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噂は風と共に去って行くとあるが、まさにその通りで、レーエンスブルク夫人とルディア―ス当主の不倫スキャンダルから、最近はレーエンスブルク家の経営状況の方が大きな話題を呼んでいる。
「人と言うのは本当にこの手の話題が好きなのだね」
新聞を手にマルディアスは一面を飾るレーエンスブルク家保有株の下落や、経営状況の悪化などを目にした。
ー大貴族レーエンスブルク家。スキャンダルの次は経営破綻か?
そんな大きな見出しを見ながら、これまで大貴族であり、それほど目立った話題もなく、マスコミに取り上げられなかった話題。むしろマスコミはこの話題の尻尾を掴んでいたのだろうが、見えない圧力で消されていたのだろう。だがエリサとマルディアスのゴシップをきにその他の話題まで露見してしまったのだ。
「マルディアス様?」
「あぁ、エリサ様ですか」
書斎にやって来たのエリサは、ワゴンを押して中に入った。
「侍女の方からお茶の煎れ方を教わってみたのですが……」
「貴女からのものでしたらもちろんもらいますよ」
ティーポットからティーカップへ入れられるお茶のふくよかな香りが書斎を満たす。
「これはローズティーですね」
「は、はい……男性好みではないのでしょうけど……」
「いいえありがとうございます」
一口口に含むと、甘酸っぱい味が広がった。
「美味しいです」
「ありがとうございます」
ニコリと微笑んだエリサが退出しようとした時、机に置かれた新聞に目が向かった。そこに大きく書かれた見出しにドキリと心臓が跳ねた。
「こ、これは……」
「あぁ、貴女は気にしなくても大丈夫です。仕事関係の話ですので」
「でも……」
レーエンスブルク家の事業について書かれたそれを見て、エリサは肩を落とした。
「私は事業の事などまったくわかりません。けどレーエンスブルク家がこんな風になっていたなんて……」
その心にはフリークが思い浮かんだ。あの日から屋敷に戻らず、名目上は実家に帰省している事になっているが、ここにいるのだ。もちろんこの記事をフリークも見ているだろう。かつて愛した人、でもまだ夫でもあるフリークを心配するのは至極当然だった。
「気になりますよね?」
「はい……とても……」
「戻りたいですか?」
「そ、それは……」
「私は貴女を愛しています。それは変わらない。だからこそレーエンスブルク家には帰したくないと思っている。しかし、貴女が帰りたいと申すならば……」
「マルディアス様……確かにフリーク様の事は心配です。でもそれとマルディアス様への愛は別です」
そうだ。この愛とフリークへ心配する思いは別なのだ。そう言い聞かせるエリサにマルディアスが一つの提案をする。
「直接的な事業補助などは一切しませんが、フリーク氏は他の一族と違って経営のなんたるかは心得ているようです。フリーク氏を助けるという名目で助言くらいは出来ますが?」
「ほ、本当ですか?」
「はい。ですがもし全てがうまくまとまり、それでも貴女の心が私の元にあるなら、私と一緒になってもらえませんか?」
どうしてマルディアスはそんな事を言うのだろうか。今のエリサには「はい」以外の選択肢はない。そう思っていたのに、そのいつもと違った雰囲気で言われると言葉が出てこなかった。
「答えは急ぎません。この案件は私におまかせ下さい」
「は……い……」
「人と言うのは本当にこの手の話題が好きなのだね」
新聞を手にマルディアスは一面を飾るレーエンスブルク家保有株の下落や、経営状況の悪化などを目にした。
ー大貴族レーエンスブルク家。スキャンダルの次は経営破綻か?
そんな大きな見出しを見ながら、これまで大貴族であり、それほど目立った話題もなく、マスコミに取り上げられなかった話題。むしろマスコミはこの話題の尻尾を掴んでいたのだろうが、見えない圧力で消されていたのだろう。だがエリサとマルディアスのゴシップをきにその他の話題まで露見してしまったのだ。
「マルディアス様?」
「あぁ、エリサ様ですか」
書斎にやって来たのエリサは、ワゴンを押して中に入った。
「侍女の方からお茶の煎れ方を教わってみたのですが……」
「貴女からのものでしたらもちろんもらいますよ」
ティーポットからティーカップへ入れられるお茶のふくよかな香りが書斎を満たす。
「これはローズティーですね」
「は、はい……男性好みではないのでしょうけど……」
「いいえありがとうございます」
一口口に含むと、甘酸っぱい味が広がった。
「美味しいです」
「ありがとうございます」
ニコリと微笑んだエリサが退出しようとした時、机に置かれた新聞に目が向かった。そこに大きく書かれた見出しにドキリと心臓が跳ねた。
「こ、これは……」
「あぁ、貴女は気にしなくても大丈夫です。仕事関係の話ですので」
「でも……」
レーエンスブルク家の事業について書かれたそれを見て、エリサは肩を落とした。
「私は事業の事などまったくわかりません。けどレーエンスブルク家がこんな風になっていたなんて……」
その心にはフリークが思い浮かんだ。あの日から屋敷に戻らず、名目上は実家に帰省している事になっているが、ここにいるのだ。もちろんこの記事をフリークも見ているだろう。かつて愛した人、でもまだ夫でもあるフリークを心配するのは至極当然だった。
「気になりますよね?」
「はい……とても……」
「戻りたいですか?」
「そ、それは……」
「私は貴女を愛しています。それは変わらない。だからこそレーエンスブルク家には帰したくないと思っている。しかし、貴女が帰りたいと申すならば……」
「マルディアス様……確かにフリーク様の事は心配です。でもそれとマルディアス様への愛は別です」
そうだ。この愛とフリークへ心配する思いは別なのだ。そう言い聞かせるエリサにマルディアスが一つの提案をする。
「直接的な事業補助などは一切しませんが、フリーク氏は他の一族と違って経営のなんたるかは心得ているようです。フリーク氏を助けるという名目で助言くらいは出来ますが?」
「ほ、本当ですか?」
「はい。ですがもし全てがうまくまとまり、それでも貴女の心が私の元にあるなら、私と一緒になってもらえませんか?」
どうしてマルディアスはそんな事を言うのだろうか。今のエリサには「はい」以外の選択肢はない。そう思っていたのに、そのいつもと違った雰囲気で言われると言葉が出てこなかった。
「答えは急ぎません。この案件は私におまかせ下さい」
「は……い……」
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