44 / 69
44
しおりを挟む
加奈達の会社御一行様がホテルに着いたのは午後三時だった。長旅で疲れ果てた加奈は、加奈のいる部屋にやって来た詩織に事情を詳しく聞いた。
どうやら詩織と小峰が付き合っている事はすでに明人は知っている様子で、それを伝いいろいろと情報を聞き出したらしい。加奈達の止まるホテルから加奈の部屋に至るまで……小峰自身も「やりすぎだろ?」と明人に言ったらしいが、「彼氏からのサプライズだ」とわけのわからない事を言ってあれこれ情報収集していたそうだ。
諸事情に皆様を巻き込んで申し訳ございませんと、明人に代わって明人の会社の人達全員に菓子折り付きで謝りたかった。
とは言え、元々社員旅行案は上がっていたそうだ。だが場所は未定のままでずるずると来ていたところに加奈が話のもあって、あれよあれよと場所も日時も早々に決まった。つまり……同じホテルに明人達の会社も社員旅行で来ているのだ。
入口に書かれてある御一行様の看板に、見慣れた会社の名前があるのを見た上司達は嫌そうな顔をしたが、上司以上に嫌な顔を見せたのは他でもない。川田だった。爽やかとは裏腹の顔で川田は「何で……」と愚痴を溢していた。その溢したい気持ちは加奈も同じだった。だが向こうは夕方近くに到着するようで、まだこのホテルには来ていない。
「あぁ!なんか最悪なんだけど!」
そこまでするのか?いや、明人だからそこまでする。しかも明人は幹事なのだから、決定権は明人にある。ここは明人の独断会場なのだ。そしてその明人の横暴に振り回される社員の皆様、本当にご愁傷様ですと心から思った。
もちろん歓迎していない面々はいるが、女子社員からは大好評だ。あの南条明人と同じ屋根の下で過ごせるのだ。直す化粧にも気合が入る。明人だけでなく上の会社は何故か粒ぞろいで、明人が無理でもと女子社員の鼻息はとても粗い。中には「霧島さんの事だから南条さんに言って、同じ日取りってお願いしたんじゃない?」と陰口を叩かれるが、叩かれる言われはないし、加奈にとっては寝耳に水。むしろ大魔王の襲来に困り果てていた。
「霧島さんちょっといいですか?」
コンコンとドアをノックする音と、川田の声が聞こえたので、重たい身体をずるずる引きずりながらドアを開けた。
「ちょっと打ち合わせしたいんですけど、いいですか?」
「うん、わかった」
「それと……今日の事件って」
「聞かないで!むしろ私もさっき知ったんだから!」
騒動となっている明人の会社とのブッキングを当然ながら訪ねてきた川田だが、加奈は知らないとちゃんと言った。
「そうですか。にしても、南条さんって常軌を逸してるって言うか……これじゃストーカーじゃ……」
「川田君。残念だけど、その非難的言葉を連ねてもあいつには無効果だから……」
「そうなんですか?でもこれって立派なストー……んぐ!」
川田が言葉を発しようとした時、川田の口は何者かに塞がれた。その何者かを見た加奈は青ざめるより怒りの方が先に込み上げた。
どうやら詩織と小峰が付き合っている事はすでに明人は知っている様子で、それを伝いいろいろと情報を聞き出したらしい。加奈達の止まるホテルから加奈の部屋に至るまで……小峰自身も「やりすぎだろ?」と明人に言ったらしいが、「彼氏からのサプライズだ」とわけのわからない事を言ってあれこれ情報収集していたそうだ。
諸事情に皆様を巻き込んで申し訳ございませんと、明人に代わって明人の会社の人達全員に菓子折り付きで謝りたかった。
とは言え、元々社員旅行案は上がっていたそうだ。だが場所は未定のままでずるずると来ていたところに加奈が話のもあって、あれよあれよと場所も日時も早々に決まった。つまり……同じホテルに明人達の会社も社員旅行で来ているのだ。
入口に書かれてある御一行様の看板に、見慣れた会社の名前があるのを見た上司達は嫌そうな顔をしたが、上司以上に嫌な顔を見せたのは他でもない。川田だった。爽やかとは裏腹の顔で川田は「何で……」と愚痴を溢していた。その溢したい気持ちは加奈も同じだった。だが向こうは夕方近くに到着するようで、まだこのホテルには来ていない。
「あぁ!なんか最悪なんだけど!」
そこまでするのか?いや、明人だからそこまでする。しかも明人は幹事なのだから、決定権は明人にある。ここは明人の独断会場なのだ。そしてその明人の横暴に振り回される社員の皆様、本当にご愁傷様ですと心から思った。
もちろん歓迎していない面々はいるが、女子社員からは大好評だ。あの南条明人と同じ屋根の下で過ごせるのだ。直す化粧にも気合が入る。明人だけでなく上の会社は何故か粒ぞろいで、明人が無理でもと女子社員の鼻息はとても粗い。中には「霧島さんの事だから南条さんに言って、同じ日取りってお願いしたんじゃない?」と陰口を叩かれるが、叩かれる言われはないし、加奈にとっては寝耳に水。むしろ大魔王の襲来に困り果てていた。
「霧島さんちょっといいですか?」
コンコンとドアをノックする音と、川田の声が聞こえたので、重たい身体をずるずる引きずりながらドアを開けた。
「ちょっと打ち合わせしたいんですけど、いいですか?」
「うん、わかった」
「それと……今日の事件って」
「聞かないで!むしろ私もさっき知ったんだから!」
騒動となっている明人の会社とのブッキングを当然ながら訪ねてきた川田だが、加奈は知らないとちゃんと言った。
「そうですか。にしても、南条さんって常軌を逸してるって言うか……これじゃストーカーじゃ……」
「川田君。残念だけど、その非難的言葉を連ねてもあいつには無効果だから……」
「そうなんですか?でもこれって立派なストー……んぐ!」
川田が言葉を発しようとした時、川田の口は何者かに塞がれた。その何者かを見た加奈は青ざめるより怒りの方が先に込み上げた。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
エリート課長の脳内は想像の斜め上をいっていた
ピロ子
恋愛
飲み会に参加した後、酔い潰れていた私を押し倒していたのは社内の女子社員が憧れるエリート課長でした。
普段は冷静沈着な課長の脳内は、私には斜め上過ぎて理解不能です。
※課長の脳内は変態です。
なとみさん主催、「#足フェチ祭り」参加作品です。完結しました。
禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
4番目の許婚候補
富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。
うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや
静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。
朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。
「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。
この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか?
甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる