか?」
「なんなりと!」
「霧島さんは南条さんの事、好きなんですか?」
そう聞いてくるのはわかっていたが、加奈は正直に「わからない」と答えた。
「最初は嫌だったけど……それも慣れてくると、嫌いとか好きってのがわからなくなって」
「それでお試し期間で付き合うと?」
「はい。中途半端なやつだよね?ホント殴ってくれてもいいよ!」
「いや、女性に対してそんな事しませんよ。けど、お試しとはいえ、霧島さんの気持ちはまだ定まっていない。つまり俺が入り込む余地あるって事ですよね?」
「へっ?」
川田の言葉は予想していなかったので、加奈は目を点にしたまま川田を見た。
「俺にもチャンスあるなら、俺も真剣に霧島さんの事口説きますね」
「えっ、あの……」
「好きなんです。霧島さんの事。あぁ後、もう南条さんとはキスしましたか?」
何故それを聞いてくるのだ?加奈は恥ずかしくなってうつむいた。すると川田の手が加奈の肩に乗ったので、ハッとして顔を上げた。
「んなっ……!」
手の甲で口元を抑えた時には遅かった。川田の唇が加奈の唇に重ねられた後だったのだ。
「俺も男です。本気出させてもらいますから」
スッと立ち上がった川田は「失礼します」と言ってその場を後にした。何が起こったのか反芻はんすうする加奈は、まだ残る川田の唇の感触をそっと手で触れて確認した。
「うっそでしょ……」
一瞬の事だったので何の感情も湧き起こらない。明人の時とはまた違うキスに呆気にとられたまま、加奈はしばらく公園にいた。
「やっと戻ったか」
「えっと、ただいま……」
マンションに戻ると、いつも通り明人が玄関で仁王立ちしている。だが、先ほどの事もあり明人の顔を直視できないでいた。そんな様子のおかしい加奈を「おい」と言って顔を上げさせた。
「ごめん。誰かさんのせいで今日は疲れてるの……」
「誰かさんとは誰の事だ?」
あなたですよ……といつもなら言うのだが、もうその気力すら起きない。加奈はリビングに向かうとソファに座り込み目を閉じた。すると明人はそんな加奈の口を塞いだ。
「ちょっと!何するのよ!」
「お前がご主人様を無視するからだろ?それより何があったか言え」
「あのねぇ……はぁ、原因を作った人がこれだから今日は大変な目にあったってのに」
「なんだ?俺とお前が付き合う事など事実だろ?」
「お試し期間でしょ?」
「どちらも他人からしたら変わらないと思うがな」
御尤もだ。周りからしたらそれは付き合ってる事と同じ。だが川田だけは違った。彼は加奈を諦めるどころか、変なスイッチが入ってしまったらしく、加奈にこれから本気のモーションをかけるそうだ。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
エリート課長の脳内は想像の斜め上をいっていた
ピロ子
恋愛
飲み会に参加した後、酔い潰れていた私を押し倒していたのは社内の女子社員が憧れるエリート課長でした。
普段は冷静沈着な課長の脳内は、私には斜め上過ぎて理解不能です。
※課長の脳内は変態です。
なとみさん主催、「#足フェチ祭り」参加作品です。完結しました。
禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
4番目の許婚候補
富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。
うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや
静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。
朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。
「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。
この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか?
甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる