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 目が覚めた時、そこには知らない天井が広がっていた。
「ここは……?」
「気がつきましたか?」
「オルカお姉様……」
 ベッド側に置かれた椅子に座ってエリサを見ていたのはオルカだった。
「あの、ここはもしかして城の中ですか?」
「そうよ。貴女あの後倒れたのよ」
「そ、そうでしたね」
 突然気分が悪くなり、胃のあたりを圧迫されてよくわからないまま倒れたのだ。
「そのままでいいから聞きなさい。貴女はルディアース家のあの者と契りを交わしましたか?」
「お、お姉様?」
「正直におっしゃい」
「……はい」
 その言葉を聞いたオルカは大きなため息を漏らす。どうやらエリサを責めているわけではないようだ。
「もしもレーエンスブル家との縁を切って、ルディアース家に行ったとして貴女はあの者と一生添い遂げる事が出来ますか?」
「さ、先程から何を言ってるのですか?オルカお姉様……」
「答えなさい。これは貴女の今後にも関わる事ですよ」
「もちろん……添い遂げます……」
 少し言葉が詰まってしまったエリサに「そう……」とオリカは言ってエリサの手に自身の手を添えた。
「貴女があの者をどこまで知っているかはわかりませんが、あの者の出自を知っていますか?」
「ど、どういう事ですか?」
「これは王家王族の一部しか知らない話です。マルディアス・ルディアースは本当の意味でのルディアース家の嫡男ではないのです」
 その言葉にエリサは目を点にさせる。それにどうしてそんな事を突然言いだすのか意味がわからなかった。
「あの者の心にあるのはおそらく復讐心。王族に対してのね……」
「ま、待ってください!おっしゃってる意味がわかりません」
「わかりませんか?あの者の母親と、元王は繋がっていたのです」
「えっ?つまり……」
「愛人の子と言った方がわかりやすいかしら?」
 全く知らないし、知られない事実なだけに、エリサは衝撃が強かった。
「で、ですがそれと復讐とがどう繋がるのか……」
「この事を知るのは古参の貴族です。故に大昔ルディアース家はスキャンダルに見舞われました。母親の方は否定しましたが、その当時の当主は頭を相当悩ませて、病を患ったとか?」
 その後、向けられる罵詈雑言や非難に耐えられなくなった母親は自殺。父親も病で数年前に亡くなったそうだ。母親と元王の真意はともかく、父親は母親の言い分をずっと信じていそうだ。
「あの者は古参の貴族を嫌っています。そして母親と、父親の命を奪った貴族へ復讐をするはずです」
「そんな!マルディアス様はそんな事……」
「なら本人にお聞きなさい」
 例え真実として、マルディアスがそれをエリサに話してくれるだろうか。
「それと……貴女の体調ですが、貴女は今、妊娠しているそうよ」
「えっ?」
「あの者との行末を聞いたのはこの為でもあるの。真実を知る覚悟を決めているのかどうかね」
 自分とマルディアスの間に子供?
 エリサの頭が真っ白になった。だがすぐに「違う」と結論を出す。
(この子は……私とマルディアス様の子供じゃない。フリーク様との子供……)
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